本質を見落とす劣化メディア【その5】 - あえて、シャトルバス問題で梁大 臣を擁護する

 このシリーズは、一話完結形式のつもりですが、よろしければ、この長屋内に
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本質を見落とす劣化メディア【その4】- トカ・キョカで揉め、またガスが
漏れ

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本質を見落とす劣化メディア【その3】 - <支離滅裂なニュース解説

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本質を見落とす劣化メディア【その2】 - 大法螺政治と数字に弱い記者

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本質を見落とす劣化メディア【その1】 - 震災は劣化をあぶり出す
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 2026年10月14日正午前、梁農林水産大臣の進退がはっきりする前に、この記事
を書いています。嵐の予感がしますし、そうなっては書くタイミングを失いそう
だからです。シャトルバス問題、なんだか違和感があります。


 むしろ不利益

 事実関係が重要ですから、最初に細かく確認しておきましょう。今回問題にな
ったのは、年頭の衆議院選での総決起集会でのことす。各種報道によれば、梁事
務所前の会場の駐車場が小さいので、あふれた参加者の車には少し離れた場所に
ある臨時駐車場に回ってもらい、そこから会場までシャトルバスで送迎したとい
うことです。


簗農水大臣が無料バス送迎「会場費の一部として計上」 衆院予算委員会で自
民党議員からの質問に「法令にのっとり適切に対処」、FNNプライムオンライ
ン

https://news.yahoo.co.jp/articles/22d987e6435bed51eb1c14c4e2acda528a08919d

 はたして、こういうのを利益供与と言うのでしょうか。最寄り駅から会場まで
バスを出したというのとは意味が全然違います。車で会場まで来る参加者全員に
駐車場が用意されていないのは、来場者への「不利益供与」で、それを送迎とい
う形で補填したと解釈するべきです。プラスマイナスゼロ。手間と時間を考えれ
ば、むしろまだ不利益のお釣りが出るぐらいです。
 なんでも機械的に「利益供与」というのは道理の上でも実効性でも無理のある
議論です。たとえば、スタッフが会場で階段を上る高齢者の手をひいたらダメな
んですか。車椅子を押したら利益供与ですか。もっと言いましょうか、空調設備
の稼働が有料の場合はどうなのでしょう。いくらでも、揚げ足を取れそうです。
冷静に考えれば、シャトルバスの提供は常識や社会通念の範囲です。
 最初から駐車場が十分ある会場を用意すべきだった......というのはあり得る指
摘ですが、大臣の地盤の大田原市は明らかに車社会です。選挙の総決起集会に家
族やカップルで来るのは少数派。各種地域団体の代表など出席者のほとんど一人
で来ます。人数のわりに車の台数は増えてしまい、駐車場の確保が大変です。
 だからと言って、市民会館や体育館などの大きなホールを借りれば、シャトル
バス代よりも確実に高くつきます。そう考えれば「シャトルバス代は会場費だ」
という説明は理にかなっています。そもそも、突然の衆議院解散後に大きな会場
を予約できないこともあります。それに候補者は他にもいるわけですから、総選
挙のたびに、各種大混乱が予想されます。
 また、もし駐車場確保を参加者の自己責任にして、路駐が増えたりコインパー
キングが満車になったりで近隣の顰蹙を買ったら、何のために選挙運動をしてい
るのかさえわからなくなります。
 情報ネットワークが普及した今、総決起集会などという前時代的なものが必要
かどうかの議論はいったん忘れるとして、実施する以上は今回のやり方があらゆ
る意味で最善だったと思えます。
 実際、公職選挙法での「利益供与」の定義にはグレーゾーンがあり、騒ぎにな
ってからの選挙管理委員会のコメントも黒っぽいようですが、ここは梁大臣が堂々
と論陣をはるべきところです。「私は合法と考えます。文句があるなら告発して
ださい」......これなら、与野党を越えて日本中の政治家が、少なくとも本音では
納得してくれるでしょう。


 説明責任って何

 けれども、大臣本人も自民党栃木県連も、こうした論理での弁明を一切してい
ません。
違法性はないと主張するのに「人道上の観点」などとピントのぼけた言葉をひっ
ぱりだしています。後ろ盾の高市総理も、なんとかなると思っていた「予算減額
問題」が大炎上したので、後から突然出てきた「シャトルバス」を使って轢き逃
げする気なのでしょう。
 まあ、政治とはそういうもの、劣化世論のなかで政権を回す以上仕方のないこ
とです。「私の大事な知恵袋の簗ちゃん」がいなくなって、農政が「大変な事」
になるのは、容認するのでしょう。いなくならなくても「大変な事」は次々おこ
りそうなのですから。


簗農相「辞任論」強まる、高市首相きょうにも「進退」判断へ...バス無料送迎
問題「違法性あれば躊躇しない」、読売新聞

https://www.yomiuri.co.jp/politics/20261013-GYT1T00339/




高市首相の「私の簗ちゃん」大失言...「もう代えちゃえばいいんじゃないで
すか」と立川志らく、J-CASTニュース

https://www.j-cast.com/2026/10/06518301.html?p=all

 問題はメディアです。今に始まった事ではないのですが、政治家でも芸能人で
もイメージが良い間は良い話題を、悪くなるとスキャンダルを次々掘り出してき
ます。高市政権も落日モードですから、いち早く他局に先駆け手のひらを反すの
は、ある意味で仕方ないとしても、取材したネタを評価するときに冷静さを欠く
ことが多いのは困ったものです。
 オールドメディアをバカにしているNSN界隈も、私の知る限り大臣擁護論で
も盛り上がっているようには見えません。地元の有権者がシャトルバスの運行経
路を徒歩で歩く動画など、あればそれなりにバズると思うのですが。
 さて、説明責任ということですが、公人が嫌疑を受けた時に辞任しない場合に
説明責任追求される......これは当然。問題は人事的な責任をとった場合に、周囲
もメディアもそれ以上追求せず、忘れてしまう風潮です。
 今回、「仮に違法性があれば、躊躇(ちゅうちょ)しない」と総理は自決勧告
のようなことを言い出しました(2026/10/14現在)。「違法性は無いが、誤解に
基づく混乱を大切な予算審議に持ち込みたくないので」と言うように追い込む定
石パターンです。そうなると「シャトルバス」は、うやむやになってしまいます。
 これはある意味でもったいない話です。未だに総決起集会に馳せ参じる文化
(行かないと道路予算カットの恐怖)のあり方。IT対応の遅れる選挙運動のあ
り方。そして何より、地方都市の自家用車依存が進んでいて、高齢化とガソリン
高騰は都市機能の消滅をもたらしかねないという問題。こうしたことを論じる機
会は貴重でした。あと数年もすれば、今更いくら論じても、手のうちようがなく
なるでしょうからです。