この記事は3本1組の記事の2本目です。
1本目は
小浜ルートの駆除が始まった 【北陸新幹線 その28】
http://nagaya.tatsuru.com/murayama/2025/12/22_0935.html
です。
よろしかったらお読みでください。
今年(2025年)の参議院選挙直後に、「北陸新幹線の敦賀―新大阪間の延伸ルー
トを再検証する石川県関係の自民党国会議員」たちが、小浜ルートのB/C(=
経済効果/建設費)が0.551だと独自推定しました。つまり、建設費の半分
ちょっとしか経済効果がないとのことです。試算した団体には米原ルート系の方
が多そうですから、故意に厳しくした可能性はありますが、これでもまだ甘い評
価だと思います。大甘中の大甘、Fラン大の仏教授(故人でもフランス哲学研究
者でもなく、仏様のようにやさしい先生)による、就職内定者向け卒業追試験の
採点のようです。
まず、建設費だけ考えても「丹波山地での長大トンネル(青函トンネル級)」
と「大深度地下工事(国内で成功例なし)での京都盆地縦断」という二つの大技
を含む巨大プロジェクト。総工費は不明のはず「膨大」としか言いようがありま
せん。
これは悲観論でも言いがかりでもなく、リニアでも北海道新幹線でも費用のメ
ガ上振れは、実際におこっていることです。どちらも着工時より五割以上増えて
いて、今後のさらなる追加まで示唆されています。大規模なトンネル工事とはそ
ういうものかも知れませんが、地下構造に不安の多い小浜ルートでは、想像を絶
する規模のギガ追加を求められそうです。
事業費3兆円半ばに膨らむ試算 2038年度末以降に延期の新幹線札幌延伸 鉄道・
運輸機構が公表へ,STVnews,https://www.stv.jp/news/stvnews/kiji/st52d458b5a83746748055cf481d36e273.html
なぜリニア工事費が11兆円へ倍増?それでも計画実現が不透明なワケ,枝久保達
也,https://diamond.jp/articles/-/377120
山地を嫌う高速鉄道【北陸新幹線 その7】
一長十短四苦八苦【北陸新幹線 その8】,村山恭平,http://nagaya.tatsuru.com/murayama/2024/07/10_0927.html
残土は続くよどこまでも【北陸新幹線 その9】,村山恭平,http://nagaya.tatsuru.com/murayama/2024/07/12_0736.html
見えない刺客は火成岩【北陸新幹線 その10】,村山恭平,http://nagaya.tatsuru.com/murayama/2024/07/12_0738.html
やや蛇足ですが、上の議員さんたちの計算は、見かけの数字が細かすぎること
も問題です。経済効果はもちろん建築経費もドンブリ勘定しかないのですから、
少数点以下3桁という高精度の数字(「5」「5」「1」)を出せるはずありま
せん。今わかることは「小浜ルートのB/Cはどんな良くても0.6を上回らな
い」ぐらいが妥当なところでしょう。
でも、語呂がいいから容認しちゃいましょう。ゴーゴーイチ.........ホウライ指
数と呼ぶぞ。確かに、「ゴーゴーイチの無い時と有る時で」小浜派の皆さんの元
気が全然違いました。関西以外の方には分からないかもしれませんが......。
馬鹿にするなと言われそうですが、馬鹿にされても仕方ない数字です。小浜派
が文句を言うなら、今回の「B/Cの算出方法」にか、あるいは「着工の可否にB
/Cを使うこと自体」に、最初から反対しておくべきでした。
調査費のフライングは容認できる
当然ながら26年度中の着工は無し。次の焦点は調査費です。着工前のフライ
ング支出と批判されながらも、この2年は15億円程度で細々と調査継続中です。
意外に思われるかも知れませんが、この支出を私は評価しています。着工五条
件の確認のためには、正確な建設費用の見積もりが何よりも大切なはずで、その
ためには詳細な地質調査が必要です。逆に言えばこれをやらない限り、大規模な
トンネル工事を伴うプロジェクトのB/Cが見積もれるはずがないのです。
ろくに地質も調査せずに着工すれば、本当に完成するかさえ不明で、「工費は
プライスレス、工期はエンドレス」の泥沼に突っ込みかねません。これに限らず、
われわれ日本人の計画性の甘さは、インパール作戦のころから進歩していません。
今世紀になって、むしろ拗らせているようです。
フジのヤマから昭和が見える ...... フジテレビ性上納事件で考える戦後日本
(その1) 悪事も満足に出来ない令和日本の会社,村山恭平,http://nagaya.tatsuru.com/murayama/2025/04/28_0919.html
断言しますが、リニア、北海道新幹線、辺野古の埋め立てなどの巨大プロジェ
クトが、ことごとくトラブル続きで大遅延している最大の原因は、事前に十分な
地質調査をしなかったからです。特に今回の北陸新幹線のように多数の案を比較
検討するなら(真面目やるならですが)、まずは地域全体の地質を詳細に調べる
のが妥当でしょう。
しかしながら、今のヤバイ財政状況では永遠に完成しない「ホウライ電鉄」の
調査費など、いきなり廃止されてもおかしくありません。そうなると、建設費を
まともに予想出来ないのですから、ルート選定はますます混乱するでしょう。
ここまで記事を書いていると、もう一つニュースが入ってきました。JR東日
本が、整備新幹線の原資にもなる、路線の貸付料の「値上げ」に応じる気がない
と言いだしたのです。北陸新幹線延伸への金の出し手は、国、JR、沿線自治体
(福井県、滋賀県?、京都府、大阪府)ですが、どこも自分とこの負担は軽減し
てもらえると甘く考えているようです。
だから、このまま無理に小浜で着工などしようものなら、毎年毎年、費用負担
を巡ってバトルを展開するようなことになります。巨額の未払いが発生して建築
業者に迷惑が及ぶかも知れません。一度でも、そんなことになれば、翌年からど
こも工事に参加しなくなりますから、万博の海外パビリオンのような食い逃げは
できません。
整備新幹線の貸付料 JR東日本が「維持管理」の範疇を主張 1991年の「合意」
指摘,産経新聞,https://news.yahoo.co.jp/articles/53aac71cadc2cdd35d076df7d8bf934ee56a8a46