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2006年11月 アーカイブ

2006年11月16日

おばあちゃんとの対話

le 12 novembre

父と一緒におばあちゃんの様子を見に行って来た。
木曜日に、熱のため病院へ入院しますという
連絡が、お世話になっている施設からあって。
そのときは、私も父も仕事でおらず、母が
急いで駆けつけたらしい。

少し前から、手足に水ぶくれがたくさんできている
ということは母に聞いていた。
お医者さんが言うには、動かさないから血行が悪く
なっているのではないか、ということらしいよ、
という話だった。

今日会いに行くと、車椅子に腰掛けている
おばあちゃんの両手には、鍋つかみ用ミトン
みたいなのがはめられてあって、
片足は包帯でぐるぐる巻きだった。
何も巻かれていない右足を見ると、水ぶくれの
痕なのか、紫色をしたいびつな丸がたくさん
ついていた。

おばあちゃんは、かなり前からリウマチなので、
指が手も足も丸まっていたりするのだけど、
ミトンの中の手は、本当に小さくて子どもの手
みたいだった。

熱は、入院した次の日からすでに下がっていて、
食欲も普通にあるらしい。
おばあちゃんと、少し話していると、
お昼ご飯の食べかすが、口の端から出てきた。
ご飯粒。
おばあちゃんのミトンの手がそれを拭おうと
動いたので、それを遮ってティッシュで拭いた。

おばあちゃんは、もう長いこと目の前にいる人が
誰であるのかわからない。
何年前だったか忘れてしまったなぁ・・・
私がフランスにいるときか。
その前にもあった気がするけれど、冬になると、
寒さで血管が収縮して軽い脳梗塞を起こしてしまう。
それで、入院して暖かくなる頃退院して・・・ということを
何度も繰り返していた。
入院してるときは、本当に誰が誰なのかわからない
状態だし、よくわからないことばかり口走ったり
しているのだけど、回復してくると、人の顔も
ちゃんとわかるようになるし、自分の置かれている状況も
把握できるようになっていた。

だけど、その一方でだんだん認知症が進み、身の回りのことも
ほとんどできなくなってしまったので、
施設に任せることになった。
特別養護老人ホーム。
おじいちゃんもそうだったけど、おばあちゃんも
その場所を病院だと思っている。

施設の中は、室温もほどよく保たれているので、
寒さによって体調を崩すということがなくなった。
お風呂もちゃんと入れてくれるし、ご飯の栄養も
ちゃんと考えられているようだし、うちで昼間
一人にされているよりは、よっぽど良いような気がする。

母と私が、たまに会いに行くと、日によっては
誰が来てくれたかわかることがあった。
ただ、父のことは自分の息子なのにわからない。

母によれば、今は、ほんとに何もわからないみたいだ
ということだったけど、今日おばあちゃんは
私の顔を見て「さっちゃん」と言った。
施設にいるときも、私のことをちゃんと「さっちゃん」
と呼んでくれていた。
でも、私に赤ちゃんがいたりする日もあった。
今日は、私は学生だった。

父のケータイが鳴って、部屋から出て行ったあと、
おばあちゃんは私に「あの子も30過ぎたやろ。」
と聞いてきた。
たぶん、お父さんのことなんだけど、とりあえず
「うん。そうやな。」と答えた。
父には、このことは伝えていない。
なんとなく。

私は、おばあちゃんがすごい昔の話を急に語りだしたり、
死んだおじいちゃんが今でも生きていることになっていたり
しても、否定したり訂正したりしないようにしている。
父は、その反対で、全部訂正するし、「昔の話やろ。」
と言ってしまったりする。
どちらがいいのかわからないけど、私は、
せっかくおばあちゃんが話しているのだから、
うんうん。と言って聞く方がいいのではないかと
思っている。
父には父なりの想いがあると思うので、
「お父さん、もうちょっと話聞いてあげたら?」とは
言わないのだけれど。
前は、病院におばあちゃんの顔見に行くことすら
しなかったし、その頃に比べれば自ら足を運ぶという
ことだけでも良いことだと思う。


病院のベッドの頭側に、おばあちゃんの名前と年齢と
担当医の名前が書いてある。
おばあちゃんは、もう91歳だった。
2月の誕生日が来たら、ついにおじいちゃんを
越えるんだなぁ。

2006年11月30日

前頭前野は(まえがしら・まえの)じゃないんだよ

le 29 novembre


うっかり、もう11月も終わりですね。
年末かぁ。

そりゃ寒くもなるよ。
これでも、例年よりは暖かいとかっていう話ですけど。
そして、12月1日からいっきに冷え込むらしいですけど。

冷え込むのは嫌だなぁ。
でも、私がひたすら心配してるのは、
通勤途中の道が凍るんじゃないかってことだったりする。

職場が、そんな言うほど高くないけど、山の上なので
当然坂があるわけです。
4方面から上れるんですけど、その中でも
私が通勤に使っている坂道は、急で長い。
ココ凍ったらピンチだろうなぁって。
タイヤを、そういうときに備えてスタッドレス?に
履き替える必要があるみたいなんですけど、
まだタイヤ用意してないんですねぇ、これが。

そんなタイヤ4本も買うお金なんてないし・・・。
まぁ、親が買ってくれるとか何とかっていう
話も出てたりしたんですけど。

うーん。
冬場はいつもより早く起きて、遠回りして違う坂を
上るか・・・危なそうな日は、電車とバスを使って通うか。
うーん・・・。
どっちみち、今までより早起きしなあかんっていう。
とりあえず、天気予報は日々要チェックらしいです。


さて、ここ最近脳ブームな感じですけども、
私は先日、「脳を鍛える・・・」でおなじみの
川島隆太先生の講演を聞く機会に恵まれました。

特に脳を鍛えたりせず過ごしていて、70歳になると、
健康な人でも、小学校1年生と同じぐらいの脳レベルに
なるらしいですよ。

驚きですよねぇ。

まぁもう、20歳を越えればどんどん脳も
衰えて行っているわけで、そのまま衰えたら
そうなるんだろうなぁという感じではありますが。

年をとって丸くなって、涙もろくなった、
という話はよく聞きますが、実はあの現象は、
前頭前野というおでこの奥にある脳の部分の
衰えが原因だそうで。
人の名前とか物の名前が出てこなくて、
「ほら、あれだよ。」「あぁ、あれね。」
これぞ夫婦のあうんの呼吸、とか言ってるのも、
実は前頭前野が衰えているだけという。

前頭前野という部分は、人間だけに発達が見られる
ところらしく、ここは、思考・創造・記憶・学習・
行動、情動の制御・言葉のコミュニケーション・
意欲・集中力・自発性・身辺自立などを
司っているそうです。

ほぼ全部じゃん、と思ったんですけどね。

この前頭前野を鍛えるのには、いろいろあって。
本を読む・手紙を書く・足し算をする・
目と目を合わせて会話する・料理を作る・
楽器を演奏する・・・とか。
おもしろいのが、手指を使って何かを作るときは、
目的が必要らしいんですけど、本を読むときは、
興味のあるなしは関係ないようなんです。
別に、全然興味ないけど新聞を読む。
これも、前頭前野を鍛えるのに役立つそうです。
声を出して読むとさらに良し。

料理っていうのは、すごく良いらしいですよ。
逆に、パソコンを使って文章を書くのは、
特に良いことはないみたいです。
パソコンで手紙とか書いてても、前頭前野は
働かないそうです。

これが、手書きとなると、前頭前野大活躍。
書くことは、大切なことなんですね。
なので、子どもやお年寄りには、特に書くことが
必要だそうです。
子どもにいたっては、書くことが頭の良さに
つながるのだとか。
よく書いて前頭前野を鍛えるほど、得た知識を
上手に使いこなせるようになるんですって。

あと、テレビやビデオは、脳にとってリラクゼーション
なので、前頭前野の働きぶりは、何もしていないとき
以下らしい。

・・・つまり、パソコン使ってて息抜きにテレビ見て
ってのは、最悪なんでしょうねぇ。
幼い子どもにパソコンは必要ないかもしれない。
小学生は、パソコンの授業なんてやんなくて
いいかもしんない。
そして、現代の若い人たちの言語運用能力が低くて
コミュニケーションが上手くできなくて、というのは
この辺りにも原因があるのかも。

川島先生のお話を聞いていてすごく思ったのは、
小学生の頃、やっつけ仕事みたいにして嫌々
やっていた、計算ドリルとか漢字の書き取り100字とか
っていうのは、必要かつ重要だったんだなぁと
いうこと。
宿題としてやらされている子どもたちは、
何の意味があるねん・・・って不満に思いながら
毎日漢字書いたりしてるけど、実は前頭前野は
大喜びなんだろうなぁ。

あれですね、大学のレポートも手書きに
しちゃえば・・・。
ときどき、手書き限定です!っておっしゃる先生も
いらっしゃいましたけどもね。
まぁでも、卒論手書きとかだったら、ほとんどの
学生さんは本気で嫌がるでしょうねぇ。
そして、読む先生方も苦労するでしょうねぇ。
まぁ、卒論も手書き限定という先生もいらっしゃいましたけども。

他にも私が興味深かったのは、読み書きや簡単な足し算
をすることが、認知症の予防になるという点でした。
というか、さっき挙げた前頭前野を鍛える術は、
認知症予防にもつながるそうです。

歳だからと言って、おじいちゃんおばあちゃんから
料理の時間を奪っちゃいけないんだなぁって
しみじみ思いました。
うちは奪っちゃいましたからねぇ。
実際、危ないかもしれないんですけど、
おばあちゃんがまだ台所に立つ元気がある間は、
おばあちゃんに料理してもらってれば良かった。

母方のおばあちゃんは、最近ちょっとだけ認知症の
症状があるんですけど、早速、料理は続けた方が
いいよと伝えてみた。

あとやっぱり、コミュニケーションですね。
ちゃんと目と目を合わせて会話する。
ちなみに、テレビ電話とかダメらしいです。
直接会ってないと効果がないそうです。

こうやって聞いてると、今のお年寄りの人たちって、
認知症へ導かれているような人が大半?って
思いますよね。
夫婦二人っきりで過ごしてるし、近所付き合いは減るし、
娘息子は帰ってこないし。

とりあえず、手紙書きましょう!みたいな。
パソコンが普及して、手書きなんてめんどくさいと
いう若い人は多いですけど、お年寄りの方々は、
パソコンを使うわけじゃないけど、書くという
動作が面倒という・・・。
うちの親戚のおじいちゃんも、すごく達筆なのに、
筆を持つのがめんどくさいとか言って、
ここ何年か年賀状書いてくれないんですけど、
やっぱり、ちょっとぐらい面倒でも書くべきですね。


いろんな機械が進化してきて、これからどんどん退化して
いくってことはないんでしょうけど、
その一方で人間の脳がどんどん退化していくということ
にはなって欲しくないなぁ。
てか、そんなのすごい変な話だし。
変な話なんだけど、昔の方が前頭前野に良いことを
たくさんしていたのではないかという気がすごくする。
ちょっとずつ昔に戻ってみるのもいいかもしれないですね。

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