マイケル、君はしあわせかい?
5月1日(土)
午前中だけ研究室へ行き、お昼から合気道のお稽古へ。
帰省ラッシュのため名神高速は西宮インターでいつになく渋滞している。
お稽古にはなんとかぎりぎり間に合うことができた。
車を駐車場に停めて更衣室へ急ぐ。着替える前にトイレへ行くと、中学生の三浦君が
いた。
三浦君はタイガースファン。得に赤星選手が贔屓である。
「昨日、タイガース勝ったね」と話しかけると、昨日は甲子園に試合を見に行ってい
たそうである。
良いゲームが見られて良かったね。
4月30日(金)
校正を終えた論文を茨木郵便局へ出しに行くと、すでに夜11時をまわっていた。
駅前に借りている駐車場に原付きバイクを停めて駅までの道を歩く。夕飯がまだなの
で腹が減ってふらふらしている。風に吹かれたら飛んでしまいそうだが、幸いなこと
に風のない穏やかな夜だった。
駐車場から駅までは歩いて3分くらいの距離である。駅まで近づくと、線路沿いの狭
い道にはラーメン屋や居酒屋が並んでいる。
先輩のT先生が教えてくれた水餃子のお店の看板が出ていたので、帰りの電車を一本
遅らせて、お店に入ってみることにした。
L字型のカウンターの奥にテーブルが一つあるだけの小さなお店で、若い男3人がお
店をやっている。
金髪のショートヘアーの男性が店の主人らしい。僕より4つか5つくらい年上、30
台後半のように見える。
T先生の話によると、以前は年配の頑固おやじが店をやっていたそうだ。ある日、T
先生が電話で持ち帰りの水餃子をこの店に注文して、取りに行くのが10分くらい遅
れたら、おやじに「来るのが遅い!」と、きつく叱られたそうである。
数か月前に頑固おやじがクモ膜下出血で急に死んでしまい、江坂に分店を出していた
息子さんが、急遽、茨木駅前の本店を継ぐことになった。
お店の壁にはトミーズの料理番組に出て餃子を作っている主人(若。生きてる方)の
写真が飾ってある。写真の中の主人(若)は髪が黒い。トミーズの二人と551のぶ
たまんの女性に囲まれて、餃子を包んでいる。
カウンターに腰掛けてビールと水餃子を注文した。
ビールは瓶ビールが500円で、生ビールが450円。一瞬迷ってから生ビールにし
た。
水餃子は一人前で良いのかと聞かれたので、二人前頼んだ。
ビールを飲みながら、アマゾンの古本コーナーで買った『マイケル・ジャクソンの真
実』を読みながら餃子が現れるのを待つ。
この本によると、マイケルはお猿のバブルスを特別に可愛がっていたわけではなくて、
ヘビとかキリン(マイケルはジャバーと呼んでいた)とか羊(マイケルはミスター・
ティッブスと呼んでいた)と同じように扱っていたらしい。バブルスと毎晩一緒に眠
るというようなことは無かったそうである。
マイケルにつきまとう変人のイメージというものは、周囲の人間が勝手に作り上げて
しまったところも多いようだ。
マイケルが普通と違う感覚を持っていることは間違いない事実だが、彼の奇妙な行動
の出発点というのは、誰もが頭に思い浮かべるような極く普通の考えである。
「家に動物園があったらいいのに」「家がディズニーランドだったらいいのに」「こ
の鼻がもっとカッコよければいいのに」「肌が白ければもっとうつくしくなれるのに」
だれでも考えることだけはありそうだ。
何てことをあれこれ思いめぐらせながらビールを飲んでいると、白いお皿一杯の水餃
子が運ばれてきた。
ごく普通に小皿に酢醤油と辣油をとり、それに餃子をつけて口に入れる。もちもちし
た弾力のある皮が印象的。皮を噛みきると中からじゅわっと肉汁があふれ出てくる。
舌を火傷しそうになって慌ててビールを流し込む。
ああ、僕はお家に動物園もディズニーランドも無いけれど十分しあわせ。はなぺちゃ
だってお気に入り。泣きべそなんてさよならである。
ビールをもう一杯お替りして、残りの餃子を食べる。皮が肉厚のせいか、随分とお腹
にたまる餃子だ。
ビール2杯と水餃子2人前で1600円くらい。
今度は水餃子は1人前だけにして、蒸し餃子を頼んでみようと思う。