5月6日(木)
最近、ときどきプールに泳ぎに行っている。
家から車で10分位のところに市民プールがあって、もっぱらそこで泳いでいる。一
回800円と少々高いのだが、設備がきれいであまり混んでいないのがよい。
初めてそのプールに行ったときは、クロールで50メートル泳いだだけで息が切れて
しまった。どうやら息継ぎが下手らしい。
クロールの息継ぎを見て恋終わる
これは内館牧子さんが週刊文春に連載しているエッセイで取り上げていた句であるが、
僕の息継ぎもひとつの恋を終らせるには十分な程見苦しく、滑稽なものであると思わ
れる。
壁を勢いよく蹴ってプールの中ほどに進むまでは快調である。しかし、そのうちだん
だん苦しくなってきて、息継ぎの度に上半身ががばっと起き上がり、口がひょっとこ
のように突き出ているのが分かる。
何かの拍子で水を飲んでしまったりするともういけない。腕は伸び切る前に力なく水
面にぱしゃぱしゃと打ち付けられ、不規則なバタ足はまるで足をつって溺れているか
のようだ。
すぐ横のコースでは「ジュニアオリンピック」と書いてある帽子を被った女の子が金
魚のようにすいすい泳いでいる。さっきまで僕の少し前をクロールで泳いでいたのに、
今はもう遥か遠くでバタフライである。
クロールの息継ぎを見て恋終わる
今はもう遥か遠くでバタフライ
恋終わりプールの味はカルキ臭
そんな調子で、慣れない水泳はなかなか大変なものなのであるが、それでもなおプー
ルに体を浮かべて泳ぐというのは結構気持ちが良い。休みの度に懲りずに通っている
うちに、息継ぎにもだいぶ慣れてきた。
小学生の頃は平泳ぎが得意で、平泳ぎの練習ばかりしていた。クロールを練習したと
いう記憶があまりない。何でそんな僕がいきなりクロールの練習を始めたかというと、
実はサーフィンをしてみたいと思ったからである。
今年の3月に久しぶりにスキーをしたら、なんだかとっても面白かった。それはまる
で、自然消滅してしまった恋人と街でばったり再会し、気まづさを持ちつつも別れが
たくて、喫茶店でコーヒーを飲みながらぽつりぽつりと話をしていたら甘く懐かしい
記憶がよみがえってきて、「ああ、私はやっぱりこの人が好き」ってな具合の経験だっ
たのである(これじゃよくわかりませんね)。
そんなある日、ミーツの江編集長から「サーフィンというのは時間で変化する波の上
でやるものだから、まるで雪崩の上でスキーをするようなものなのである」という話
を聞いて、何だかとってもサーフィンがしてみたくなったのである。
サーフィンにはパドリングというものが付き物らしく、どうやらそれは平泳ぎではで
きないものらしいので(たぶんスーダラ節のようになってしまう)、ちゃんとクロー
ルで泳げることが大切なのだ。
回りくどい説明になってしまったが、以上のような理由で僕はクロールの練習を始め
たのである。
夏はサーフィン、冬はスキー。
普通のサーファーは冬にはスノーボードをするが、僕の場合はスキーなのがポイント
である。だからどうしたと言われると困るのだが。
ちゃんとサーフィンができるようになったら報告致します。