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シナモンロールを焼いた

le 13 octobre

おばあちゃんが、胃に穴を開ける手術をした。
彼に会えなかった。
肌荒れが酷い。
左耳が痛い。
来週の仕事の予定で心配なことがある。
日に何度かイライラすることがある。
混乱した。

だから、シナモンロールを焼いた。

『かもめ食堂』のシナモンロールのレシピを、
ミクシーつながりの人に送ってもらっていたので、
丁度良い機会だと思い、朝から化粧もせずに
作った。
失敗することも多いようだったので、
失敗するかもなぁと思いながら作った。

パン作りに挑戦するのは、初めてだった。

とりあえず、イーストやら牛乳やら強力粉やら
バターやら卵やら砂糖やらを捏ねる。
どれぐらい捏ねればいいのか、レシピに載ってなかった
ので、疲れてきたところで適当にやめてみた。
本当は、その全てをなめらかにまとめなきゃいけない
みたいだったけど、まとまるどころか、手やボウルに
びたびたくっつきまわっていた。
捏ねていた右手から、そのびたびたを剥がそうと、
ついうっかり左手で触ったら、左手もびたびたになった。

とりあえず、手を洗うことにして、なかなかとれない
びたびたをお湯で落としている間に、生地は
落ち着いていた。
何となくまとまっていた。

何となくまとまっていたので、そのまま発酵させる
ことにし、ボウルの上に布巾をかけて、
一番暖かそうな自分の部屋に運んだ。
今日は寒かったので、発酵に少し時間が
かかるかなぁと思い、のんびりと朝ごはんの後片付け
をして、次に使うバターの準備をして、様子を
見に行ったら、かなり予定通りに発酵が進んでいた。

たぶん、もう元の2倍ぐらいになってる・・・と
感じたので、生地を延ばす作業にかかる。
麺棒に粉をはたいたのに、延ばそうと転がすと、
生地が絡んできた。
発酵しても、びたびたはびたびただったらしい。
仕方ないので、手のひらでふにふに延ばす。

延ばしたら、溶かしたバターを塗り、砂糖と
シナモンをふりかけ、端から巻いてゆく。
この場面は、DVDを何度も見ているので、意外と
手際よくそれらしくできた。
同じように、最後の型を決めるときも、
DVDの記憶があるので、意外とそれらしくできた。

後は焼くだけ。
焼きあがらないと、成功したかどうかわかんないなぁと
思いつつ、後片付けをしながら焼き上がりを待つ。

レシピ通り、途中で前後を入れ替え、焼き色が
均等になるようにし、その6分後ぐらいに
焼き上がった。

焼ける途中から、砂糖とシナモンの甘い香りが
していたけど、オーブンを開けると、それプラス
焼きたての香ばしい香りがぶわっと広がって、
それだけでしあわせを感じた。

上手く焼けているのだろうか。
そう思って、焼きたてのシナモンロールをひとつ
手にとってみる。
それは、本当にシナモンロールのようだった。
映画の中みたいに、ほわっと割って口に運んでみると、
食べてもそれは、シナモンロールだった。

どうやら成功したらしい。
両親にも、評判が良かった。

しょっちゅう作ればいいのに。だそうだ。
でも、今度作ったら失敗するかもしれないけどね。


おばあちゃんは、ついに自分からものを食べられなく
なってしまった。
口に運んでも、飲み込もうとしなくなったらしい。
このままにしておくと、すぐ死んでしまうけど、
胃に穴を開けて、そこから直接栄養を取るように
したら、また長く生きることができます。
うちは違うかったけど、もし仮に、本人から、
食べられなくなったらそのままにしておいて欲しい、
胃から栄養を取るようになって生きていても
仕方ない、と言われていたとして、
だからと言って、家族は手術をしない道を選ぶことが
できるだろうか。
どうなんだろう。

まだ少ししゃべることができて、目を開くことができる
その家族を前にして、手術はしないで下さい、と、
私は到底言えない。
でも、食べ物を食べれないで胃から栄養を取る状態で
生きていて、幸せなのだろうか、と問われれば、
幸せではないかもしれないと思う。

わからない。

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2007年10月15日 09:59に投稿されたエントリーのページです。

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