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更正せよニッポン

あびる優の件について警視庁が聴取に乗り出したというが、そりゃそうだろう。
テレビで堂々と発表された上にかく巷間の話題となった日には、立場上放置するわけにも参りますまい。
しかしあの番組内容がホリプロ・日テレ双方の関係者を見事にスルーして、めでたく放映に至ったというのは驚きである。
いかに個々の番組が野放し・ノーチェック・現場任せ体制のもとに作られているかがよく分かる。
企画を作る仕事場では、上の者がうるさく管理すればするほど企画が詰まらなくなる。
たいていは現場任せの方が面白い企画ができる。
それは大変よく分かるが、そういうレベルの問題ではなーい。
テレビ、特に民放の制作の人たちの一部は、この世間で一体何がよくて何がダメなのか、なんだかもうよく分からなくなっているのではなかろうか。
瑣末な例であるが弊社などには「義太夫ってなんですかぁ?」「○村×之助ってどういう人ですかぁ?」という類の電話がテレビ番組の制作部を名乗る人からしょっちゅうかかってくる。
お互いに社名を明らかにした上での社会人の会話としては「お忙しいところすみませんが」とか「恐縮ですがお教え願えませんか」とかいう言辞をともなうのが標準的な姿だと思うのであるが、そういうのはあまりない。
雰囲気としては「あのさあ、ちょっと教えてくれる?」という感じである。
現にそういう言葉遣いをするおじさまも時にはおいでになる。
電話というのは正直なもので、相手が向こうで頬杖をついて鉛筆を鼻に突っ込んでブラブラさせている(※イメージ)のまでありありと見える。
なぜそんなに偉そうなのであろうか。
私には分からない。
番組名や局名を名乗れば「わあ、テレビの人だあ~」とポーッとなったり「はは、これはどうもすみません、私どもは何も悪いことはいたしておりませんのではい」と恐れ入ったりすると思っているのであろうか。
そりゃあね。お客様のご質問に懇切丁寧にお答えするのも、手前どもが担うべき公共サービスの一環でございますよ。
ですから一般のお客様には誠心誠意対応させていただいておりますですよ。それはほんとに。
でも分からないことがあったらまず手元の範囲で調べてみるのが人の道ってもんじゃありませんかね。
まして番組制作スタッフならあなた、調べるのも仕事のうちじゃありませんか。
なにも図書館へ行ってくださいとは申しませぬ。
電話の前に、せめて国語辞典卓上版かネットをちょいと開けてみていただきたい。
ほとんどの問題はそれで解決するはずです。
それでも「そんなにヒマじゃねーもんなーオレたち」とかって言うのかな。そういう人は。
あ、あと学生さんで「卒論を書いていてえ、どんな資料があるか分からないんですけどお」と電話してくるひと。
早く更生してくださいね。

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2005年03月03日 09:28に投稿されたエントリーのページです。

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