すーさんの2018年の10大ニュース

<十大ニュース2018>

1、父親が亡くなった
秋口から「呼吸が苦しい」と訴えて、総合病院で精密検査を受けた結果、「間質性肺炎」と診断され、とりあえず現時点で治療法はないと医師から告げられたときから、自らの死を決意していたであろう父親が、年末の12月に入院してわずか10日で亡くなった。
入院した直後は、今後の療養のために介護認定を受ける準備をしていたのだが、日に日に病状が悪化し、自宅での療養は難しい状況と判断された時点から、長期療養先の病院を決めていた矢先、病院から危篤の報を受け取り、翌朝には帰らぬ人となった。
病院食をほとんど口にしなかったことから、急激に痩せ細って、体力的にも限界を迎えての死だったのであろうが、父親の性格から想像するに、たぶんわざと食事を摂らず、自ら死に向かっていったのだと思う。父親らしい、まことに見事な死に様であった。

2、ザルツブルク音楽祭へ
以前からぜひ行ってみたいと思っていたオーストリア、ザルツカンマーグートのシュタインバッハ・アム・アッターゼ。その湖畔には、グスタフ・マーラーが夏のオフシーズンに交響曲第2番と3番を作曲した作曲小屋が今も残されている。
せっかくザルツブルクまで行くのなら、ついでにザルツブルク音楽祭を鑑賞できないものかと調べたところ、なんと音楽祭が開幕した直後に、ウィーン・フィルによるマーラーの交響曲第2番の演奏会が開催されることを知った。
さっそく、音楽祭のサイトにアクセスし、チケットを申し込んでみた。チケットが確約されるかどうかは2ヶ月ほど待たねばならないとのことだったが、それから2週間後にチケットが確約された旨のメールが入った。天にも登る気持ちだった。音楽祭で聞いたアンドリス・ネルソンス指揮、ウィーン・フィルによるマーラーの交響曲第2番は、生涯忘れることがないであろう。
演奏会は7月の終わりだったので、約5ヶ月をかけてツアーの準備をした。いちばん頭を悩ませたのは、シュタインバッハ・アム・アッターゼへ行く方法だった。オーストリア連邦鉄道のHPにアクセスして、電車のバスのチケットを予約し、なんとかザルツブルクから日帰りできる日程を組んで、無事に作曲小屋にはたどり着くことができた。
それにしても、今夏のヨーロッパは暑かった。エアコンのないホテルでの滞在は、なかなかにきついものがあった。

3、ウェスタンジャパンボウル
この10年ほど、大学アメリカンフットボール界で毎年のようにレベルの高い試合を展開してくれている関西学院大学ファイターズと立命館大学パンサーズ。今年も、12月に開催されたウェスタンジャパンボウル(全日本大学選手権西日本代表校決定戦)では、期待に違わぬすばらしい試合を見せてくれた。
リーグ戦ではパンサーズを圧倒したファイターズであったが、この日は終始パンサーズがリードを奪った。「奇跡」は、試合終了まで1分56秒を残してファイターズ2点ビハインドというところから始まった。
それまでパスを3度もインターセプトされていたファイターズのQB奥野(5月の日大戦で悪質タックルを受けた選手)が、自陣から目の覚めるようなパスを2本通してパンサーズ陣内に攻め込む。さらに、ランを織り交ぜてパンサーズのゴール前へ前進。最後は、残り2秒を残してキッカーの安藤に逆転のFGを託す。関学の応援席からの大歓声を受けたキックは、見事ゴールポストを越えて、ファイターズの逆転勝利となった。
スポーツは筋書きのないドラマだと言われる。まさにその言葉通りのすばらしい試合だった。両チームの監督、選手、コーチにあらためて敬意を表したい。

4、サイモン・ラトル、ロンドン交響楽団演奏会
6月にベルリン・フィルの首席指揮者兼芸術監督を辞したサイモン・ラトルが、新たに就任したロンドン交響楽団を率いて来日公演をするとの報に接し、しかもその演奏曲目がマーラーの交響曲第9番と知り、これは何をさておいても聴きに行かず場なるまいとのことで、9月の終わり、横浜のみなとみらいホールへ。
ベルリン・フィルに比べると、自国のオーケストラであるということも手伝ってか、演奏はたいへんに感動的な演奏であった。今後の活躍が楽しみである。

5、黒岳登頂
今年の北海道旅行は、時期を例年とは1ヶ月ほどずらして、9月に行くことにした。目的は、日本でいちばん早いと言われる黒岳の紅葉を見るためである。
せっかく黒岳のロープウェイに乗るのならば、そこからリフトを乗り継げば7合目までは行けると知り、ならば登頂を目指してみようかということになった。
とりあえず登山靴だけあれば、あとはなんとかなるだろうと高を括っていたが、豈図らんや、そんなに甘いものではないということを思い知らされた。7合目から登り始めた時には薄日が差していたのに、8合目を過ぎたあたりから雨が降り始め、9合目を過ぎるころには吹き降りとなった。なんとか頂上にはたどり着いたものの、山頂は猛烈な風と雨と寒さで5分といられなかった。
早々に下山し、麓の層雲峡の宿の温泉に浸かって、ようやく生きた心地を取り戻した。あらためて自然の厳しさを実感させられた。

6、京都の桜と紅葉
3月の終わり、桜を愛でに京都へ。山科の勧修寺や大石神社、西陣の本法寺、蹴上インクラインや平安神宮の庭園などを回った。特に、本法寺ではちょうど公開していた長谷川等伯の佛涅槃図に圧倒された。夜は、中華料理店のハマムラにてナガミツくんと再会、久闊を叙した。
紅葉を愛でに京都に宿泊したのは、ウェスタンジャパンボウルが開催された12月の初め。雨上がりの北野天満宮内、御土居のもみじ苑を朝のうちに訪れたが、ほとんど訪れる人もなくて「紅葉の錦」を堪能することができた。

7、年間100冊超
今まで1年間に100冊以上の本を読んだ年はなかったのだが、今年は初めて100冊を超えた(102冊)。きっかけは、1月に千葉雅也『勉強の哲学』を読んだこと。この本を読んで、本の読み方が劇的に変わった。
今年読んだ本の中でベスト5は、①村上春樹『職業としての小説家』(スイッチパブリッシング)、②内田樹『日本の覚醒のために』(晶文社)、③生島美紀子『天才作曲家 大澤壽人』(みすず書房)、④立花隆『シベリア鎮魂歌 香月泰男の世界』(文藝春秋)、⑤千葉雅也『勉強の哲学』(文藝春秋)

8、ライフワーク
昨年定年退職してから2年目、ようやくこれから自分のライフワークにしようと思えることを見つけることができた。きっかけは村上春樹の『職業としての小説家』を読んだこと(もちろん小説家になることを目指すわけではありません、念のため)。なかなか難しいが、それだけにやりがいもあるし、何より楽しいと思えること。それがライフワークというものであろう。

9、陶器まつり
今年は各地の陶器まつりによく出かけた。5月は岐阜県土岐市の「美濃焼まつり」へ。9月は愛知県瀬戸市の「せともの祭」へ。そして、10月は滋賀県信楽町の「信楽焼まつり」へ。それぞれの土地での焼物の微妙な違いも少しはわかるようになってきた。個人的には信楽焼の素朴な感じがお気に入りである。

10、神保町ブックフェスティバル
10月、東京で香月泰男の作品が見られると知り、新宿まで出かけたついでに、神保町にて開催されていたブックフェスティバルに立ち寄った。あまりの出店の多さに驚いた。家内は、いろんな絵本がほとんど半額で売られていると知り、あれこれ買い求めていた。当日は、140Bのブースや、ブリコルール・パブリッシングの島田さんにもお会いすることができた。行ってよかった。

番外
年明けの1月、芦屋の光安さんからのご案内で、京都での「京響ニューイヤーコンサート」終演後に、指揮とオーボエ独奏のシェレンベルガー氏を囲んでの打ち上げに同席させていただいた。シェレンベルガー氏は、カラヤンの時代のベルリン・フィル首席オーボエ奏者である。至福の時間であった。

それでは、どちら様もよいお年をお迎えください。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。