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ザルツブルク音楽祭へ

(その1)チケットを手に入れるまで

昨年秋、東京都交響楽団からのDMにて、大野和士指揮・東京都交響楽団によるグスタフ・マーラーの交響曲第3番の演奏会が、今年の4月に東京文化会館にて開催されることを知った。チケットが発売されたのは昨年の12月。発売日当日、さっそくネットにてチケットを買い求め、演奏会を楽しみに待っていた。

グスタフ・マーラーは、19世紀末から20世紀のはじめに活躍した指揮者・作曲家である。存命中は指揮者として高く評価され、ヨーロッパ各地の歌劇場指揮者を経て、ウィーン宮廷歌劇場(当時)の終身芸術監督にも任命されたほどであった。
18歳でウィーン学友協会音楽院を卒業したマーラーは、生活のために各地の歌劇場で指揮活動をするかたわら作曲にも着手、20歳を過ぎてからはいくつかの歌曲集(「若き日の歌」、「さすらう若人の歌」)や、管弦楽を伴う大規模な合唱曲(カンタータ「嘆きの歌」)などを次々と完成させていった。
マーラーは生涯に11曲の交響曲(未完成作品を含む)を遺したが、交響曲第1番の作曲を始めたのは24歳のときで、5年後の29歳のときにマーラー自身の手で初演された。以降、マーラーの作曲活動は交響曲が中心となった。

交響曲第3番の作曲が始められたのはマーラーが33歳、ハンブルク市立劇場の指揮者をしていたころである。当時は、コレラの流行もあってハンブルクでも多数の死者が出たためか、マーラーは劇場の休暇を利用してハンブルクを離れ、2千メートル級の山々と70以上の湖が点在する風光明媚なザルツカンマーグート(オーストリア)のシュタインバッハ・アム・アッターゼ(アッターゼ湖畔のシュタインバッハ)に滞在、湖畔に小さな作曲小屋を建てて、作曲に明け暮れていた。
ちょうど交響曲第3番を作曲していた折、マーラーの弟子であるブルーノ・ワルターがシュタインバッハ・アム・アッターゼにマーラーを訪れた。周囲の風光に感嘆するワルターに向かって、マーラーは「君はもう何も見なくてもいい。僕がその全てを作曲してしまったから」と言ったそうだ(これは、マーラー・ファンであれば周知のエピソードである)。
休暇中は毎年のようにシュタインバッハ・アム・アッターゼを訪れたマーラーは、ここで34歳のときに交響曲第2番を、36歳のときに第3番を完成させた。

大野和士指揮・東京都交響楽団による交響曲第3番の演奏会を待つあいだ、そんなシュタインバッハ・アム・アッターゼを、機会があればぜひ一度訪れてみたいという思いはいっそう強くなった。
地図で見ると、シュタインバッハ・アム・アッターゼは、オーストリア国内では、ウィーンよりはザルツブルクからの方が近い。ザルツブルクと言えば、そのモーツァルト生誕の地で開催される音楽祭が有名である。もし、シュタインバッハ・アム・アッターゼを訪れるのならば、せっかくなのでザルツブルク音楽祭も鑑賞できないものだろうかと考え始めていた。

クラシック音楽を聴くのが趣味とは言え、実際にザルツブルク音楽祭については、その開催時期からプログラムまで、詳しいことはほとんど知らなかった。学生時代、FM放送のクラシック音楽番組のエアチェックをしている際、「今年のザルツブルク音楽祭から…」というアナウンスで、その音楽祭がクラシック音楽界では由緒ある音楽祭であることを知っていたくらいだ。
そこで、今年の音楽祭はどんなプログラムで開催されるのだろうとネットを検索してみた。すると、7月28日〜29日の両日にわたって、祝祭大劇場にてウィーン・フィルによるマーラーの交響曲第2番「復活」が演奏されることを知った!
驚いた。
シュタインバッハ・アム・アッターゼへ行くことを考えていたところに、その場所で作曲された交響曲第2番の演奏会がザルツブルクで開催されるのだ!
3番ではなかったが、「これはきっとマーラーからのお導きである」と思った。
まるで、ふと手に取ったジグソーパズルのピースが空白の部分にぴったりとはまったときのように事態が生起するときには、躊躇することなくその流れに乗らなくてはならない。
7月の終わりならば、今の職場は夏休みに入っている。
行くしかない!と思った。

さっそく、ザルツブルク音楽祭のツアーをネットで検索してみた。例えばJ社の場合は、オペラとコンサートの2種類のチケット付きで1人70〜80万円であった。家内と二人で行けば140〜150万円!とても手を出せる代物ではなかった。
さらにあれこれ調べてみると、ツアーではなく自分でチケットを手配する方法もあるということがわかった。音楽祭の公式ホームページから直接チケットを購入するのである。これならJ社ほどのツアー料金はかからない。往復の航空券と電車等による移動の交通費、ホテル等の滞在費、さらにはチケット代を加えても、J社のツアーの約半額で済みそうであった。もっとも参考になったのは、以下のサイトである。
http://ヨーロッパ音楽の旅.com/salzburgerfestspiele-ticket/

2月、件のザルツブルク祝祭大劇場でのウィーン・フィルによるマーラーの交響曲第2番の演奏会のサイトにアクセスしてみた。
7月28日は午前11時から、29日は午後8時からのコンサートであることがわかった。夜のコンサートよりは、初日の午前中からのコンサートの方がチケットは取りやすいかもしれないと思った。
28日のコンサートをチョイスして、座席を選ぶところまで進んだ。いちばん高い席は220ユーロ(約2万8千円)。もちろん、日本でウィーン・フィルを聴くことを考えれば安いのかもしれないが、二人で5万円以上もするチケットはあまりに贅沢であった。二階席ならば80ユーロ(約1万円)の席があったので、そちらを選ぶことにした。サイトでは、その座席からは舞台がどう見えるのかも確認することができた。鑑賞には特に支障のない座席であった。
二人分の席を選び、支払いのページに移った。クレジットカードの番号を入力し、エイヤッと気合いを入れて申し込み確定ボタンをクリックした。すると、公式ホームページのチケットセンターからは、以下のような返信が送られてきた。曰く、「汝の予約を受け付けた。しかし、確実にチケットが手配できたわけではない。チケットが確約できるかどうかは3月末日までには連絡するので、それまで待たれよ」とのことであった。
3月末まで猶予がある理由はよくわからなかったが、世界的に人気のある音楽祭だから応募者の中から抽選するのかもしれないなどと思っていた。もちろん、チケットが入手できなければ、ザルツブルク行きは諦めるつもりでいたのである。

すると、そのメールが来てからわずか2週間後、Salzburger Festspieleというところからメールが入っていた。
ザルツブルク音楽祭のチケットセンターからだ!
ドキドキしながらメールを開いてみた。
「汝の申し込んだチケットは確定した」とのメールであった。
ミューズ神は舞い降りたのである。
天にも上る気分であった。
こうして、ザルツブルク音楽祭への旅支度が始まった。

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2018年06月21日 06:05に投稿されたエントリーのページです。

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