スーさん、雀徳を積む

9月12日(月)

先週の土曜日は支部定例会。
たいへんにうれしいことがあった。
かつて20年以上通った麻雀荘、浜松支部の原点とも言うべきその麻雀荘は4年前にお店を畳んだのだが、その麻雀荘が復活することになったのである。

きっかけは、定例会の前に食事も兼ねて一杯やるお店を、どこにしようかと考えていたときだった。
支部の「旗亭」にしていたお店が閉店して2年。その後には、夜から明け方にかけて営業するラーメン屋さんが入った。しかし、さすがに夜の間だけではなかなか営業も難しかったのか程なく閉店。その後は空きテナントになっていたのだが、最近「家族的雰囲気の居酒屋」という触れ込みの新しいお店が入った。
どんなお店なのか、一度行ってみようということになった。しかし、さすがに一見のお店は、できれば誰かから情報を得て行く方がよかろうと思った。
そのテナントの大家さんが、かつてわれわれが通いつめた麻雀荘のオーナーだったのである。
さっそく大家さんに電話をしてみた。
「あのお、昔よく麻雀しに行った者なんですけど」と言うと、電話口に出たオーナーの息子さんの奥方は、「ああ、声に聞き覚えあります」とおっしゃって、すぐに息子さんに代わってくださった。
「あの、今度新しくテナントに入ったお店のことなんですけど」と切り出し、その様子を教えてもらおうとすると、「実はボクもまだ行ったことないんですよ。だっていつもお客さんでいっぱいみたいだから。それより、ウチの麻雀荘のすぐ下のお店にすればいいじゃないですか。ご夫婦が二人でやられているいいお店ですよ」と教えてくださった。そうして、「実は麻雀荘をまた始めようかと思ってるんですけど」とおっしゃった。
「え!ホントですか?なんでまた?」と尋ねると、以下のような答えが返ってきた。
息子さんはもともと料理人だった。麻雀荘のすぐ下のお店は、その息子さんが営む洋食屋さんだった。
ところが、過労から心臓を患ってお店を続けることが難しくなり、店舗はテナントとして貸し出すことにした。後には和食のお店が入った。
その間は、調理師の資格を活用していろいろなところに料理を作りに行ったりしていたのだが、自宅を改築したことをきっかけに、すぐ隣にある麻雀荘も改装してみようかという気持ちになったらしい。オーナーの名義を変更し、自分でペンキ塗りをするなどして内装も整え、今まであった全自動卓も古いものは廃棄して、何台か新しい卓を買い揃え、早ければ今月末くらいには再開しようと思っていた、とのことだった。
「ちょうどよかった、よかったらお店を再開する前に、新しく入れた台の調子とかも見たいんで、ウチで麻雀してみてくれませんか?」とおっしゃってくれたのだ。
即刻、かつての麻雀荘に集合する旨のメールが支部会員たちに発せられた。

その土曜日。集合は麻雀荘直下の居酒屋さん。
店内には近所の主婦連と思しきオバちゃんたちが、あたりかまわず大声で話しかつガハハハ!と大笑いしながらコース料理の小宴を営んでいた。
とりあえず店内に入って、オノちゃんとビールを飲みながら今回の経緯を話していた。そのうちにヨッシーが現れた。すぐにヤイリくんも。メンバーが揃ったので、隣にある息子さんの自宅に出向き、一度ご挨拶を
ということになった。
すぐに息子さんが出てきて、「じゃあ、麻雀するとこ見てもらいましょうか」ということになった。4年ぶりにかつての麻雀荘の店内に入った。タバコの脂で茶色に変色していた壁は明るいクリーム色に塗り替えられ、巨大な冷房装置は撤去されて普通の業務用エアコンに換わり、6台あった全自動卓は4台に減らされ、その関係で照明も一部場所が変えられて、ひどく明るい光を店内に投げていた。
思わず、「おお!」と歓声が挙がった。
「でもね、一つだけ他のお店とは違っているところがあるんです。店内を禁煙にしようと思うんです。もちろん、タバコを吸われるお客さん用には喫煙場所が用意してあります。それから、飲食の持ち込みも自由にして、冷蔵庫も勝手に使えるようにして、その分料金をお安くしようと思ってるんです」と息子さん。
禁煙の麻雀荘!もちろん、異論はない。喫煙するオノちゃんたちも、何より昔から慣れ親しんだお店でまた麻雀ができることの喜びに前には、禁煙など何ほどのことがあろうということだった。
「よろしければ、さっそく今晩にでもやってみてくださいよ」とのお言葉に、一も二もなく同意して、下のお店の小宴もそこそこに、すぐに麻雀荘へと上がって記念すべき復活の半荘が始められたのだった。

こういう夜には役満が出るようになっているのだろう。
ヨッシーが四暗刻をツモった。それも、ラス牌の發。暗刻を我慢して揃える最もヨッシーらしい役満の和了だった。
かくして、我らが支部麻雀荘復活記念の例会は、ヨッシーがトップ。3戦して2回最下位に沈んだ支部長が3戦目にして怒涛の和了を見せて2位。オノちゃんが支部長分を、ヤイリくんがヨッシー分をそれぞれ被ったという結果だった。

それにしても、まさか再びかの麻雀荘で打牌できるときが来ようとは。夢にだに思ってもいなかった。
今回は、言わば「内覧会」のようなものであったが、来る正式オープンの日には、支部総出でその復活を言祝ぎたいと思う。
まさに、その麻雀荘の名前に相応しい再出発である。
「寿荘」よ、永遠に!