スーさん、夏風邪のつぎは蜂に刺される(でも優勝)

7月19日(火)

土曜日は、市内大会個人戦の3回戦から決勝まで。
本校からの参加は3ペア。
とりあえず、3回戦を突破しなければ県大会への出場可能圏内には入れない。本市から県大会へ出場できるペアは25ペア。ベスト32(3回戦突破)に残れば、次の4回戦で負けても敗者復活戦があるのだ。

最初に登場したのは#144のペア。相手は市内大会団体戦を制した学校の団体メンバーペア。実際、団体戦の時にはそのペアと対戦して、本校ペアが鎧袖一触のストレート負けを喫していた。
個人戦での再戦がわかっていたので、本校ペアには重点的に練習しておくべきことを確認しておいた。
試合が始まった。最初のゲームは落としたのだが、第2ゲームから徐々にポイントをリードし始めた。ゲームカウント2-2から続く第5ゲームを取ってそのまま行くかと思ったのだが、相手もそこから粘ってタイブレークに持ち込まれる。それでも、タイブレークは終始こちらのペースで進行した。そのままゲームセット。団体戦の借りを返す形になった。


#70と#116のペアは、無難に3回戦を突破した。だが、ちょうど#70のペアのベンチに入っていたとき、せっかく難敵の初戦を突破した#144が4回戦で負けたという報告が来た。初戦で力を使い果たしてしまったということなのだろうか。いずれにしても、順位戦の初戦で勝てば県大会への出場が決まる。「とにかく二人でがんばって1勝してこいよ」と敗者復活戦に送り出した(しかし、結局その1勝を果たせず、県大会出場はならなかった)。

#70と#116のペアは、特に苦戦することもなく4回戦も突破して、ベスト16入りを果たす。両ペアとも県大会への出場が決まった。
それで気が抜けたわけではなかろうと思うのだが、#70のペアは8本取りで第4シードに敗れてしまった。春にも対戦して負けている相手である。
この試合では、ちょっとしたトラブルがあった。
監督がハチに刺されたのである。
ちょうど#70が第1ゲームを取ってサイドチェンジしたので、その指示を与えたあと、すぐ隣のコートで試合を始めようとしていた#116のペアにひと言声をかけておこうと立ち上がった際、左手の平に棘が刺さったような痛みを感じたのである。ん?何だ何だ?とよく見ると血が滲んでいた。痛みもある。と、応援席にいた本校の生徒が「先生、ハチがいました」と言うではないか。
げ、ハチに刺されたのかとは思ったのだが、そのままベンチを離れるわけにはいかない。すぐに応援席の生徒に会場詰めの養護教諭を呼びに行ってもらうよう頼んだ。程なく、養護教諭がコートまで降りてきて、刺されたところから蜂の毒を揉み出すように処置してくれた。
そんなことが影響したのかどうかはわからないのだが、#70は第2ゲームから続けて2ゲームを落として逆転され、そのまま挽回することなく敗れてしまった。集中してコーチできなかったことは否めない。選手たちには悪いことをしたと思う。

すぐにコートから出て、養護教諭に言われたとおり刺されたところを水道水で洗い流してアイシングした。時々チクチクと痛みがくる。
そうこうしているうちに、#116の大将ペアの8本取りの試合が始まっていた。アイシングの氷等を用意して第4ゲームくらいからベンチ入りした。この試合も、特に競り合う場面はなく、順調にベスト8入りを果たしてくれた。
続く準々決勝の相手は、第3シードを倒して勢いに乗る相手だった。しかし、試合が始まると、落ち着いた試合運びの本校ペアに比べて、何かしら力みがあったのか相手が要所でミスを繰り返してくれた。この試合も苦戦することなく勝ってベスト4。

準決勝の相手は、春の選手権で敗れている第2シードのペアだった。この試合は接戦になった。互いに意識するところがあったためか、どちらもミスの目立つ試合となった。勝敗の行方はタイブレークに。そのタイブレークも一進一退。ポイント5−5からようやく本校ペアが2点を連取してゲームセットとなる。
結果は本校ペアが勝ったが、実際にはどちらのペアが勝ってもおかしくはない試合だった。ベンチでは、「まあ、どっちが勝ってもいいんじゃない?」と思って見ていた。そんなベンチのゆとりのようなものが、微妙に選手には伝わったのかもしれなかった。

さて、決勝である。
選手たちには、「今まで本校選手による夏季市内大会の優勝はない。お前たちが新しい歴史を作るんだぞ」と話して送り出した。
しかし、相手は準決勝で第1シード(6月の県選手権準優勝ペア)を倒した試合巧者のペア。後衛は、こちらの前衛選手の動きをよく見て配球し、思い切ってサイドにプレースメントしたボールを繰り出して得点を奪う。前衛選手も、思い切りのいい動きでこちらの後衛の打つボールを追いかけてポイントする。
何とか1ゲームは返したものの、ゲームカウントは1−3。完全に劣勢の状態であった。
流れが変わり始めたのは第5ゲーム。相手が勝ちを意識し始めたためか、単純なミスを繰り返して2−3。
チェンジサイドのときには、どうやってポイントを取られているのかを選手に伝えた。特に、こちらの前衛選手の動きをどうやって相手後衛の配球にアジャストさせていくか細かく指示した。そんなことが少しずつ奏功し始めたらしく、続く第6ゲームを取ってタイブレークに。
タイブレーク前は、だんだんと相手後衛にマッチし始めていた前衛選手に、再度その動きを確認させた。
しかし、ようやく追いついて勝ちを意識し始めたためか、今度はこちらの後衛選手にもミスが目立ち始めた。ポイントは5−5からDeuceを繰り返す。マッチポイントが双方を行ったり来たりする。
この時にも、準決勝と同様に「もう勝敗なんてどうでもいいや」と思っていた。中学生のゲームというのはそういうものなのではないか。
ベンチが気を揉むより、実際に試合をしている選手たちがどんな気持ちでプレーしているかということだ。そんな気持ちに寄り添ってやるのが、監督・コーチの仕事だ。
何度も繰り返したDeuceの果て、本校後衛選手が思い切って相手前衛のサイドにプレースメントショットを放った。勝負あったと確信した。最後は完全に相手後衛の配球を読み切った本校前衛がポイントをしてゲームセット。
ベンチに戻ってきた選手たちとがっちり握手する。挨拶に来た相手選手には、「県大会でもがんばろうな」と声を掛けた。184ペアの頂上決戦に相応しいナイスゲームだったと思う。

前週来の夏風邪が、今回の個人戦優勝でようやく抜けた気がした。選手たちに、そうして陰に陽にバックアップしてくれた保護者のみなさんにも感謝したい。
もちろん、ハチ刺されに適切な処置をしてくださった養護教諭のH先生にも、である。