スーさんのマイブーム

2月28日(月)

最近の「マイブーム」について(しかし、この言葉もあまり聞かれなくなったような)。

○休日の朝コーヒー
別に何かきっかけとなることがあったわけではない。休みの日の朝食後に、コーヒー豆をミル&ドリップして飲むことの愉悦を覚えたのである。
何より、朝陽の差しこむ部屋にコーヒーの香りが揺蕩うのがよい。そうして、ゆっくりとコーヒーを飲みながら、さあて今日は何の本を読もうかなと本を選ぶときの得も言われぬ愉しさ!
これぞ休日、という満ち足りた気分を味わうことができるのである。
コーヒーと言えば。
バリに行ったとき、守さんから「コピ・ルアック」を紹介された。知っている方も多かろう。
「インドネシアのコーヒー農園ではロブスタ種のコーヒーノキが栽培されており、その熟した果実は、しばしば野生のマレージャコウネコに餌として狙われている。しかし、果肉は栄養源となるが、種子にあたるコーヒー豆は消化されずにそのまま排泄されるので、現地の農民はその糞を探して、中からコーヒー豆を取り出し、きれいに洗浄し、よく乾燥させた後、高温で焙煎する。
コピ・ルアクやカペ・アラミドは、独特の複雑な香味を持つと言われており、煎り過ぎて香りが飛ばないように、浅煎りで飲むのがよいとされる。一説によると、ジャコウネコ腸内の消化酵素の働きや腸内細菌による発酵によって、コーヒーに独特の香味が加わるという。
世界で最も高価なコーヒーとして知られており、500グラムにつき300から500米ドルの価格で販売されている。」(@Wikipedia)
その稀少品のコーヒー豆を、バリではかなり安価に手に入れられると教えられ、ならばと50グラムだけ購入してきたのであった。
でも、まだ飲んでいない。奥さんに、「今のコーヒー豆がなくなってからじゃないとダメ」と言われているのだ。そのコーヒー豆もそろそろなくなりかけてきている。いよいよコピ・ルアックの出番が控えているのである。ああ、何という楽しみ!

○『彼自身によるロラン・バルト』(佐藤信夫訳、みすず書房)
休日の朝コーヒーに続いて、決まって読む本がこれ。
もちろん、書いてある内容はほとんど理解できていないと思われるのだが、そしてたとえ集中して読んだとしてもせいぜい30頁ほどしか読めないにもかかわらず、なぜか少しずつでも読みたくなってしまうという不思議な本。
体系化によるイデオロギー性を排除しようとした断章形式で書かれているのも、つい読みたくなる理由の一つなのかもしれない。
でも、この著作も残りあと50頁ほどになってしまった。読み終えるのが惜しいので、少しずつ読んでいる。

○ニーチェ
巷で評判の『超訳…』を読んだわけではない。
このところ、そのアフォリズムを読むたび、妙にぐっと来るのである。
例えば、次のような一節。
“本来の意味での哲学者とは命令を下す者であり、また法を作り、定める者なのである。(…)彼が行う「認識」とは創造行為であり、そういう創造行為は立法であり、彼の真理への意思は、すなわち、<力>への意志である。”(出典『善悪の彼岸』、ジル・ドゥルーズ『ニーチェ』湯浅博雄訳、ちくま学芸文庫より)
そうか、哲学者は立法者でなくちゃならないんだ、と納得させられることしきりなのである。
いま気になっているのは、有名な「永劫回帰」について。
どんな時代であれ、人が生きて考えていることは、昔も今もほとんど変わっていないのではないかと思えるからである。
ああ、ニーチェの考えをもっと詳しく知りたい!

○「24の前奏曲とフーガ」(ショスタコーヴィチ)
毎日聴いている。
何度聴いても飽きないのだ。
この曲は、作曲者自身によれば、
「最初は対位法音楽の技術的な習作のつもりだった。しかしその後構想を拡大し、バッハの平均率クラヴィア曲集に倣って、一定の形象的内容を持つ小品の対位法様式による一大曲集にすることにした」(@HMV)
とのことで、1952年に全曲が初演された。
いつも聴いている演奏は、初演者でもあるニコラーエワの最初の録音(1962年)。
録音こそやや古いが、情感が籠められたすばらしい演奏と思う。特に、緩やかなフーガは秀逸。作曲者と演奏者の深い精神性を感じ取ることができる。
行き帰りの車の中でこれを聴くと、とても気持ちが落ち着く。
今の自分にはなくてはならない曲の一つである。

○チャッ友
facebookでのチャットについては、以前バリでご一緒したフルタさん姉妹の妹御(通称「北新地」さん)のことを日記に書いたが、あれから、同じくバリでご一緒したトクミネさん双子のお姉さんなどともチャットをしてみたりした。
特に、「北新地」さんとのやりとりは、そのジェネレーション・ギャップから逆にこちらが教えてもらうことも多く、例えば「ヤンキーと不良の違い」とか、他愛がないことかもしれないのだが、今まで知らなかった世界の一端を知ることができた。
SNSの機能を利用することで、自分の世界がまた少し広がっていく。そんな時代になった。
ただ、PCに向かってムフフとか言いつつキーボードを叩いていると、横から奥さんが怪訝な顔をこちらに向ける。

以上が最近の「マイブーム」である。

そう言えば、明日は誕生日。
ついでに、「マイブーム」ならぬ「最近の心掛け」を。

○「あくせくしない」
正直、イラチな人間である。でも、バリに行って何かが変わった。
まあまあそんなにあせらんとのんびりいこうや、いつもそんなふうでいたい。

○「こだわらない」
もちろん、こだわりはある。キュレーターも捜すことであろう。
でも、極力こだわりはなくすようにしたいし、それを表に出すようなことは避けるようにしたい。
「知ってることでも知らんふり 何時でもアホでいるこっちゃ」(@松下幸之助)の心がけで。

○「他人の陰口悪口や愚痴を言わない」
言っても、生産的なことは何もない。
却って、自分をスポイルするだけである。
と言うか、他人を悪く言うことは、自分に呪いをかけることである。

こんなことを言う年齢になった。