スーさん、関西に来る

10月18日(月)

土曜日は、午後から大阪へ。
日曜日の朝から行われる、韓氏意拳講習会に参加するためである。もちろん、前泊するのであるから、時間が合えば講習会を指導される守さんともお会いできればと思っていた。
さらには、日曜日の午後からは本部連盟にて例会が予定されていた。内田総長をはじめ、本部のみなさんにもお会いしたく、同行のオノちゃん、スガイくんの了解も得て、そんなに遅くはならないように内田先生宅へのお邪魔しようとの目論見であった。

土曜日、スガイくんは午前中授業とのことだった。終わってすぐに車で浜松まで来ることになっていた。今回は3人だけだから、わが家に集合して、燃費のいいプリウスで行こうということになっていたのだ。
午後2時、スガイくんからメールが入った。もう掛川インターを過ぎたとのことだった。程なく到着。ほぼ同時に、オノちゃんもやって来た。
スガイくんの車は、今年の4月に納車されたばかりのヴェルファイア。まだほとんど新車と言ってよい。よく走りそうだった。それに、ワンボックスなら長時間ドライブでも、ゆったりのんびり乗っていられる。「ねえ、ヴェルファイアで行かない?」とスガイくんに提案したところ、「いいすよ」と快諾してくれたので、ソッコーで荷物を積み込んで出発。

東名、伊勢湾岸道、東名阪、新名神、名神と通って行ったのだが、途中まったく渋滞には遭遇しなかった。慢性的に渋滞している箇所も、スムーズに通過できた。おかげで、午後6時前には大阪に到着した。
すぐにホテルにチェックインして、夕食場所に考えていた心斎橋の「まつりや」へ。久しぶりに、どうしても「ちりとり鍋」が食べたかったのだ。スガイくんは、何度か来ているらしく、「あそこの肝焼きは絶品ですよね!」と、これまた行く前から楽しみにしている様子だった。地下鉄に乗るのももどかしく、なにわ筋からタクシーで心斎橋へ。

「まつりや」は、まだ誰も客がいなかった。入ってすぐの席に着き、件の「肝焼き」から。自分はふだんは肝焼きなど食べないのであるが、ここの肝焼きは別次元のうまさである。あっという間になくなって、もう一皿が追加される。ビールとのマッチングも最高である。以後の注文は、お店の人にお任せ。和食に日本酒が合うように、「ちりとり鍋」にはマッコリがよく合う。これも次々と追加注文された。
最後はうどんを2玉。肉汁とタレが絡んで絶妙のうまさである。さらには、スガイくんがどうしてもご飯にタレを絡ませて食べたいとのことで、さすがにそんなには食べられないだろうと思いつつも、持ってこられたご飯の量を見るとちょっと足りなさそうだったので、これも2杯注文。確かに、うどんとはまた違ったうまさだった。
十分に満足して「まつりや」を後にする。

これだけお腹がいっぱいだと、少し歩かないとどうしようもない。ということで、心斎橋をなんば方面に歩く。土曜日の夜ということもあり、人、人、人。道頓堀橋だが、川べりまで降りられるようになっていた。知らなかった。なんばのタワレコにも行ったのだが、まさか午後11時まで営業しているとは。知らなかった。さすがは大阪である。
そうやってなんば周辺をぶらぶらしていると、守さんからメールが入った。「ホテルにチェックインしました。如何がいたしましょう?」とのとこだったので、「すぐ行きます」と返事してタクシーに飛び乗った。
もちろん、宿泊しているホテルは「リーガロイヤル」だとばかり思っていた。広いロビーに到着して守さんを待った。
またメールが入った。「ロビーに降りてきました。どちらでしょうか?」とあったので、すぐに電話をかけた。何と、「リーガ違い」だった。守さんの宿泊ホテルは、「リーガイン」だったのだ。ドアボーイの方に確認すると、「歩くと10分くらいかかります」とのこと。タクシーで行くことにした。

ようやくのことで守さんと対面。いきなり、本場讃岐うどんのお土産をいただく。守さんはお酒を飲まないとお聞きしていたので、近くのスタバに行ったのだが、「もうラストオーダーになります」とのこと。仕方がないので、これまた近くの居酒屋へ。
ここからが、「守さんの臨時身体操法講習会」の始まりだった。わたしたち3人は、まず守さんの語り口に居着いてしまった。でも、そのお話は一つ一つが至極納得できるものばかりだった。あっという間に閉店の時間となってしまった。店から出ても「講習会」は続いた。通りがかりの人たちの不審な視線も物ともせず、手や足のいろいろな動きを実際に試していたのであった。いやはや。
「ではまた明日、よろしくお願いします」と、守さんと別れたが、わたしたちがどれほど深く感動したかは、とても言葉では表現できないほどであった。

翌日、ホテルをチェックアウトして、講習会の会場である大正区のスポーツセンター「アゼリア大正」へ。守さんはもういらっしゃっていた。昨晩のお礼を言いつつ暫し雑談。
講習が始まった。参加者はわたしたちを入れてちょうど10人。まずは「站樁」から。「立ち方」についての詳しい説明をお聞きする。動作は極めて単純なのだが、そこでの力の入れ方がたいへんに難しい。
以下、覚えているものを挙げると、「横向」、「抱式」、「試力」など。一つ一つ、守さんがマンツーマンで指導してくださる。自分では「こんな感じかな」と思ってやっているのだが、いざ守さんに手を持たれたりすると、ついそれに抵抗しようとして力が入ってしまう。「そう、それでいいんです!」と守さんに言われると、何となく力の入り方が実感できるときもあるのだが、何となく印象はぼんやりしていて、掴みどころがない(と言うか、たった1回の講習でそんなことが掴めるはずがない)。でも、例えば腕の力だけに頼らなくても、大きな力を出すことができるんだということは実感できた。これは、合気道の「呼吸」とも通じ合うところである。
驚きやいろいろな発見があった、あっという間の3時間だった。お世話になった守さんにお礼を言い、「浜松講習会」の日にちを約して、講習会場を後にする。
それにしても、前夜の「臨時講習会」も含めて、たいへんに充実した「韓氏意拳体験」だった。何となく、身体のバージョンが一段繰り上がったような気がした。

途中で昼食を取りつつ、午後は神戸へ。内田総長宅にて行われている、本部連盟例会に伺候するためである。玄関で部屋番号をプッシュすると、インターホンから「浜寇や!」という声が聞こえた。「あんまりでしょ」とはオノちゃんの弁。
既に、釈先生、ジロー先生、カンキくん、ミツヤスさんが卓を囲んでおられた。育成組のオーサコくんとクロダさんは、台所にて「ひと皿フレンチ」を作成中だった。総長にご挨拶をして、つい最近発売されたばかりのご著書にサインしていただく。
帰りの時間のこともあったので、麻雀はやらなくてもと思っていたのだが、そのうちにカワカミ牧師やヒラオさんもお見えになって卓も追加されたので、「では1回だけ」ということになった。釈先生が絶好調だった。やはり早めに香川へと帰るカンキくんは親倍を、自分は親ハネをそれぞれ最後に釈先生に振り込んで、マイナスの海に沈んだ。
「ではこれで」と総長宅を辞去する。総長からは、「忘れ物ない?あ、でも忘れ物あっても今度の土曜日にボクが持ってけばいいか!」と仰られた。決してそのお言葉に甘えたわけではないのだが、デジカメを忘れてきたことに気づいた。最後にオチが着いた気がした。

こうして、「韓氏意拳の週末」が終わった。「濃〜い」2日間だった。