スーさん、選考する

11月30日(月)

土日は、静岡県中学校対抗ソフトテニス大会。新人戦の県大会である。土曜日が団体、日曜日が個人戦であった。
例年ならば、自分とこのチームが負けてしまえばそれでおしまいなのであるが、昨年から都道府県対抗戦に出場する県選抜男子チーム監督を引き受けた関係で、この大会で県選抜チームの選手選考をしなければならなくなってしまった。
選ぶのは9ペア。とりあえず、冬休み中に愛知県にて開催される「東海インドア大会」に出場する団体3チーム分の選手たちである。
県西部地区の選手は、地区大会終了時点である程度選んで強化練習会も行った。あとは、中部・東部地区の選手を見て選考すればいいのだが、この選考がなかなか難しい。もちろん、監督が一人で選ぶのではなく、スタッフで協議しながらの選考なのだが、最終的には来春の都道府県対抗戦に出場させる選手のことを念頭に置いて選んでいくことになるから、いきおいその選出条件のレベルは高いものになってしまうからだ。
そんな事情で、自チームの指導よりも、そちらの選手選考にウェイトがかかってしまうのも致し方ないというところであった。

まずは団体戦。
本校の初戦の相手は、東部地区のT中。3ペアとも平均化された実力を有するチームであったが、この試合は相手のミスにも助けられて勝つことができた。
続く2回戦の相手は第3シード。中部地区優勝校である。トップ、ゲームカウント2-2まで競ったが、そこからこちらのミスが止まらなくなって敗戦、2番もゲームカウント0-3とリードされ敗色は濃厚であった。それにしても、ふがいない試合ぶりであった。確かに、県大会前にはインフルエンザの影響で選手の所属する学級が学級閉鎖になったこともあり、お世辞にも十分な練習ができたとは言い難い状況で迎えた大会ではあった。だが、ミスの仕方というものある。明らかに集中力を失い、地に足がついていない状態でミスを繰りかえす選手たちを見ていると、コーチする言葉も失うほどであった。
仕方がないので、「これで3番に回せないようだったら…(以下略)」と引導を渡した。不思議なものだ。次の第4ゲームから、いきなり相手がミスし始めた。あっという間にタイブレークに追いつき、そのタイブレークも先にリードする展開で勝利をものにしてしまったのである。まことに、中学生の試合というのはわからない。
3番勝負になった。この時点で、たぶん勝てるだろうと踏んでいたが、試合は接戦になった。互いにサービスゲームを落としながらタイブレークに。そのタイブレークも一進一退の攻防で5-5まで競ったが、最後は本校選手が連続でミスしてゲームセット。勝てるチャンスも十分にあっただけに、惜しい敗戦となった。
もちろん、負けるのには理由がある。それは、新チームになってからずっと課題だったことだ。技術的な課題ももちろんあるのだが、それよりも精神的な部分の改善が必要だということである。選手たちがどれだけその必要性を感じているかはわからないが、それなくしては本校チームのレベルアップも頭打ちになってしまうであろう。そんなことを選手たちには話をした。

その日の夜は、県選抜チームの主立ったスタッフが集まって、最近よく行くようになった中華料理店にて小宴。何せ、一人2100円からコース料理、さらにプラス千円で飲み放題と、このデフレに時代にいかにもマッチしているお店である。
よくよく集ったメンバーを見れば、浜松と富士宮の先生たちである。かつて、富士宮の中学校は常に県中学校のソフトテニス界をリードする存在であった。手前なども、どうやって富士宮の学校に対抗していこうかということばかり考えていた時期もあった。言わば、いいライバル同士であったのである。
そのかつては県大会で覇を競った監督たちが、こうして一堂に会しているのだ。どころか、互いに手を携えて都道府県対抗戦に立ち向かっていこうとしているのである。感慨は一入であった。
気持ちよく飲んで、その後はいつもの雀荘にて浜松・富士宮交流戦。しっかり酔っていたので結果はよく覚えていないが、シンムラくんが負けたということだけは確かだった。

明けて日曜日は個人戦。
本校からは、開催地区推薦枠も含めて2ペアがエントリーしていたが、対戦によっては1,2回戦で姿を消してしまう選手も見ておかなくてはならないので、とても自チームの選手たちには十分なコーチをしている余裕はなかった。
本校の2ペアのうち、1ペアは富士宮地区優勝ペアにタイブレークまで競ったが、そのタイブレークは一方的にミスをしてあっけなく敗戦。もう1ペアは、前日の団体戦で対戦した中部地区優勝校の大将ペアと対戦、相手後衛にいいように配球されてこちらはストレートの敗戦であった。
自チームのペアがいなくなったので、選手選考に専念できる状況となった(選手たちは監督に気をつかったのかもしれなかった)。
だんだんと候補選手が絞られていった。気がついたのは1年生選手たちのレベルの高さであった。中部地区や東部地区の選手で目を引く選手のことを他のスタッフに確認すると、その多くが1年生であった。びっくりした。もちろんジュニア出身の選手たちであろうが、中にはジュニア育ちではない選手もいた。うかうかしてはいられないと実感させられた。

個人戦の決勝は、西部地区のペアで争われた。軍配が上がったのは、磐田N中のペア。後衛がびしびしと厳しいボールを打ち込み、前衛が確実にポイントを挙げる。見ていて気持ちのいいペアである。
その後衛のS選手、小学校時代に本校まで練習に来たことがあったから、旧知の選手であった。小学生の時にはまだまだ華奢な体格であったが、見違えるようにたくましい選手に成長していた。まるで、自分のところの選手が優勝したかのようにうれしかった。
決勝戦前、スタッフで協議をして9ペアを絞り込んだ。多少は議論するところもあったが、現時点でほぼベストに近い選手を選ぶことができたと思う。
とりあえず、このメンバーで強化練習会を行い、東海インドア大会に臨む。名だたる選手こそいないが、貴重な強化練習会の内容を濃いものにして、少しでもレベルアップさせていきたいと思う。しんどい仕事ではあるが、やりがいは感じている。どうせやるのなら、選手たちと楽しみながらやっていきたいと思う。
目標は、もちろん今年も「都道府県対抗で初戦突破」である。
がんばろう。