スーさん、ちょびっと切れかかる

10月5日(月)

土曜日は、市内中学校新人ソフトテニス大会の決勝トーナメント。前日来の雨で、「たぶん試合は中止になるだろうなあ」と高を括っていたのだが、豈図らんや、開催の可否が決定される午前6時には雨は止んでおり、その後も天気は急速に回復という予報であったから、開催決定は至当のことであった。

もちろん、前日は本校とて他の学校と同様に雨天練習場所など確保してはいない。学校の体育館も、他の部が使用している。仕方がないので、視聴覚室にて今夏のインターハイ男子個人決勝のDVDを視聴させることにした。その時点での翌日の天気予報は、「午前中は雷を伴って一時強く降り、のち晴れ」というものだった。選手たちには、「たぶん雨で中止になる可能性が高いが、天気のことだからどうなって対応できるように朝から支度をしておくこと」と指示して解散させた。

当日の朝。大会役員のシンムラくんからメールが入ったのは午前5時45分。「決行します!」とのことだった。すぐに主将のところへ電話を入れ、学校で練習はできないから、試合会場へ早めに行って、学校ごとの割り当て練習で体をほぐしておくよう伝えた。
会場の到着して受付を済ますと、30分遅れで試合を始めるとのことだった。

受付場所で、見知った顧問の先生たちとあれこれ話をしていると、どこぞの保護者と思しき人物が受付に来た。Tシャツ、ビーチサンダルで、首にタオルを巻いていた。直後、若手武闘派(?)顧問の筆頭であるアキタ先生が、「何すか、あいつ!あれでも顧問すか?」と激怒している。なんだどうした?と聞くと、どうやら件の人物は保護者ではなく、某中学校の顧問らしいということが判明した。「先生でしょ?選手には、服装のことを含めて厳しく指導しているのに、かんじんの顧問があれじゃあ困るじゃないですか!」と怒っているのだ。至極尤もな怒りであった。

ところが、しばらくしてその顧問が再び受付のところへ現れた。さすがに、「ビーサン」の代わりに黒の運動靴を履いていた。すかさず、「キミねえ、テニスシューズじゃないとベンチ入りできないよ」とやんわり注意すると、「これテニスシューズですよ」と靴の裏を見せた。
「あ、そう。でも、白を基調としたシューズじゃないじゃない」と言うと、「そんなこと、どこに書いてありましたあ?」と逆ギレしそうな勢いで言ってきた。
「大会要項に書いてあるよ。読んでないの?ついでに、キミの着ているシャツでもベンチ入りはできないよ、だって襟付きのシャツじゃないから」と言うと、「それもどこかに書いてあったんですか?」と言うので、「あのなあ、大会参加するなら、ちゃんと要項をよく読んでから参加するようにしたらどうだ?」と、ついきつい口調で言ってしまった。「何だこのオヤジ?」というような、怪訝な顔をしてその顧問はこちらを見ていた。
これから試合が始まるというのに、ったくオレは何をしているのだろうと思いつつ、それでもオレだってかつては競技委員長も務めたことのある身だしなあ、と自らを慰めるのであった。

試合が始まった。と、二つ隣のコートを見ると、何とその顧問がベンチ入りしていた。もちろん、シューズもシャツも元のままであった。すぐに審判長のところに連絡を入れた。まもなく、その顧問はコート主任に伴われてコートから退出させられた。
それにしても、この顧問、目の前で大会役員に注意を受けてコート外へ出される顧問の姿を見なければならない選手たちに気持ちのことを忖度したことがあるだろうか。
選手たちが、いかに情けない思いをしているか想像はできないのだろうか。
選手たちにそんな思いをさせたのは、もちろん顧問の責任である。

こういう顧問のことだ、もちろん普段もきちんと指導などしていないのだろう。どうしてそれがわかるか?
自分がきちんと指導していれば、その成果を問う機会とも言える大会の場、謂わば「ハレ」の場へ、Tシャツ&ビーチサンダルで行けようはずがないからだ。
つまりは、彼のTシャツ&ビーチサンダルは、「自分は、この大会へ選手が参加することについて、Tシャツ&ビーチサンダルで参加する程度にしか重きを置いてはいません」という顧問の無意識の価値観を、具体的な服装のあらわれとして示しているものなのである。

試合の途中で、競技委員長に件の顧問のことを話したところ、「こないだの予選リーグの時にも注意したばかりなんですよ」と溜息交じりに話してくれた。「で、注意したら何て返答したか知ってます?自分は好きで顧問やってるわけじゃない、って言ったんですよ」とも。
已んぬるかな。
こういうバカがいるから、「教員免許を更新制にせよ」などという議論が出てくるのだ。

前から思っていたのだが、こういう手合いが正規の教員となり、講師でもほんとうにいい指導のできる人物が採用されない。採用方法に問題があるとしか思えない。
確かに、採用試験段階で、採用後の実際まで想像することは不可能に近いことかもしれない。でも、何らかの方法でそのようなことも見抜けるような試験方法を考えるべきではないか。
こういう人物は、いかに好人物を装うとも、その邪悪さのシグナルは発しているはずだ。それを見抜くようにしなければならない。
どうするか?
麻雀をさせるのだ。
どんな麻雀を打つのか、それを見れば邪悪さの程度は一目瞭然なのである。
もちろん、1回の麻雀ではまだ明らかにならないこともあろうから、2次試験でも麻雀選考を課すのである。和了ったとき、フリ込んだときの態度、自摸り方、手作りの方向性等、麻雀中のあらゆる機会をとらえて観察するのである。
やったことない人はどうするかって?
とりあえず、文科省には日本麻雀連盟(そんな連盟あるのだろうか?)等に委託して麻雀の級別認定制度を創設し、大学で教員免許を取得する際には、少なくとも「人に教えてもらえなくても麻雀が打てる」級の取得を単位認定の一つとして加えるのである。
いや、かようなバカなことを書かずとも済むよう、少々ペーパー試験の結果など悪かろうと、「まともな」教員こそ採用するようなシステムを考案してほしいのだ。
これからは、若い教員の需要がますます増える。それだけに、余計に採用方法は焦眉の急となる問題だと思うのだが。

閑話休題。
決勝トーナメントは、何とシンムラくんとこが第3位だった。やはりダテに2週連続で役満をフリ込んだのではなかった。
本校は、よれよれしながらも何とかベスト8にくい込み、準々決勝では敗れたものの、順位決定戦で1勝を挙げて第7位という結果であった。上出来であったと思う。
まだまだ課題だらけだが、7位決定戦では1年生が活躍してくれた。その1年生たちも含め、焦らずじっくり育てていきたいと思う。