スーさんは勝った負けたと騒がない

4月30日(木)

29日は浜松市中学校ソフトテニス選手権。旧浜北市と引佐郡を除く、市内各中学校から5ペアずつ参加してのトーナメント戦(男子は142ペア、女子は155ペア)である。

この大会で男子はベスト15、女子はベスト13までが県選手権大会への出場権を得る。とりあえず、ベスト16に入れば権利発生で、ベスト8で出場決定というわけだ。
8本取りで負けた場合には、順位戦が待っている。男子は順位戦で1回勝てば出場決定、女子の場合は順位戦の初戦で勝てば決定、負けたら残り2試合を勝たないと出場できない。

一度負けた選手同士が争う順位戦は、精神的なタフネスが要求される。つまり、一度負けて意気消沈しているところを、何とか闘志を奮い立たせて試合に臨まなければならないからだ。
男子の場合はとにかく1勝すればいいのだけれど、女子はそこから2試合勝たなければいけない。勝てば県大会出場、負ければ何もなしという厳しい現実が待っている(そんな厳しい現実にシンムラくんとヨッシーが直面することになろうとは、神ならぬ身に知る由とてなかった)。できれば順位戦に回ることなく、すんなりベスト8入りして県大会出場を決めたいところだ。

トーナメントの場合、ベスト8というのは関門の一つである。というのも、8本取りは必ずシードペアとの対戦になるからだ。このシード、前年秋の新人大会の結果に基づいて決められている。実際に試合で勝ち残った実績でシードされているのだから、そこを突破するのはなかなか大変なのである。

さて、本校の選手たちである。初めに登場したのは5番登録のペア。「試合はユニフォームで行うこと」とアナウンスされたにもかかわらず、二人ともトレーナーを着用したまま試合をしている。すぐに脱ぐよう指示すると、前衛選手がなかなか脱ごうとしない。「おい、何やってんだ?」と声をかけると、「ゼッケンをつけ忘れました」と言う。何をか言わんや。コート近くの大会役員に断って、そのまま試合を続行させてもらったが、そんなペアが勝てるわけはない。もちろん、試合はストレート負け。そういう選手を選んだ監督に見る目がなかったということだ。

4番登録のペアも初戦敗退だった。このペアの一人も、試合前日になっていきなり「先生、ゼッケンがありません」と言ってきた。試合への出場はずいぶん前に申し渡しておいてあったのだが、どうやらゼッケンのことは失念していたらしい。もちろん、こういう選手も勝てるはずはない。このペアもストレート負け。とにかく、ユニフォームやらゼッケンやらの、技術以前のことをきちんとできない選手は試合には勝てない。もちろん、そういう選手を選んだことのみならず、そういうところまで配慮することを省略した監督のチョンボである。

3番登録ペアは、16本取りで敗退した。このペアは、3回戦の試合ぶりがあまりに悪かった。だから、自分たちであれこれ考えて試合を組み立ててみるよう指示しておいた。実際、他のペアの試合と重なってベンチ入りすることができなかったのだが、勝つことは叶わなかった。自分たちで具体的な戦術を組み立てることは、夏の大会までの具体的な課題の一つでもある。

大将ペアと副将ペアは難なく16本入りした。しかし、8本取りは共に難敵が待っていた。大将ペアの相手は、つい先月末まで一緒に都道府県対抗戦を戦った前衛のペア。副将ペアの相手は、シンムラくんとこの大将ペアであった。
まずは大将ペア。とにかく、相手前衛に仕事をさせないことが第一である。具体的に攻め方を指示して送り出すと、どうやら相手前衛がこちらを意識しすぎてくれたらしい。彼は、ほとんど「らしさ」を発揮することなく、こちらがストレートで勝つことができた。
試合後、その前衛選手手前のところへがやってきた。話の中身はちょっと書けないが、そうやってアドバイスを求めに来てくれたことが素直にうれしかった。

副将ペアは、さい先よく1ゲームは取ったものの、そこから攻め方が単調になり、こちらの前衛も狙い球を絞れなくなって、そのまま3ゲームを連取されてゲームセットとなった。
その後の順位戦は、1敗したものの何とか次で勝って県大会出場枠に滑り込んでくれた。県大会までには、ある程度のレベル以上のペアと対戦する際の対応力をつけておくことも大きな課題である。

ベスト8入りした大将ペアの準々決勝の相手は第1シード。このペアも、ついこの2月までは県選抜チームの一員としてコーチしていたペアである。
試合前、その相手ペアが、「先生はベンチ入りしなくていいですから」などと話しかけてくる。いい子たちである。
試合は、こちらが1ゲームを返すのが精一杯の敗戦。試合後、挨拶にやって来たので、「第1シードなんだから、ちゃんと優勝するんだぞ」と励ます。
続く、準決・決勝、タイブレークの接戦にはなったが、彼らは見事そのまま優勝を飾ってくれた。何だか、飼い犬に手を噛まれたとでも言おうか、何とも不思議な気分であった。

本校の選手たちには、このほぼ4ヶ月間、県選抜チームにかかり切りになっていたこともあって,十分に練習を見てやれないでいた。申し訳なく思う。それでも、何とか2ペアは県大会への出場権を得てくれた。これから、3年生にとっては最後の大会が待っている。これまでのブランクを埋めてやれるよう、できるだけのことはしてやりたい。

とりあえず、今週末からは例年の滋賀遠征である。
今年は、高速道路料金一律千円の影響がもろに出そうで,渋滞の予想とかまったくつかない。ありがたいようなありがたくないような。でも、せっかく行くのだから、選手たちには何かを得て帰って来てもらいたいものだ。

おまけの話を一つ。
選手権当日、試合会場であるテニスコートに、つい最近あつらえたばかりと思しきスーツを着た人物がちらほら出現したとのこと。どうやら、この4月からどこぞの新任××として着任した人たちらしい。
自校の応援に来たのか、はたまたスーツ姿を見せに来たのかは定かではないが、校務でもなかろうに,この人たちにはテニスコートにスーツというのがいかにそぐわないもので、滑稽にすら見られるということに思いが至らないらしい。
そのスーツ姿からは、芬々たる権力志向も漂ってくる気がして、「けっ、やってらんねーぜ、うれしがってちゃらちゃらしてんじゃねーよ」って感じなのだが、おっといけねえいけねえ、こんなことにかかずらってはいけねえ。もっとよいことに目を向けねば。
人間、いろんな人がいます。