スーさん、大忙しの新学期

4月13日(月)

新年度が始まって1週間。まさに、息つく暇もない1週間であった。
年度末に用意しておいた時間割の原案は、新学期になって英語の常勤講師が来るようになったことと、理科は時間講師が来ないということが判明したため、白紙に戻して作り直すことになった。ひどく迷惑な話であるが、何とかするしかない。
という事情もあって、とても日記を更新することは叶わなかったのでした。

講師の派遣については、かようなことが事前に予想されないわけではなかった。
年度末、次年度の学級編制に関し、行政サイドからは「1学級35人以上の場合には、学級増となるプログラムを採用せよ」とのお達しがあった。
学級編制については、『公立義務教育諸学校の学級編成及ぴ教職員定数の標準に関する法律』という長ったらしい名前の法律の一部が改正され、通常ならば1学級40人で編成されるところを、それを下回る人数でも編成できるようになったということが背景にある。
以下の条文である。
「都道府県教育委員会は、学級編成について、児童又は生徒の実態を考慮して特に必要があると認める場合には、国の定める学級編成の標準を下回る数を一学級の児童又は生徒の数の基準として定めることができるものとすること。」

本県では、5年ほど前から「中1支援プログラム」なる施策を実施してきた。いわゆる「中1ギャップ」を解消しようというのがその主たるねらいである。
それを、中2にまで拡大しようということになったのがこの年度末であった。
「え?1クラスを少ない生徒数で指導できるんだから、いいことじゃない」と思うであろう。
そりゃあ、少ない人数の方が担任の目が行き届いていいに決まっている。
問題は、その担任をちゃんと配置してくれるかどうかってことだ。
正規採用の教員を増やせば、それには人件費がかかる。それを見越して、文科省は教員の定数増を求めてきた。
しかし、文科省の要求は財務省や総務省の反対によって認められなかった。代わりに、非常勤講師をもって充当されることになったのである。
「新学習指導要領の移行措置が2009(平成21)年度から始まるのを受け、文部科学省は来年度概算要求の中で、さまざまな予算を盛り込んでいます。しかし、教員定数の増員は見送られ、代わりに非常勤講師を充てることになりました。このままいけば、主要教科の授業時間数が増加されても、それに対応する教員が足りないという状況になる可能性もあります。」(ベネッセ教育情報サイト:「教育ニュース」2008年10月6日より)
つまり、非常勤講師が学級担任を務めざる得ない状況が出来してきたのである。

「中1支援プログラムを中2まで拡大」の通知を読んだ翌日、「さて、ウチの学校はどうしようかねえ」と思案していたところへ、まるで申し合わせたように地元新聞にそのことが大きく報じられた。
行政からの文書には、プログラムに該当する学年がある学校については、先述の「原則として(プログラムを)採用すること」なる文言が添えられていた。
選択の余地はなかった。
かくして、現場には講師が次々と派遣されることになった。
しかし、全県一律に講師を派遣する(政令市ももちろん右へ倣え)のだから、講師の絶対数が足りなくなるのは理の当然である。
ましてや、中学校の場合には、来てほしい教科が限定される。英語の講師に来てほしいのに、理科の講師を派遣されても困るのだ。

学級増には、時間割の編成にも大きな影響を及ぼす。
全学年同数のクラス編成であれば、教科によってそんなに偏りは出ないのだが、ある学年だけ学級数が多いとなると、教科によって教員の持ち時間数にかなりの偏りが出てきてしまう。
それを解消するために、免許外の教科を持たせる仕組みもあるのだけれど、事はそう単純にはいかない。
だって、体育の先生に理科の授業を持ってもらえると思います?いや、体育の先生には理科を教える能力がないということではなくて、実験なども行う理科の授業などは他教科の先生には担当できないということなのである。
仕方がないので、持ち時間数の多い先生は、「総合的な学習の時間」をカットしたり、その科目の選択教科は開設しないようにしたりして時間数を調整することになる。
そうなると、生徒が「理科の選択授業でいろんな実験をしてみたい!」と希望しても、それはできない相談になってしまうのだ。

というような調整を、この1週間ずーっとやっていた。
もちろん、その間に提出しなければならない重要書類もあった。「学級編制表」である。
さらには、年度当初に提出を求められている「重たい書類」パート2、「教育課程編成調査表」も来週始めには提出しなければならない。これは、今年度の時間割が確定しないと記入できない箇所が含まれているため、とりあえず年間の時間割を作成してしまうのが教務主任の焦眉の急となったのであった。

で、まだ調整しなければならない部分はあるものの、とりあえずは全部の駒を嵌め終えたのが今日。
胃のレントゲン検査で飲まされたバリウムを、全て排出したような気分と言おうか(すみません今日が年度始めの教職員健康診断日だったんです)、数日来の便秘が解消された気分とでも言おうか(これまた例えが下品ですみません)、とにかく爽やかな気分になれたことだけは確かである。

と思ったら、明日から3年生は修学旅行、2年生は野外活動である。
途中、校長会出席のため一時帰浜する校長に代わって、教頭が京都へと向かう(洒落ではありません)ため、その教頭の代わりに手前が2年生の野外活動へ同伴しなければならなくなってしまった。

いやはや、新学期からてんてこ舞いの毎日である。
(でも、ようやく日記を更新する余裕はできました。ふう。)