スーさん、今週は岐阜へ

2月16日(月)

土曜日は、県中学生選抜男子ソフトテニスチームを率いて岐阜県に遠征。
岐阜県ワタナベ先生のお声掛かりで、愛知・静岡・長野・岐阜の県選抜チームが集って練習マッチを行う予定になっていたのだ。
会場は岐阜市内とは言え、もう隣の市に近い山間にある体育館。すぐ隣は岐阜刑務所である。インドアでテニスコートが2面取れる。
スタッフのオノちゃんなどからは、早朝に行くのもしんどいので前日から宿泊しましょうとの意見具申もあり、それもそうだのうってことでヨッシーが宿を取ってくれていたのだが、これもスタッフの一員である「運転手」シンムラくんが前日の夜に自校PTAの会合が入っていたことをすっかり失念していたため、宿泊は急遽取りやめになってしまった。「ったくよう、これだからチョンボって言われるんだよう」と怒り心頭に発していたのはオノちゃん。宜なるかなというところであろう。

試合は、それぞれ時間を区切って、その時間内でやれるだけの試合を消化しようというものであった。
本県の最初の相手は愛知。昨年末に行われた東海インドアで優勝、つい先週行われた富士宮での大会でも優勝している強豪チームである。現時点で、たぶん全国の8強には入る実力を有しているであろう。
そんな相手に本県チームがどれだけ対抗できるか、はなはだ楽しみではあった。

試合が始まった。とにかく愛知のチームはどのペアも後衛がよく打つ。少々のミスなど気にかけることなくどんどん打って、小気味のいいテニスを展開する。前衛選手もよく動き、逃げるボールなど徹底して追ってくる。
そんなテニスに、本県の特に前衛選手が対応できず、トップはストレート負け。うげ、やっぱ強いわとは思ったが、それ以上にこちらの前衛選手に生彩がなかった。

2番は、逆にこちらのペースで試合が進んだ。こちらの後衛が負けじと厳しいボールをびしびしと打ち込んで、失ゲーム1で快勝。「おーし、3番勝負じゃ」と意気込んで3番手を送り出した。
その3番、いいテンポで試合を展開して、あっという間にゲームカウント3-0。なんだ、楽勝じゃんと思ったのは監督ばかりでなく選手たちもそう思っていたであろう。
そこからじりじりと挽回された。それが、こちらの早く勝ちたいという焦りを生んだ。気がつけばタイブレーク。そのタイブレークもポイント5-5まで競ったのだが、結局最後の2ポイントをあっさり落としての敗戦であった。いやはや、簡単には勝たせてはくれない。そうであるからこそ、愛知はここまで勝利をものにしてきたのだろう。本当に粘り強い選手たちであった。
まだ時間があったので、4番目のペアの試合も行う。この試合も、相手後衛にいいように打ち込まれ、こちらはひたすらロビングを上げるだけの展開であった。これでは勝てない。
結局、対愛知戦は1勝3敗であった。

スタッフと昼食を共にしながら、愛知戦の反省点などを協議する。
午後はまずは長野と。先週の富士宮では、本県Bチームが練習マッチで対戦して勝っていた。しかし、先週は外である。長野という土地柄を考えれば、当然インドアでの練習を積み重ねてきたであろうと思われた。厳しい対戦になることが予想された。
試合が始まった。案の定、トップも2番もそれぞれタイブレークまでもつれての敗戦という結果であった。
3番は、愛知戦でまったくいいところなしだった前衛選手を替えてみた。これはうまくいった。この試合もタイブレークまでもつれたが、終始リードを保って勝つことができた。
4番も、小学校のジュニア時代に組んだことがあるというペアになった。これも、悪くはなかった。その後スタッフでも検討した結果、個人戦のペアはこれでいこうということになった。
そんなふうにいろいろ試した長野戦、2勝2敗であった。

最後は地元岐阜県との対戦である。
トップ、ポイントは競るのだが、要所でものにすることができない。相手のミスも多いのだが、こちらも要所でミスを重ね、結局1ゲームを取っただけで敗戦。

続く2番、相手は老獪であった。ファーストサーブは、後衛が右、前衛が左のカットサービスを打ってきた。後衛選手のサービスはほとんど入らなかったのだが、前衛選手のそれは要所で入った。それにリズムを狂わされた。
インドアということを考慮してか、それとも打てない理由があったためか、相手後衛選手はほとんど打ってはこなかった。ぽんぽんとこちらの後衛の前にロビングを上げ、こちらが焦れて打ってミスを繰り返すという展開となった。3ゲーム取られたところで、ようやくカットサービスも返せるようになり、ストロークでも押せるようになってきたのだが、時すでに遅しであった。結局、ストレートの敗戦。

3番は相手の大将ペアであった。2年生ながら昨夏の全国大会にも出場している。前・後衛のバランスが取れたよいチームであった。この相手には、特に相手前衛にこちらの後衛選手がハマった。打つコースをことごとく読まれ、為す術なく次々にポイントを奪われた。完全な横綱相撲に寄り切られたという感じであった。脱帽。
4番は、相手も気が抜けていたのかもしれない。逆に、こちらは何とか一矢報いたいという思いもあってか、特に競り合うこともなく勝つことができた。

それにしても、岐阜県は「大人のテニス」とでも形容される戦術を展開するチームであった。
とにかく、ミスをしないということを第一に考えている。
これは、テニスの試合を行う際の最も基本的なコンセプトであろう。だから、とにかく無理をしない。後衛が無理して打ってきたり、前衛が無理してボールを取りにいったりはしない。
試合をしていると、まるで「な、だからあ、そんなにムキになってボール打つことないんだよう」と諭されているようだ。
それが腹立たしい。
前衛も狙い球をよく知っている。「キミさあ、ボクが見えてないだろ?ほら、だからこんなに簡単にボール取れちゃうじゃない」って言われているみたいだ。
こういう前衛の動きというのは、基本練習をいくら重ねても覚えられるものではない。ひたすら試合を積み重ねる中で相手後衛との駆け引きに関わるあらゆるデータを蓄積し、その都度の自分の動きをコーチやら監督から指摘され、それを体に覚え込ませていくことでしか身についてはいかない種類のものであろう。

もちろん、それに対抗する方法はないわけではない。
そういう意味では、愛知県が展開するテニスは大いに参考となるところであろう。
いずれにしても、いろいろと考えさせられる機会を与えられた練習マッチであった。貴重な機会を与えてくださった岐阜県監督のワタナベ先生には深く感謝したい。

「戦術に絶対はない。だが、絶対を信じない者は敗北する」とは、早稲田大学ラグビー部監督を務めた大西鐵之祐の言葉である。
わが県チームも、信じるべき「絶対」を持たせて本戦に臨ませたい。
やるべきことは多い。
がんばろう。