スーさん、強化練習に思うこと

12月15日(月)

土曜日は、来春3月に予定されている都道府県対抗全日本中学生ソフトテニス大会に出場する県代表選手選考のための第1回強化練習会。
今秋から静岡県男子チームの監督を仰せつかっている関係で、まずは今月23~24日に愛知県西尾市にて開催される東海中学生ソフトテニスインドア大会(団体戦)に出場するためのチーム編成(3チーム)を、カップリングも含めてコーチ陣と相談しながら決定することがさしあたって最初の仕事である。

この練習会に参加するメンバーは、先日の新人戦県大会で既に選考済みである。でも、実際に選手たちと顔を合わせて練習の指示をするのは今回が初めてだ。
何より、ソフトテニスをしている県下中学生トップレベルの実力を有する選手たちばかりである。どんなパフォーマンスを見せてくれるかということを何よりも楽しみにしていた。

会場である花川コートに到着すると、既に選手たちがコートの周りを隊列組んでランニングしていた。どうやら、昨年までそうやってランニングすることから練習が始まっていたらしい。
すぐにコートへ降り、選手たちを集合させる。
まず、練習前のランニングはやらなくてよいということを話す(だってねえ、その日は1日練習する予定なんだから疲れるじゃないですか)。それから、練習プログラムの中にはやったことないようなものも含まれているだろうからわからなかったらその都度質問することと、その日のスケジュールを簡単に伝えて練習に入った。

具体的な練習プログラムについては、大凡は考えてあった。能力の高い選手たちばかりだから、できるだけ飽きさせないこと、でも真剣に取り組まないとなかなかできそうにないこと、さらにはやってて楽しいと感じられることを意識して練習を組み立ててみた。

どの選手も「選ばれた」という意識があるからだろうか、練習に取り組む姿勢は真剣そのものである。それはいいのだが、どうも表情が硬い。自分の大好きなソフトテニスをしているはずだろうから、もっと笑顔があって然るべきだろうになどと思っていたのだが、そんな笑顔もない。どうやら、こちらの反応を窺っているようにも思われた。

練習が始まって1時間。最初の休憩。このあたりから、だいぶん表情も和らいできた。慣れてきたのだろう。ちょうどいい頃合いだったので、休憩中にチームの主将・副主将を決めておくよう指示したところ、主将には富士宮FN中のWくん、副主将には三島K中のSくんがそれぞれ選ばれた。いい人選である。
練習再開。男の子の場合には、互いに競わせるようなプログラムを入れると、俄然ムキになってやり出すところがある。そんな練習をやらせると、それまでにも増して声も出るようになり、プレーの質も溌剌としてきた。
練習の最後は、前衛のポーチボレー。後衛選手はそれなりの人材がいるのだが、前衛選手はこれから育てていかなければならない選手が多い。そんな思惑もあってのことである。

昼食休憩中に、団体戦3チームのチーム編成を考える。
選手は、どちらかと言えば県東部地区の選手が多い。大会への参加の利便性も考え、東部地区中心に2チーム、西部地区で1チームという編成にした。
次はペアのカップリング。コーチたちの意見も容れながら、力を発揮してくれそうなペアをつくっていく。
午前中の練習の印象から、「ちょっとこのペアは…」と思われるカップリングもないではなかったが、とりあえず午後はそれでゲームをさせてみて様子を見ようということになった。

選手たちを集め、チーム編成を発表する。
今回の東海インドアは、3チームそれぞれの監督を富士宮のオノダくん、伊豆のヤマガタくん、そうしてなぜか現女子部顧問なのにそれまでの男子顧問の実績を買われた浜松のオノちゃんが務めることになっている(ってか、オイラが指名したんだけど)。ペアのカップリングについては、それぞれの監督の指示に従うようにということも伝える。
試合は、その3チームの対抗戦形式で行うことにした。

試合が始まった。
事前の思惑と試合とは、かくも違うものかということを実感させられた。
午前中の練習を見ていて「ちょっとこのペアじゃあ…」と思われたペアが、何のことはない、県の大将ペアにしようかと考えていたペアとも互角に渡り合っているではないか。
事ほど左様に、選手決めというのは難しい。
それぞれ対戦相手も変えながら、7ゲームマッチで各ペア4試合ほどを行う。
どの選手も、さすがに試合慣れはしている。思わず、拍手したくなるようなプレーも随所に見られた。これからが楽しみになってきた。

今年の県選抜チームには、ジュニア時代から名を馳せてきた選手はいない。U-14の選考会でも、ステップ4(全国レベル)にまで残った選手はいない。
でも、いいではないか。それだけ育て甲斐があるというものだ。
何より、今回集まった選手たちは、みんな素直ないい選手たちばかりである。最終的には来年3月までに4ペアに絞り込まなくてはならないが、それまでは本人が希望するのなら、一緒に練習をやらせていきたいと思うような選手たちばかりであった。

そうそう、大切なことを書いておかなくてはならない。
「輜重隊」、すなわち後方支援の任に当たっているスタッフのことである。
監督はいかに選手たちをレベルアップさせるか、試合ではいかなる戦術を用いて選手のパフォーマンスを上げさせるかなどということに意を用いていればいいのだが、それがスムーズに機能するためには、各選手とその保護者・顧問への連絡や、大会時の宿舎や移動手段の手配など、細々した面倒な作業をきちんと処理しておかなければならない。
そうしないと、具体的な戦術を云々する前に、対保護者にまず気を遣うところから始めなければならないような事態が出来する。だから、こういうマネジメントには特に優秀な人材を充当しなければならない。
今回の男子監督を引き受けるにあたっては、県中体連ソフトテニス部にそのことだけを条件として提示した。主務だけは指名させてほしいということである。
その主務、もちろん指名はヨッシーである。彼をおいてほか、この任に堪えられる人物はいまい。
彼がいるからこそ、監督やコーチは与えられた任務に心おきなく専念することができる。富士宮のタカシくんとともに、万全のサポート体制を組んでくれることと思う。ありがたいことである。

今年の都道府県対抗戦でのわが県の目標は、まず団体戦で1勝すること(ここ数年は、ずっと初戦負けが続いていたそうだ)。
もちろん、全国大会であるし、どの都道府県も現時点でのトッププレーヤーばかりを揃えてくるから、1勝が簡単ではないことは十分に承知している。
それでも、1勝は挙げたい。
この選手とスタッフとなら、それも可能のように思えるのだが。
がんばろう。