スーさん、団体優勝して寝付かれない

7月7日(月)

日曜日は、市内大会団体戦の決勝トーナメント。本校は第1シードで、2回戦からの登場であった。シード校の監督は、1回戦の審判をしなければならない。どのみち、対戦する相手校同士の試合だから、審判をしながら、もしもこっちの学校が勝ったらこんな戦術でいこうとか考えていた。

対戦相手はA中に決まった。昨年の団体戦2回戦で敗れた相手だ。選手たちには、「リベンジしよう」と呼びかけた。試合が始まった。トップは、相手が2年生ペア、こちらは2,3年生ペアである。本校後衛陣の中では、このトップに起用した後衛選手の打つボールが最速である。いつも校内でしているように、小気味いいテンポでゲームをしてくれるものと思っていた。

ところが、どうもボールが入らない。打つ必要のないロビングを多用している。そのうちに、前衛選手にもミスが目立つようになってきた。ゲームは一進一退で、タイブレークにもつれ込むことになった。何とかタイブレークはポイントが先行して、そのまま逃げ切ることができたが、何とも不甲斐ない試合だった。続く大将ペアは完勝してベスト8が決まったのだが、勝敗決着後の3番の試合が、これまたタイブレークにもつれ込んでしまった。

何とか勝つには勝ったが、3番がこれでは後が思いやられる試合だった。試合後、すぐに3番のペアを呼び、自分たちがなぜ殿を任せられているのかということについて懇々と話をした。「いいか、次の試合までに、今の悪いイメージを全てきれいに払拭しておくんだぞ」と言い聞かせた。

準々決勝は、2面同時進行で始まった。ベンチは心配なトップのペアについたのだが、相手後衛にいいように打たれ、為す術なくストレート負けしてしまった。隣でやっていた大将ペアも、「負けて元々」と思いっきりラケットを振ってくる相手に翻弄されて1ゲームを落としてしまう。しかし、そんなことでは動じないところが大将ペアたる所以である。続くゲームを競り合いつつものにして流れをつかんで勝ってくれた。

3番勝負になった。3番ペアが立ち直っているかどうか心配だった。が、表情が明るかった。これなら何とかしてくれるかもしれないと思った。相手は、後衛並行陣のペアだった。相手前衛を気にせず、どこへでも打てるとなれば、本校の後衛選手は強い。うまくボールを散らしながら、相手のミスを誘い出す。結局、そのままストレートで勝ってベスト4が決まった。

準決勝の相手は、強力な大将ペアを有している学校であったが、団体戦のためにか、その大将ペアをトップと3番に分けてオーダーを組んできた。ならば、打つ手はただ一つ。ミスしてくれそうな方へボールを集めるだけだ。その前の試合で、さすがにパフォーマンスの悪かったトップの前衛を変えて臨ませると、失ゲーム1で勝ってくれた。大将ペアも、ほとんど苦戦することなく勝って決勝へ。

決勝の相手は、接戦をものにしながら勝ち上がってきて勢いのある学校だった。準決勝の試合ぶりを見ている限り、具体的な戦術ははっきりしていた。選手たちにはそのことを徹底して臨ませた。しかし、この日、トップで起用した後衛選手は、準決勝戦以外は最後までパフォーマンスが上がらないままであった。1ゲームしか取れずに敗戦。隣の大将ペアは、逆に失ゲーム1で勝って3番勝負。でも、この日の3番は、初戦の情けない試合がよほど応えたのであろう、「3番勝負で勝って優勝したい」と周囲にも言っていた。試合は、終始本校がリードする。ゲームカウントはあっという間に3-1。相手も盛り返して3-2となるが、相手の反撃もここまでであった。最後は、相手後衛が力尽きてゲームセット。本校の2年ぶりの優勝が決まった。

それにしても、優勝候補の筆頭と目されて臨む試合というのはしんどい。周囲は「勝って当然」と思っているし、対戦する相手も「負けて元々」と捨て身で向かってくるからだ。こういう相手はやりにくい。ただし、「失うものは何もない」と思って立ち向かってくる相手には、それなりの対処法がある。それは、選手たちには事前に周知徹底させておいた。だから、選手たちに動揺はなかった。逆に、相手は「勝てるかもしれない」と思った時点で、相当のプレッシャーがかかる。決勝戦の3番勝負が、その好例であったろう。

もちろん、本校の選手たちも相当の重圧の中でプレーしたに違いない。それもあっての、トップ起用ペアの不調もあったと思う。でも、それを跳ね返しての優勝である。価値ある優勝と言えよう。選手たちも、これでまた一段と精神的にも逞しくなったと信じたい。筋トレに「超回復」あるのなら、精神にも同様のことがあって然るべきであろう。選手たちは、ストレスフルの状況でプレーすることで、それを乗り越えていくことを学んだはずだ。

閉会式が終わったのは4時。ぐったり疲れていたが、オノちゃんたちが祝勝会を催してくれるということで、その開宴時間までの間を利用して、髪をカットしに行くことにした。次週も個人戦が入っているので、なかなか髪を切りに行く間もないからだ。いつものお店に電話を入れて混み具合を確認すると、「ちょっと待ってもらいますけど、今なら空いてる方だと思います」とのお返事だった。自宅に戻ってテニスウェアを着替え、すぐにお店へと直行した。店に着くと、順番を取っておいてくれたらしい。程なくカットに入ってくれた。

さっぱりして帰り、7時より祝勝会。ヨッシーは軽い熱中症みたいとのことで欠席だったが、オノちゃん、シンムラくん、イケヤくんが参加してくれた。持つべきものは仲間である。一頻りテニス談義に花が咲いて、そんなに遅くなることもなくお開き。でも、この日は家に帰っても、体中に熱が籠もったような状態で、なかなか寝付かれなかった。昼間の興奮もあったかもしれない。

次週は個人戦である。まあ、団体戦で県大会に出られるのだからそんなに欲張らなくてもよいのだが、できれば1組でも多く県大会には出場させてやりたいというのが親心(親じゃないけど)というものであろう。まるで心にも覆い被さってくるような曇天の下、空模様同様の鬱陶しい日々が続く。