スーさん、トイレについて考える

6月9日(月)

土曜日は、県中学生ソフトテニス選手権大会。会場は、富士宮市民テニスコート。今年から男女別会場となり、富士宮市民テニスコートは男子の会場となった。

前日の金曜日は、運動会であった。小学校ならともかく、市内中学校でこの時期に運動会を開催しているのは、おそらく本校だけではなかろうか。とかく2学期は行事が多いからと、この時期に運動会を開催するようになって早7~8年は経過していると聞く。それはそれでよいのだけれど、さすがに運動会の翌日が試合となると話は別だ。選手のコンディションづくりなど到底不可能である。ま、選手権は上に繋がる大会でもないから、それほどナーバスに考えることはなく試合に参加することとなった。

金曜日は、一度帰宅させて宿泊の準備を調えさせ、軽く練習をさせてから出発した。家でゆっくり休養させて翌朝早くに出発するのがよいか、前泊して試合当日の朝はゆっくり起きて会場入りさせるのがよいか迷うところではあったが、今回は天候も心配ないことから、後者を選択することにした。

せっかく富士宮に泊まるのだからと、木曜の夜に県中体連ソフトテニス部の強化担当をしているタカシ先生や、かつてのライバルであったF4中コーチのオノダくんに連絡を入れたところ、「では飲みましょう!」ということになった。持つべきものは同好の士である。宿舎に到着してまもなく、オノダくんがホテルまで迎えに来てくれたので、そのままオノダくんの案内する店へと向かう。もちろん、話題はテニスことが中心。さらには、件のタカシ先生や、都道府県対抗戦女子県代表の監督をしているヤッちゃんも駆けつけてくれて、酒量は増加の一途となる。そのまま、名物富士宮焼きそばを出してくれるスナックへと河岸は変わって、小宴は深更に及ぶ。宿舎に戻ると、最早入浴する気力すら失われていた。倒れ込むようにベッドへ。

翌朝。気がつくと、とっくに朝食時間を過ぎていた。慌てて食堂へと向かうと、選手たちが待っていた。「ごめんごめん」と侘びて、すぐに朝食。頭が割れるように痛む。濃いめのコーヒーを飲んだのだが、捗々しい効果は得られなかった。そのまま試合会場へ。会場に到着すると、保護者から連絡が入った。先乗りして簡易テントやらを準備しておいてくれたらしい。ありがたいことである。

試合が始まった。本校から参加したのは3組。大将ペアが第3試合、他の2組は第5試合が初戦だった。とりあえず、大将ペアは初戦を突破した。ベンチから戻って他のコートを見ると、他の2組が同時にコートに入っていた。こういうこともあろうと、前任の顧問で、今は行政職に転出しているため愛息が通う中学校(その学校も選手権に2組参加していた)の外部コーチをしているモリ先生に、「もしも2組同時に入ったら、コーチお願いね」と頼んでおいた。そのモリ先生が、2,3年生ペア試合に入ってくれている。急いでもう1組のベンチに入った。1ゲーム取ってチェンジコートしたところだった。ところが、次のゲームから後衛選手のボールが入らなくなってきた。サービスも、大事なポイントでダブルフォルトしたりしつつ、結局そのまま3ゲームを立て続けに落として負けてしまった。ミスが続いた後衛選手は、途中から首を傾げながら下を向いたまま。何とも見ていて歯痒い敗戦であった。

モリ先生が入ってくれた1組も、相手サウスポー後衛の配球にこちらの前衛選手がついていけず、そのカバーに入った後衛選手の甘い返球を叩かれてポイントをリードされ、結局そのまま敗戦となった。この後衛選手は、以前からサウスポーを苦手としていた。今まで、敗れた相手は、そのほとんどがサウスポー後衛選手のペアである。初戦からそのような相手と対戦した不運はあるのだろうが、もうそんなことは言ってられない時期に入りつつある。サウスポー選手への対応をきちんと指示していなかった監督の責任も大きい。

残った大将ペアは、特に苦戦することもなくベスト8まで勝ち上がった。準々決勝の相手は、新人戦県大会個人戦でも負けたペアであった。後衛がミスなくボールを打ち続け、前衛が思いきったプレーをしてくる強敵である。ポイントは競るのだが、こちらの前衛選手がポイントさせてもらえない。のらりくらりとかわしたかと思うと、厳しいコースにずばりと打ってくる相手後衛の配球に翻弄され、逆にこちらの後衛は後手に回らされて、結局ストレート負け。大会に臨むにあたっての目標はベスト8だったので、目標は達成されたとも言えるのだが、今後の課題も多く残る試合であった。

この日は、そのまま沼津へと向かい、翌日にかけてK学園高にて練習させてもらう手筈にしていた。他に、県選手権に出場できなかった4名の選手も、電車で沼津へと向かわせていた。夏季市内大会個人戦には、各中学校から5組が出場できる。県選手権には出場できなくとも、何かしらレベルアップする手がかりを得てほしいとの願いもあってのことである。彼らは午後の練習の初めから参加させてもらっていた。

富士宮からK学園高に到着したのは、もうそろそろ練習も終了するかという午後4時半過ぎ。すぐにテニスコートへと向かう。スガイ先生、コーチのイデさんにご挨拶をして練習に参加させていただく。スガイ先生からは、すぐに気づいたことをいくつか指摘される。普段の練習ではつい見逃してしまいがちなところを指摘されるのはありがたい。

夜は、スガイ先生のお声掛かりで、先日の県総体個人で、創部8年目にして見事インターハイ出場を獲得した男子顧問のハラ先生、地元沼津の中学校で女子部の顧問をしているイノウエ先生も加わって、お鮨屋さんにて小宴。どうやら、都合4人にしておいたのは麻雀をするためでもあったらしい。そのまま雀荘へと移動して半荘を2回。もちろん、今は「飛ぶ鳥をも落とす勢い」のハラ先生が一人勝ち。ぜひそのツキに肖りたいものである。

翌日は、目を覚ますと雨。天気予報では、午前中は上がりそうになかった。が、午後は晴れの予報になっている。とりあえず、朝食を食べつつ、様子を見ながら待機することにした。この間、シンムラくんから連絡が入った。どうしてもK学園高で練習したいということで、選手を連れて沼津に向かっていたのだが、途中から雨が降り出したので、どうしようかと迷ったのだが、そのままK学園高へと向かうとの連絡である。シンムラくんも熱心な指導者である。

そうそう、雨の止むのを待つ間、宿舎で興味深いことがあった。宿泊していたのは、K学園高の研修宿泊施設である。1階研修室でコンビニの朝食を食べていると、2人の選手が降りてきた。
「先生、1階にトイレありますか?」 「あるよ。どうした?」
「いや、僕らの泊まっている階のトイレには洋式トイレがないんで」 「え?大?」
「そうです」 「別に、洋式じゃなくても、いざってときには洋式も和式もないだろうが」
「まあ、そうですけど…とりあえず、1階のトイレ見てきていいですか?」 「いいよ、見てきなよ」
すぐに2人とも戻ってきて階段を上がっていこうとする。
「どうだった?あったのか?」 「いえ、ありませんでした」
「で、どうすんの?別に、和式だっていいじゃんか」 「いえ、我慢します」
そうなのだ。今や、和式トイレでは大便をすることができない子どもがいるのだ。「洋式トイレな身体」とでも形容すればいいのだろうか。事ほど左様に、ライフスタイルはヴァナキュラーな身体を変えるということなのだろうか。こういう変化は、日本人全体に如何様な影響を及ぼすのだろうか。誰かぜひとも研究してもらいたい。

雨は相変わらず降り続いていたが、地元クラブチーム対抗戦に出場するために市営コートに行っていた男子顧問のハラ先生から、「雨のためコートが2面キャンセルされました。こっちは雨がほとんど降ってません」と連絡が入った。どうします?とスガイ先生に尋ねられた。もちろん、一も二もない。すぐに市営コートへと移動することにした。確かに、コートへ近づくにつれ、雨は小止みになってくる。雲の切れ間は明るく、今にも雨は止みそうな雰囲気だ。

コートの使用は午後1時までということで、すぐに練習に入った。スガイ先生からは、かなり時間をかけて前衛のディフェンスを指導してもらった。ボールの取り方が見る間によくなっていくのがわかる。そのうちに、晴れ間が覗き出した。そのまま1時まで練習し、午後はK学園高へと戻って、インターハイに出場する選手も交えてゲーム。選手たちも、スガイ先生からいろんなアドバイスをもらったことで、今後の試合に生かせることも多々見出せたことであろう。

電車で参加した4人を早めに沼津駅まで送り、K学園高を辞したのは午後5時少し前。選手たちもかなり疲れたであろうが、実り多い遠征になったと思う。2日間お世話になった、スガイ先生、ハラ先生、ありがとうございました。今夏は、ぜひともよい報告ができるよう、これからの練習を充実させていきたいと思います。

中学総体、市の予選は今月末から始まる。いよいよだ。