スーさんのGW

5月7日(水)

連休が終わった。
3日から5日までは、「関西・中部中学生選抜ソフトテニス研修大会」に参加するため、滋賀県は甲賀市まで。

出発前、交通情報は、東名岡崎付近と東名阪道四日市付近でそれぞれ30キロ近くの渋滞になると報じていた。ま、例年のことなので、リアルタイムで交通情報をヒアリングしながら、VICS情報を常時受信して渋滞状況に応じ道路選択していくナビと相談しながら行けばいいや、とだいぶん暢気に考えていた。

当日、浜松から参加するチーム中では、ヨッシーのところが最も先行していた。逐一、道路情報をメール配信してくれた。ヨッシーらしい配慮である。「東名は豊田(JCT)までは順調です。四日市付近がかなり込んでるようなので、四日市手前で高速を降りて国道を走るつもりです」とのことだ。

確かに、東名はそんなにひどい渋滞ではなかった。どのみち岡崎付近で渋滞するのなら、昨年のようにその手前の音羽蒲郡インターで降りて国道を走るつもりでいたのだが、その音羽蒲郡近くになっても順調に流れている。ええい、行けるところまで行ってやれ、とそのまま東名を走ることにした。案の定、岡崎インターの手前から渋滞し始めた。しかし、完全に止まってしまうほどではなかった。

伊勢湾岸道は快適だった。しかし、東名阪道との合流地点から鈴鹿インターあたりまでが渋滞している模様だ。ヨッシーよりもやや遅れて先行しているシンムラくんからも、「四日市手前で渋滞してます。下道を走った方がいいと思います」との連絡が入った。ナビも迂回を指示していたので、みえ川越インターで湾岸道を降りて、そのまま23号線を走ることにした。

しかし、同様のことは他のドライバーたちも考えていたのだろう、名四国道はノロノロの渋滞である。ナビは、四日市インターから東名阪道に戻るよう指示しているのだが、なかなか名四国道の渋滞を抜け出すことができない。ようやく四日市インターに辿り着き、東名阪道に復帰したが、その後は快適に走れた。特に、新名神は周囲の山並みの新緑が美しく、それまでの渋滞でかなり辟易していた気持ちが和んだ。

そのまま甲賀土山インターで新名神を降り、男子の試合会場である甲南中へ。既に多くの学校が参集して練習をしていた。受付を済ませてドローを見ると、何と先月名古屋で対戦した三重Y中もエントリーしている。驚きであった。しかも、本校と同じ予選リーグである。何という組み合わせか、と思った。昼食をとりながら、主催者の一人であるデグチ先生にそのことを確認すると、大会直前になって話があってエントリーしたとのことであった。釈然としないものを感じた。

大会初日は、団体戦の予選リーグ(3試合)である。もちろん、リーグ最後の対戦がY中である。2試合が終わって、いよいよY中との対戦となった。一計を案じ、従来とは違うオーダーで臨んでみた。どのペアも最初のゲームを取って、いい感じで試合をしてくれた。結果はもちろん敗戦であったが、着実にその差は縮まっていると思った。

その日の夜は、男女別会場だったため顔を合わすことができなかった女子の監督の先生方も加わって、水口町内の旗亭「たちばな」にて、有志による「前夜祭」。テニス談義とそれぞれの近況報告に花が咲く。途中から一升瓶の焼酎が回り出したため、やや度を過ごして飲んでしまい、同宿のシンムラくんと一緒に、よろよろしながら宿に戻る。

翌日は、団体戦の決勝トーナメント。本校初戦の相手は、3月末の全国選抜大会で対戦した奈良K中であった。相手はリベンジに燃えて向かって来るであろうと思われた。相手の大将ペアを外せば、何とか勝てる目算があったためか、今回は敢えて大将ペア同士をがっぷり四つに組ませてみようと考えた。オーダーは互いに1-3-2である。

案の定、大将戦は熾烈な試合となった。2ゲーム先行されたが、こちらが追いつき追い越してリードしたものの、相手も追いついてタイブレーク。そのタイブレークも一進一退の攻防から、ついに本校ペアがマッチ。ところが、そのマッチのリターンを前衛選手がアウトして相手が息を吹き返し、逆にマッチを取られて万事休す。今まで一度も勝ったことのない相手だ。マッチで緊張するのも仕方がないというところか。悔やまれる敗戦であった。2面同時展開で隣で行われていた試合は、相手の気迫に押されたか、こちらがミスを連発して敗戦、3番勝負はタイブレークの末に勝っていただけに、大将戦の勝ち負けが明暗を分ける結果となった。

それにしても、この大会の男子は、三重Y中が加わったことでそのレベルが一気に全国上位レベルにまで引き上げられた。奈良K中だけでなく、どの予選リーグも実力校が入っていて、1,2位トーナメントを勝ち抜くのは至難の業であると言えた。

敗戦は残念であったが、それら実力校同士の対戦が見られるのも楽しみである。準々決勝は、その三重Y中と実力校の一角である和歌山J中との対戦であった。情報収集のためにも、この試合は是非見ておかねばならない。その試合、Y中は1-3-2、J中が3-1-2のオーダーで、3番勝負となった。立ち上がりからJ中がリードする。Y中のペアはミスが多い。J中が2ゲームリードしたところで、Y中も反撃を開始した。2ゲームを取り返してタイ。ところが、ここからまたY中ペアのミスが目立ちだした。結局、そのままJ中が勝利。あっけない幕切れであった。試合を食い入るように見つめていた本校の選手たちは、その結果に目を丸くしていた。もちろん、Y中が敗れるところを初めて見たからだ。結局、団体戦はそのJ中が制した。妥当なところであろう。

午後は個人戦の予選リーグである。昼食時、本校ペアが入っているリーグを確認していた。ん?んん??と、ドローに目が釘付けになってしまった。どう考えても組み合わせがおかしい。例えば、どの学校も大将ペアだけは1位で予選通過できるように組み合わせられているのだが(でないと、順別トーナメントをやる意味がない)、本校の大将ペアのリーグを見る限り、実力校の三重Y中、兵庫H中のペアが入っていて、楽に1位通過できるようには組み合わせられていない。

この大会に参加するようになってかれこれ20年近くになるが、今までこんなことは一度もなかった。すぐに主催者に問い合わせた。確認してもらったところ、やはりおかしいということが判明した。どうやら今回のドローは、女子部顧問が作成したものらしい。男子の状況を知らないとは言え、これだけの実力校が顔を揃えたことを考えれば、ドロー編制にはかなり気を遣わなければならないことくらいはわかるだろう。他にも同様の組み合わせが散見されたことから、すぐに主催者の一人であるデグチ先生がドローの差し替えを指示してくださった。

その個人戦、やはりリーグによって軽重があり、何と3番登録だったペアがリーグ1位だったのに対して、大将ペアはY中のペアに1敗してリーグ2位、2番登録のペアなどY中ペアに加え他の実力ペア揃いのリーグで全敗して4位という結果であった。こういう結果になるということは、組み合わせが不適切であったということの証左である。決勝トーナメントが、1,2位と3,4位とに分けて行うのならそう問題はないが、完全に順位別に行うのであれば、きちんと実力ペアが出揃うように組み合わせなければならない。これは、主催者の信用問題でもあろう。

その決勝トーナメント、1位トーナメントに入った3番ペアは、いきなり奈良K中の大将ペアが相手であった。為す術なくストレート負け。2位トーナメントの大将ペアは、準決勝で京都O中の大将ペアに敗れた。4位トーナメントのペアは、さすがに決勝まで勝ち上がって優勝した。それよりも、他の対戦が見物であった。

件の三重Y中は、春の全国中学生都道府県対抗戦で三重県チームの主力選手として出場、見事優勝を飾っているばかりか、その直後に行われたM社主催の全国研修大会でも大将ペアが個人優勝している。全国でもトップレベルの実力を持っていると言ってよかろう。その大将ペアがベスト8にも入れずに敗退した。倒した相手は、京都NJ中の3番ペアである。前衛選手がスーパーフォローを連発して流れをものにし、相手のミスも誘ってのすばらしい勝利であった。

Y中3番ペアも、和歌山J中の大将ペアに打ち砕かれて敗退した。Y中2番ペアも、準決勝で奈良K中の大将ペアと対戦、タイブレークの末に敗退した。三重Y中の3組は、いずれも東海ブロックでは無敵と謳われたペアばかりである。近畿ブロック恐るべし。現に、これらの学校の顧問たちは、Y中のペアを評して、「別にどってことないやん。何とかなるもンやでエ」と異口同音に宣わっていた。恐るべしは、これら顧問たちであった。

それより何より、初めから「ちょっとあのペアには勝てないだろう」と思って、対戦前から負けることを前提にして選手たちを指導していた自らの不明を恥じた。監督がそんなふうに思っていて、選手たちが力を発揮するわけがない。いいものを見せてもらった。組み合わせの不適切は、これらの試合を見ることができたことで精算されたと言えよう。夏までの目標が、少しずつ具体像を結んでいくような気がした。

帰途は順調であった。途中、東名阪道が鈴鹿から四日市まで走ったり止まったりの繰り返しだったが、それ以外はまったく渋滞もすることなく、夕方5時までには帰浜できた。いろんな意味で実り多い遠征であった。

明けて、連休最終日は終日蟄居。午前中に布団を干しては寝、午後は連休後半で帰省していた娘を駅まで送って帰っては寝、ほんとうによく寝た一日であった。それだけ疲れていたということなのだろうか。夕方から起きだして、ドラッグストアにて滋養強壮剤を買い入れてきた。そんなものでも飲まないと、とても今日からの勤務に耐え得ないと思ったからだ。

こうして、今年の連休も終わった。一刻千金。楽しい時間というのは、ほんとうに早く過ぎる。