スーさん、新年度年頭の誓い

4月1日(火)

新年度が始まった(まだ「新学期」は始まっていないが)。本年度は、教務主任を拝命した。多忙な分掌である。学校における「雪かき仕事」の最右翼とも言えようか。年間を通して常に多忙であるが、年度始めと年度末は、「超」がつくほどに忙しい。それは、前任校で2年間務めた経験からも言えることである。

今春から教務主任を務めるよう正式に要請があったのは、春休みに入って異動発表が行われた後のことであった。だから、春休みは新年度の準備に忙殺された。でも、本校の前教務主任は、細かなところまで心を配って準備をしてくれてあった。ほんとうにありがたいことである。そうでなければ、とても月末に予定されていた部活動の遠征など、行くことは叶わなかったはずである。

前任校で教務主任を受け継いだ際には、苦い経験がある。そのときは、既に教頭として転出が決まっていた前教務主任が、行事予定以外ほとんど何も用意せずに転任してしまった。3月31日、夜遅くまで一人で学校に残って、必死でいろんな準備をしたことを覚えている。その前教務は、「全ては、教務主任の考え方一つでどうにでもなるんだよ」と言った。つまりは、「アンタが自分で全部やんなよ」ってことだった。疎まれていたのかもしれない。そんな人が今は校長職だ。

3月最後の3日間は、Y社が主催する「全国中学校選抜ソフトテニス大会」に参加するため、岐阜県は土岐市まで遠征していた。冬の間に行われた新人戦の県大会やブロック大会の上位校を中心に、全国から選抜された24チームによる団体戦である。試合は、4ブロック6チームによる予選リーグと、3ブロック8チームによる順位別リーグで行われた。男女別会場で、それぞれ8面のコートを使用して、1日3試合ずつ、3日間で計9試合を行う。

行く前には、「少なくとも全敗だけはしないようにしたい」と消極的に考えていた。どんな大会なのか、どんなチームが参加するのかわからなかったからだ。でも、同時期にM社も同様の大会を開催している。こちらの大会の方が「老舗」だ。ブロック大会上位校の中には、もちろんそちらの大会に参加するチームもあるだろうから、多少は本校の選手たちでも対抗できるチームもあるかもしれないとも思っていた。

初日の初戦は、全国大会にも何度か出場している岩手のM中とN中の連合チーム。今回の大会に臨むにあたっては、3番勝負をどう乗り切っていくかということが課題の一つであった。つまりは、カップリングを替えたペアが、全国レベルの大会で3番として機能するかどうかを見極めようと思っていた。はたして、いきなり3番勝負となった。この試合は、後衛がいいコースへボールを散らして勝つことができた。まずは1勝である。

しかし、続く第2試合は、これも3番勝負となったのだが、やや変則気味のゲーム展開にこちらが合わせ出してタイブレークにもつれ込み、最後まで競り合ったものの、結局敗れてしまった。これで簡単には3番の評価が下せなくなってしまった。3試合目も3番勝負となったが、この試合は前衛選手がよくポイントして勝つことができた。

2日目、初戦は前回の「五里五里の郷」で対戦して負けている奈良のK中である。大将ペア同士も含め、3組が互いに四つに組んだ対戦は、大将戦こそ落としたものの、残る2組は快勝して宇治市での雪辱を果たすことができた。これで、3番は確定したかに思えた。ところが、次のリーグ最終戦では、東京都大会を制したS中との3番勝負に、これまたタイブレークの末に敗れてしまった。のらりくらりとロビングを多用してくる配球にハマってしまったという印象であった。

本校が所属しているリーグは、3チームが3勝2敗であった。どうなるかと思いきや、何と得失ゲーム差で、本校がリーグ1位となってしまった。望外のことである。自動的に、ベスト8入りすることにもなった。しかし、そこから先の試合は、厳しい相手ばかりであった。決勝リーグの初戦の相手は石川のNT中。豪打の後衛が3人揃った好チームである。一方的な敗戦になるかとも思われたのだが、大将ペアが気を吐いて、この試合も3番勝負になった。しかし、さすがにこのレベルともなると、今までの相手のようにはいかない。あっという間に3ゲームを連取されてしまった。ところが、ここから2ゲームを取り返した。結果、そこまでで敗れてしまったが、何とか追いつきそうな感じもあった。3番の見極めが揺れ動きつつ、最終日を迎えることになった。

さて、最終日である。この日は、前夜からの雨がまだ残っていたが、試合開始時間になる頃には小止みになり、昼前からは晴れ間も見られるようになった。しかし、わがチームの試合は雨模様であった。この大会前に行われた全国中学生都道府県対抗戦に出場した鳥取県代表に、3番勝負ではあったが、その3番がほとんどなす術無く敗れ、さらには、続く宮城のT学院中には、3タテをくらって敗れてしまった。選手たちも、さすがにこの敗戦は応えたらしく、それぞれ重苦しい雰囲気を漂わせていた。最終戦は、7位決定戦である。敗戦をきちんと受け止めつつ、締めくくりに相応しい試合をするよう話をした。この試合も3番勝負となったが、何とか勝利で終えることができた。

3日間、厳しい試合の連続であったが、それらの経験から、選手たちは何かしら得てくれたはずである。大会に来るまでは、1勝できるかどうかもわからなかった。しかし、終わってみれば参加チーム中、上位3分の1には入ることができた。上出来である。まだ夏までには間がある。これから、課題を一つずつ克服していけばよいのだ。得難い3日間であった。

そんなテニス三昧の3日間の翌日が、教務主任として臨まなければならない新年度初日であった。昨日までテニスコートにいたことが、まるで遠い昔のことのように思われた。不思議な感じであった。これから多忙な毎日となるであろうが、何とか時間を割いて、テニスコートには足を運ぼうと思う。夏の大会までの残る数ヶ月、3年生には悔いのない取り組みをさせてやりたいからだ。がんばろう。