スーさん、ちょっと怒る

11月5日(月)

日曜日は、先週雨で順延された県西部地区中学校ソフトテニス大会の団体戦。昨年のこの大会では、男子は浜松地区の代表校が優勝していることから、新人大会浜松1位校は第1シードに組み合わせられることになっていた。したがって、本校は第1シードで大会に臨むことになった。

ちょうどこの時期は、どこの学校も校内合唱コンクールや文化発表会等が企画されていることに加え、冬至に向けて日没時間が急速に早まっていることから、放課後の練習時間が十分に確保できない。もちろん、夜間照明付きのテニスコートを持っている学校などないから、いきおい、ジュニアのクラブチーム等、何かしら学校とは別組織に所属して練習している選手以外は、競技レベルが多少なりとも低下してしまうことになる。本校とて、その例外ではなかった。仕方がないので、大会前だけに限って、一、二度市営テニスコートに出掛け、夕方2時間ほど練習できるようにさせてもらった。

団体戦の出場校は全部で24校。県大会へはベスト8に勝ち残ったチームが出場できる。シード校は、初戦をクリアすれば県大会への出場が決まるのだ。本校の初戦の相手は、1回戦を3番勝負で勝ち上がってきた市内校であったが、特に苦戦をすることもなく勝ってベスト8、県大会への出場が決まった。

続く準々決勝の相手は、今夏の市内大会団体戦で2組とも先にマッチポイントを握っていながら敗れたA中。現チームには、その時に試合をした選手が3人いる。口にこそ出さなかったが、「リベンジしよう」という気持ちはあったのだろう、すばらしい集中力と気迫で相手を圧倒、試合は3番に回ることなく2-0で勝利した。これでベスト4。

準決勝の相手は、お隣の磐田市の新人大会で準優勝した学校であったが、これまた競り合いの場面はほとんどなく、2-0で勝って決勝へ。決勝戦の相手は、新人市内大会準決勝で対戦したS中。ジュニアのファームがあり、県選抜チームに入っている前衛選手をも擁す強豪校である。

このチームとの対戦成績は1勝1敗の五分。1年生大会は本校が3番勝負の末に敗れ、新人市内大会では2-0で勝ち、今回が三度目の対戦である。2面同時進行で試合が始まった。トップは相手の大将ペア。前回は相手後衛選手のボールがコートに入らず、何とか勝つことができたが、はたして今回の対戦ではほとんどノーミスで打ってきた。さらには、こちらの後衛選手がコース変更にいったボールを相手前衛選手に叩かれ、あっという間に3ゲームを連取されてしまう。こちらの前衛選手に動きを指示して何とか1ゲームを取り返したが、相手に傾いた流れを取り戻すことなくそのまま敗戦してしまった。

隣のコートでやっていた本校の大将ペアは、多少のミスもあったが、要所を好プレーで締めてストレート勝ち、勝負は3番に持ち込まれた。その3番勝負、本校の後衛選手は、1年生大会の時にも3番に出てタイブレークの末に敗れた悔しさを覚えていたのだろう、俊敏なフットワークと相手前衛に的を絞らせない配球で相手を寄せ付けず、ストレートで完勝。本校の優勝が決まった。

団体戦は3組の点取り(2点先取)である。だから、頼りになる大将ペアがいるときは強い。相手チームは、当然のようにその大将ペアとの対戦を避けてくることから、確実に1点を取ることができるからだ。後は、残った2ペアで1点を取ればいい。幸い、本校の3組は後衛選手がそれなりのレベルで平均化している。前衛陣は、大将前衛を除いて今ひとつ得点力がなかったが、試合経験を積むほどに得点力がアップしてきた。つまりは、大将ペア以外もそんなに競技力が落ちないということがある。優勝できたのは、そんな事情もあってのことだろうと思う。

試合のことはさておき、今回もやや気になったことを記しておきたい。

本校が試合をしているときに、コート周辺をひたすらランニングしている学校があった。どこの学校だろうと思って確認したところ、1回戦で敗退した学校であることがわかった。ひたすらランニングしながら敗戦の反省をさせているということなのだろうか。そんなことを生徒たちが自主的に行っているとは考えにくい。先生の指示でやらされているのだろう。もしそうだとするなら、言語道断の行いである。そんなことを指示するバカは、偉そうに顧問だなどとぬかしてはいけない。即刻顧問を辞めるばかりでなく、教員そのものも辞するべきである

試合に負けるのは、断じて子どもたちの所為でない。すべては、顧問の指導力不足の故である。それなのに、いかにも子どもたちが悪かったかのように、罰としか思えない長時間のランニングを課すとは。以ての外である。ランニングをするんなら、自分が倒れるまでやればいいのだ。そうやって自分が走りながら反省すれば、少しは自分の指導力のなさも実感できようというものだ。

確かに、部員がいなかったりして、時にはあまりモチベーションが高くなく、低レベルのパフォーマンスに終始する選手たちしか出場させることができない場合などもあろう。それでも、何とかそうならないよう精一杯指導するのが監督の仕事である。そんな基本的なこともお分かりいただけてない者を、監督とは呼ばない。

また、試合前の挨拶が終わった直後、コート内で円陣を組み、「ぜー、おー!」とかやってる学校もあった。確かに、団体戦だからチームワークを高めるための一つの「儀式」としてやったのかもしれないのだが、そんなことをしなければ意気が上がらないようでは所詮試合には勝てない。闘志は心静かに燃やすものである。円陣を組む暇があったら、ペアでゲームの入り方を簡単に打ち合わせしたりする方がよほどいいではないか。本校のキャプテンは、そんな相手チームを見て、「先生、ああいうことやらなければ勝てないんですかねえ」と言っていた。ちなみに、本校のその学校との対戦は、2面同時進行で試合終了まで15分とかからなかった。円陣は、全くその神通力を発揮しなかったのだ。そんなことはわかっているはずだ。やるべきことは他にあるはずなのだ。それを指導するのが、監督の仕事である。

文句の言い序でに、女子部のことも。さすがに新人大会では見かけなかったが、よく夏季大会などでは、応援席に千羽鶴を掲げている学校もある。折ったのはもちろん下級生である。上級生から、一人何羽とノルマが課せられた末のものであろうが、やらせるべきではないと思う。確か前任校の時にそんなことがあった。部員たちには、以下のように話した。「試合に出る選手たちにほんとうに勝ってほしかったら、下級生としてやるべきことって、鶴を折ること以外にあるんじゃないのか?懸命にボール拾いをするとか、声を出して練習の雰囲気を盛り上げるとか。」以来、千羽鶴を折ることはなくなった。これなども、監督が部員たちの千羽鶴製作を一種の美談ととらえているところに問題があると思われる。

また、これは女子部に特有のことなのだが、節を付けて歌うような応援って、何とかならないものだろうか。大きな声で声援を送るのは同じ部員として大切なことと思うが、何も歌うように応援しなくてもいいではないか。歌詞もいただけない。あまりに直接的で品がない。「笑顔、笑顔、笑顔…」、「ガッツ、ガッツ、ガッツ…」、「勝利、勝利、勝利…」と、節を付け手拍子付きで何度も繰り返すだけ。恥ずかしくないのだろうか?聞いていて不快である。まるで念仏を唱えているようだ。こういうことを四六時中言ってなければガッツが出てこないのだろうか?まさかね。こんなことをやってるから、ソフトテニスはいつまでもマイナースポーツのままに終始してしまうのだ。もちろん、そんなことをやらせる監督に問題があることは言うまでもない。

だんだん文句付け爺になってきたみたいだ。やめよう。

試合に勝つために、その学校特有の「儀式」が必要なことは認めるにしても、それが部の下級生たちに何らかの無理強いをするものだったり、試合進行を遅らせるものだったり、試合会場での傍若無人の振る舞いをするものだったりする場合には、やはり顧問の指導で止めさせるべきなのだ。それは、顧問としての良識が問われることでもあろう。

幸い、若手指導者への講習会の計画は、ヨッシーを中心に順調に進んでいる。前回の日記の趣旨を話したところ、沼津K学園高のスガイ先生も、「そういう意図でやられるのなら、私も協力します」と申し出てくれた。ありがたいことである。未来ある若手指導者たちに、「指導者として、かくありたい」という思いを伝えたい。そうして、一人でも多くの良識ある監督を少しずつ増やしていきたい。