涙の初優勝

10月8日(月)

またまた3連休であった。しかし、この土日は前週に雨で流れた市内新人大会(団体戦)が行われたから、9月の3連休とは違って、のんびりと過ごすというわけにはいかなかった。

土曜日は、予選リーグと決勝トーナメントの1・2回戦。本校は、ノーシードである。この大会のシードは、今年2月に行われた1年生大会の結果によって決定されている。1年生大会は、第1シードであったにもかかわらず、初戦で敗退してしまった(ちなみに、その学校は1年生大会優勝)ため、今回は第6シード下のリーグからスタートと相成ったのである。

初戦は、いきなりその第6シード校。今回は、試合前から出場する3組のオーダーを決めていた。本校の大将ペアは、かなりの実力を有している。特に、前衛選手は先日行われたU-14の東海ブロック選考会に県代表選手として参加しているほどである。だから、試合ではその組を真ん中に挟んで、トップには力強いストロークを打てる後衛選手を、殿にはフットワークが軽くロビングのうまい後衛選手を配して、それぞれの持ち味がうまく出せるように考えた。

第6シードのF中は、今夏の新人研修大会で見る限り、大将ペア(特に前衛選手)がかなりのポイント力を持っているという印象であった。でき得れば、真ん中に出てきてくれて、ウチの大将ペアと当たってくれればと思っていた。はたしてそうなった。試合は、1番・2番ともに失ゲームなしのストレート勝ち、3番はこちらのミスが多くややもたついた感じであったが、何とか勝ってくれた。とりあえず、初戦の山場は乗り越えることができた。

リーグ戦は、次のT中戦も難なく勝って、1位で通過することができた。これで、決勝トーナメントは第6シードで臨むことになったのである。シードだから、2回戦からの出場である。選手たちには、待ち時間に集中力が途切れないようにするよう指示する。

決勝トーナメント1回戦は、シード校の監督が審判をすることになっている。自分たちが次に対戦する学校の試合の審判をするのだ。その試合であるが、双方ミスを繰り返すシーソーゲームとなり、勝敗は3番勝負に持ち込まれた。結果、K中が勝ったが、審判をしながら「これなら負けることはないだろう」と思っていた。実際、そのとおりになった。これでベスト8である。

この日の試合はここまで。明日のことを簡単に連絡して、選手たちを解散させる。いつもの土曜日なら、夕方から小宴というところであるが、さすがに翌日試合を控えているとなればそうはいかない。オノちゃんも、「では宴会は明日の夜ということで」と帰途に就いた。

もちろん、手前もそのつもりでいたのだが、審判をやったせいか喉が渇いていた。不肖の妻は、この日仕事が休みのはずなのであるが、家にはいなかった。と、学校に忘れ物をしたことを思い出した。プリウスに給油するついでに、学校へと向かうことにした。ついでに、ヨッシーに電話を入れてみた。ヨッシーの家は、本校の学区にある。もちろん、本校の卒業生でもあるのだ。「あのさあ、今から学校行くの。ついでだから、あーたを迎えに行ってあげるから、ビール飲む?」と聞くと、「ぼかぁいいですよ」とのお返事。「遅くならなければ、麻雀もやりましょうか?」と悪魔の囁きも忘れてはいなかった。すぐに、オーツボくんとヤイリくんに電話をしてみると、「やりましょう」ということになった。

オーツボくんは、女子ソフトボール部の顧問、ヤイリくんは男子バスケットボール部の顧問である。それぞれ、その日は新人戦が行われていた。二人とも明日も試合があるという。急ピッチでビールを飲み、いつもの雀荘にて半荘2回。トップはヤイリくんであった。手前はマイナ20ほど。帰りしな、オーツボくんが
「今日負けたから、明日は勝てるかも知れないっすね」と言っていた。何となくそんな気がした。

明けて日曜日は、準々決勝から決勝まで、さらに県西部地区大会出場校決定のための敗者復活戦(
順位戦)である。いきなり、ノーシードながら実力校のK中であった。K中には、2年前の夏季大会の県大会準決勝で敗れている。どうも印象が悪いチームであった。

はたして、試合はトップが負け、真ん中が勝って、3番勝負に持ち込まれた。この試合に臨む一つのテーマが、「殿が務まるペアをつくること」であった。しかし、ここまで3番勝負になった試合がなかったため、この試合が初めて勝負のかかったゲームとなったのである。ペアのパフォーマンスを確認するにはいいチャンスであった。

その3番勝負、最初のゲームは落とすが、途中から相手後衛にミスが目立つようになり、続く3ゲームを連取する。しかし、ここから本校の後衛選手が所謂「勝ちびびり」状態を呈するようになった。足が動かなくなり、ラケットが振れなくなってきてしまったのである。「勝ちに居着いた」状態になったのだ。2ゲームを連続して落とし、勝負はタイブレークに。しかし、タイブレークに追いついたことで、逆にこちらの後衛以上に相手後衛が居着くようになった。イージーミスを繰り返してくれたおかげで、気分的にはこちらが楽に試合を進めることができ、そのままゲームセット。これでベスト4である。

準決勝の相手は、1年生大会で負けたS中である。選手たちも、「S中にリベンジ」という気持ちは強かったと思われる。試合前のそれぞれの選手たちの顔つきが違っていた。たぶん、相手はこちらの大将ペアとの対戦を嫌って、自大将ペアをトップに持ってくるであろうと思っていた。本校のトップに出るペアは、準々決勝で負けている。どうしようかと考えたが、そのままいくことにした。「いいか、さっきの試合のことは忘れて、自分たちのいいイメージを大切にしてやってこいよ」と送り出す。

試合が始まった。2面同時進行だったため、もちろんコーチは1番めのペアに付く。真ん中の大将ペアは、自分たちで十分勝ってきてくれるだろうと思っていたからだ。相手のトップは、前衛が県選抜チームに選ばれたほどの選手である。本校のペアも「相手にとって不足はない」と思ったのであろうか、最初のゲームこそ落としたものの、2ゲーム目からは後衛選手がびしびしと打ってボールを回し、前衛選手もいい動きでポーチボレーも決め出して3ゲームを連取、その後1ゲームを落としたものの、そのまま相手を振り切って勝ってしまったのである。もちろん、隣のコートでやっていた大将ペアもその前に勝っていたので、3番まで回ることなく、1年生大会のリベンジを果たすことになった。

決勝戦は、何と、同じリーグにいたF中が勝ち上がってきていた。「一度やってウチが勝ってるんだから、自動的にウチの勝ちにしてよ」と、本部役員に冗談が言えるほど、手前も選手も緊張感はあまりなかった。相手が大将ペアを避けてくるとも思っていたが、対戦は予選リーグと同様となり、それぞれストレートで勝って、優勝が決まった。

試合後、選手一人一人と握手をしながら、その労を労った。昨年は、ほぼ1年間負け続けて悔しい思いをしてきただけに、その喜びも一入であったろうと思う。どの選手も、晴れ晴れとしたいい顔をしていた。新チームなっての初の公式戦であったが、いいスタートが切れた。これに自得することなく、さらなるレベルアップを目指して精進させていきたいと思う。

もちろん、その日の夜はいつもの店で祝勝会。残念ながら、オノちゃんとシンムラくんとこは、西部大会出場がならなかったが、ヨッシーのとこは14校出られるところを、何とか13位で出場を決めていた。それぞれ話は盛り上がって、酌み交わす麦酒と焼酎も更に一杯と重ねられ、美酒に酔いしれる神無月の夜は更けてゆくのであった。

そんな翌日は、もちろん練習も休みで晏起。午前はオノちゃんらに頼まれて、映画「ベルリンフィルと子どもたち」(これはいい映画です!)をDVDにダビングする作業。午下は華胥の夢を貪る。晡時、晴れ間が覗いたためプリウスを洗車。穏やかな秋日であった。来週末には新人大会の個人戦とも言うべき市民スポーツ祭が控えている。束の間の得難いオフであった。