高校生たちの熱い二日間が終わる

5月28日(月)

この土日は、両日とも静岡市にある県営草薙テニスコートへ。高校ソフトテニスのインターハイ県予選に出場する教え子たちを応援するためである。昨年のこの大会は、すばらしい結果で幕を閉じた。そのことは、昨年の日記(5月30日)にも書いたとおりである。さて今年は?

土曜日は、本校の中学生の部員たちも同行である。県内のソフトテニスをしている高校生がいちばん熱くなる日、それがこの県予選である。そんな高校生たちのひたむきなプレーぶりを、ぜひその目で見てほしいという願いがあってのことである。生徒たちも楽しみにしているようで、浜松駅に行くと、既に集まっていた生徒たちからは「優勝候補は○○高校だらあ」などという話が出てくる。

JRは、団体券(生徒8人以上)を使用すれば運賃が半額になる。1時間とちょっと、電車に揺られて静岡駅に到着。そこからは、徒歩で新静岡駅まで移動し、静岡鉄道に乗り換えて草薙の運動場前駅まで。既に試合は始まっている。

沼津K学園高にお世話になっている前任校の教え子は3人(3年生2人、1年生1人)。3年の一人は、団体・個人ともに昨年の大阪インターハイに出場している。他に、K学園高以外の高校でソフトテニスを続けていて、この県総体に出場している教え子もいるが、やはりわざわざ沼津まで行き、監督の家に下宿してがんばっている生徒たちの応援が第一である。

土曜日は団体戦。もちろん、インターハイに出場できるのは優勝校のみである。K学園高、初戦と2回戦は難なく勝ってベスト8。準々決勝の相手は、優勝候補の一角である県西部地区の優勝校である。試合が始まった。トップはK学園高の大将ペアが力で相手をねじ伏せるが、隣のコートは相手の大将ペアが勝って3番勝負。K学園の3番は、教え子のペアである。最初のゲームは簡単に取ったのだが、次のゲームから相手後衛にコースを散らされ、それにこちらの前衛が対応できなくなってきた。結局、そのまま流れを引き戻すことなく敗戦。「あっさりした負け方」という印象であった。そのまま、その相手が団体戦の初優勝を飾った。

明けて日曜日は、オノちゃんアルファードで、ヨッシー、シンムラくんの計4名で草薙へ。K学園高の教え子は3人とも個人戦に出場している。特に3年生ペアには、何とかインターハイへの出場を決めてほしいと願っていた。

その3年生ペア、初戦の相手は昨秋の新人県大会で対戦して敗れているペアである。しかし、さすがに同じ轍は踏まないと思っていたのだろう、苦戦することなく初戦を突破する。2回戦も苦戦することなく勝ち、迎えた3回戦。ほぼ互角の展開であったが、競ったゲームをものにできず、要所でミスが目立ってあえなく敗戦。これで3年生ペアのインターハイへの出場はなくなった。昨日の団体戦と同様、何ともあっさりした負け方であった。どうにもそのことが気になった。

今回は、会場入りしても、教え子たちと話をする機会がなかった。もちろん、そうやって話をしたからとて、何かが変わるわけではない。こちらは、ただ励ますだけである。しかし、思わずそうやって励ましたくなってしまうという「空気」というものはあるのではないか。敢えて負けた原因を探すというわけでもないのだが、今年はそんな「空気」が感じられなかったように思う。

昨年、インターハイに出場したK原崎(卒業生)には、試合当日「鬼気迫る」雰囲気があった。容易に近寄り難いオーラを周囲に発生させていた。欠けていたのは、そういうことだったのかもしれない。試合前の選手たちの表情には、どうもきりっとしたところがなかったように思う。へらへらしているというわけではないのだが、緊張のあまりか「弛緩」あるいは「蕩然」としているとでもいうような印象であった。気を呑まれていたのかもしれない。

出場した5ペアのうち、ただ1組気を吐いたのは1年生ペア。その前衛選手も前任校の教え子である。入学していきなりの県大会ということもあってか、あまりプレッシャーも感じなかったのだろう、あれよあれよという間にベスト8入りを果たしたのである。個人戦でインターハイに出場できる組数は6組。準々決勝で負けたとしても、敗者復活のリーグ戦がある。それで上位2ペアに残ればインターハイである。

しかし、1年生ペアの快進撃もここまでであった。準々決勝は、それまで試合をしていたコートとは違ってメイン会場のコートになって緊張したためか、後衛選手のボールが入らず、前衛もリターンミスを繰り返して敗戦。敗者復活のリーグ戦も、善戦はしたものの結果全敗でインターハイへの出場はならなかった。

学生スポーツのいうのは、毎年メンバーが入れ替わる。すばらしい選手が中心選手としている年もあれば、そうではない年もある。しかし、いわゆる伝統校といわれる学校やチームは、そんな中でもそれなりにチームづくりをしてくる。それが監督・コーチの技量であろうし、学生スポーツの大きな特徴であろう。はっきり言えることは、K学園高はまちがいなくそんな伝統校の中の1校になったということである。

「え?今年はインターハイ出られないんだろ?なのにそんなこと言えるの?」と思われるかもしれない。言えるのだ。それは、1年生ペアがベスト8に残ったということが何よりの証左であろう。伝統校としての指導の積み重ねがあったからこそ、ちゃんとインハイ出場圏内の8本に残ることができたのだ。練習の裏付けのない、素質のいい選手頼みの学校ではこうはいかない。スガイ先生の指導力の賜物と言うべきであろう。

今年も、高校生たちの熱い2日間が終わった。1ヶ月後は中学校の番である。こちらも、そろそろエンジンを始動し始めようか。