スーさん、依存する

4月25日(水)

ひょっとして、本格的な活字中毒者になりつつあるかもしれない。

このところ、購入する本がどんどん増えていき、とりあえず居間のPC周りと寝室の枕元とに分けて「積ん読」状態であるのだが、さすがに1日1冊というようなペースでは消化できないため、自然と積まれる本が増えていく状態である。

だから、「よし、今週は本屋に行くのはやめよう」と決意して、土日にそれまで購入した本をじっくり読むようにしているのだが、悪いことに、新聞の書評は日曜日に掲載される。そこで、「おお、これはおもしろそうだ」と思える本を見ると、居ても立ってもいられなくなり、「ひょっとしてあそこの書店には置いてあるかもしれない」などと考え始めるともうダメである。いそいそと家の近所の書店周りをすることになってしまうのだ。

「だったら、新聞の書評欄も見ないようにすればいいではないか」とお考えの向きもあるとは思うのだが、そうはいかない。書店で見かけた本に「毎日新聞の書評欄でも紹介された…」などとキャッチ箋などが着いていようものなら「ううう、何たる不覚!」と甚だしく後悔すること必定なのである。

かくして、毎日曜日は地元紙と毎日新聞2紙に紹介された本を求めに、書店巡りをすることになる。困るのは、お目当ての本がなかったときだ。そういう場合でも、「え?こんな本出てたの?」と思わぬ出版物を衝動買いをしてしまうことが多々あるのだ。こうして、購入予定外の本もどんどん増えていく。

例えば、こんなふうである。今週月曜日、購入目的の本があって書店に立ち寄った。だけど、目的の本はぱらぱらと読んでみたところあまりおもしろそうではなかったので、文庫や新書の新刊書紹介のコーナーを見ていたところ、つい『詩に誘われて』(柴田翔/ちくまプリマー新書)が目にとまる。目次を見てみるとなつかしい吉原幸子などの名前を見つけてしまう。即座に購入。目を転じると、隣の棚に『ゲーム的リアリズムの誕生』 (東浩紀/講談社現代新書)が置いてある。「おいおい、こんな本出てたのかよお!」とすかさず購入。さらには、文庫本のコーナーで『老人力』(赤瀬川原平/ちくま文庫)を見つけ、つい手にとって少し読んでみると、もう止まらない。「こ、これはおもしろい!」と即座に購入を決めてしまうのであった。かくして、ほんとうならば何も買わずに書店を後にするはずであったのに、逆に3冊増えて帰宅することになってしまったのである。

かように、本は増える一方である。そう言えば、先週の日曜日は『読書の腕前』(岡崎武志/光文社新書)を読んでいた。その中に「積ん読」の効用が述べられていたので、「おお、そうだそうだ、そのとおりなのだ」と激しく納得したのはいいのだけれど、それで何か後ろ盾(何のだ?)を得たような気になり、本の購入にさらに歯止めがかからなくなってしまったところがある。

その『読書の腕前』でも紹介されていたこともあり、それまでその存在は十分に知りつつも、どうも積極的には入ってみようという気にはならなかった「ブックオフ」にも、「じゃ行ってみっか!」ということになったのである。

「ブックオフ」は、自宅から自転車でも数分で行ける距離である。だけど、なぜかはわからないが今まで利用したことはなかった。「オイラの読むような本は置いてないらあ」というのがその大きな理由であった。ところが!知らず嫌い(こんな言葉あるのだろうか?)というのはあるものだ。先月終わりの毎日新聞書評欄で三浦雅士が「刺激的な本である。今後の日本と世界、少なくとも東アジアの行く末にかかわると言ってもおおげさではない」と評した本を見つけたのである。

その本とは、『古事記の起源』(工藤隆/中公新書)である。初版は昨年末だから、出てからはしばらく時間が経過している。そんなこともあってか、何店舗か書店巡りをしてみたのだが、残念ながら見つけられないままでいた。まあ、「今すぐにでも読みたい!」というような切迫したものがある本ではなかったし、とりあえず中身を見てから購入するかどうか決めようと思っていたので、アマゾンとかで注文することもなく経過していたのである。

さすがにワンコインではなかったが、半額である。ずいぶん得をした気分になった。これで、また中毒に拍車がかかった。だって、今まで足を向けなかった書店、通常の書店にはない古本を扱っているところがまた一店舗増えたのだから。同時に、今まで読んだ本で、もうこれはたぶん読まないという単行本の小説などは、売りに来てもいいなあと思うようになった。何せ、もうほとんど本の置き場所がなくなりつつある現状なのである。

パチンコ店と同じで、そこへ行かなければお金を使うこともない。だから、ブックオフでも普通の書店でも、とにかく寄って帰らなければいいのだが、件の『読書の腕前』に、「ブックオフには週明けに行くと掘り出し物がある」と書いてあったので、ついつい昨日も寄ってしまったのである。何も買わなければいいのだが、「まあ105円だしねえ」と購入したのが『エヴァンゲリオン補完文書』とかいう本。死海文書と関連づけて、エヴァの解説を試みたものである。あとは、『イチロー262のメッセージ』。これはワンコインではなかったけど、「まあ半額だし」ということで。

とにかく、ブックオフでは「まあワンコインだし」とか「まあ半額だし」というのがくせ者である。結局、買わなくていいものまで買ってしまうのである。だから、次々と本が積み上げられていく。これは、やはりどう考えても「本依存症」、あるいは「書店依存症」である。これって、真剣にまずいのではないか。

どうしよう。せっかく禁煙がここまで2か月以上続いているのに、その代わり活字(本、書店)中毒が亢進しているということなのであろうか。うーむ。どうやら、オイラは依存症に弱い体質であるらしい。そう言えば、週末にいつもの居酒屋で飲んでいつものメンバーで麻雀するっていうのも「依存症」なのだろうか。

うう、医者に行った方がいいかもしれない。