スーさんの新学期

4月9日(日)

新しい学校での生活が始まった。

校務分掌は、11年ぶりに「生徒指導主事」を拝命した。同時に、「特別支援教育コーディネーター」も務めなくてはならない。本校は、浜松市の「特別支援教育モデル校」に指定されている。本市では、来年度より本格導入を予定している「特別支援教育」に向け、浜松市内10校のモデル校にてそのノウハウを蓄積しようとの目論見があるようだ。今まで誰も経験のない教育活動を展開しなければならないわけで、文科省や県のガイドラインはあるものの、具体的にそれぞれの学校現場でどう取り組んでいくかということについては、ほとんど手探り状態で進めていかなければならないというのが現状である。はたして、この凡庸な手前にかような任務が務まるかどうかまことに心許ない。しかし、校長先生から「これは他の先生には頼めない仕事なんです」と言われれば、微力ながら精励恪勤するばかりである。

新しい学校というのは、それぞれの学校独特のエートスというものがあり、それに慣れるのに時間がかかる。クリップ一つとっても、それがどこに置いてあるのかをいちいち教えてもらわなければならない。それが新鮮といえば新鮮であるが、加齢とともに新しい環境に馴致するのは時間がかかるようになっている気がする。

まだ教科の授業は始まっていないので何とも言えないところはあるのだが、全校集会のときの様子などを見ていても、生徒たちは概ねたいへん素直で従順である。もちろん茶髪やミニスカの生徒とていない。前任校の生徒たちに比べると、ややあいさつの声が小さいところもあるが、町場の学校独特のシャイなところもあるのだろう、別段気になるほどのことではない。

部活動は、男子ソフトテニス部の顧問になった。この学校は、中学校には珍しく女子テニス部がないのである。男子を教えるのは8年ぶりである。本校の男子テニス部は、昨年秋の市内新人大会では、見事団体戦・個人戦ともに優勝している。市内でもトップレベルの選手たちを擁しているのである。教え甲斐があるというものだ。

テニスコートは、グランド東側のグランドより一段低くなったところに1面、さらにそこから一段低いところにもう1面ある。ちょうど坂道に沿ってコートが造られているため、そんな配置になったのであろう。

コートのすぐ西側には桜の木がある。ちょうど今の時期は、桜の花びらが風でコート一面に散り敷いている。南側は雑木林で、落ちた枯葉でコートの半分が埋まってしまう。そうそう、先日練習を見ていたら、その桜の木からパラパラといっぺんに花びらが落ちてきたのでふと見上げてみると、何と2匹のリスが枝から枝へと飛び移りながら桜の花びらを食べていた。何とも自然環境豊かなテニスコートなのである。

前任校では、休日は男子が午前中コートを使用するので、女子はほとんどが午後からの練習であった。その分午前中は朝寝坊もできたのだが、この学校では休日は午前練習である。前日遅くまで麻雀をしたりしていても、朝はそれなりの時間には起きて練習に行かなければならない。今まで6年間慣れ親しんできた休日の生活スタイルを変更するというのも、馴致に時間がかかる。

ちなみに、今日も午前中の練習を終えて帰宅し、こうして日記を綴っているのだが、休日の午後のんびりできるというのも悪くはない。妻は仕事、娘は外出で家に誰もいないと、掃除機をかけたり、洗車をしたり、植木に水を遣ったり、本を読んだりと、けっこう気ままに過ごすことができる。これも加齢の所為であろうか、そういう時間が何とも貴重な時間に思えるようになってきた。

そう言えば、昨日はかの「ヤマ〜ダでんき」で、「HD・DVD・VHS一体型レコーダー」を購入してきた。新聞のチラシで見たものは衛星放送のチューナーがついていなかったため、多少高めの衛星放送チューナー付き製品を購入したが、店員から「でも、これって購入してもあと5年しか使えないんですよね」と言われてしまった。「何で?」と聞くと、現在放送しているアナログ放送は、あと5年をもって終了してしまうとのこと。おいおい、そんなこと誰が決めたんだあ?って知らなかったのはオイラだけだったのかもしれない。「じゃあどうすんの?」「地上デジタル放送が受信できるチューナーを購入すればいいんです。既にそのチューナー付きのものもあります。そちらにしますかあ?」って、その店員が示した製品は、手前が購入した製品のほぼ倍額の値段であった。「で、でもとりあえず5年は使えるんだよね、だし、5年後にはそのデジタル用のチューナーも今より多少は安くなっているかもしんないしね、いいよこれで、あのさあ、どうせあと5年でなくなるんでしょ?だからもうちょっと安くしてよ」と、さらに値切って購入したのである。

これで、休日の午後の楽しみがさらに増えたのである。しばらくは、今までせっせと録画したビデオをDVDにダビングする作業をするとしようか。