スーさんのアメフト観戦記

11月28日(月)

日曜日は、関西学生アメリカンフットボールリーグ最終戦のKGファイターズ対パンサーズの試合を観戦するために、京都の西京極競技場まで。

久しぶりに新幹線に乗るのも悪くない。

日曜日であったが、「こだま」号も特に喫煙車両はがら空きで、缶コーヒーを片手に、ヘッドホンステレオでブルックナーを聴きつつ、内田先生の『街場のアメリカ論』を読むという車中は、なかなか贅沢な気分に浸れて乙なものなのである。

京都駅からは地下鉄に乗り換えて、阪急の四条烏丸まで。地上に上がって昼食。お腹が充ちたところで、阪急四条烏丸から各停に乗って西京極駅まで。

アメリカンフットボールの試合となれば、もちろん事前に「越後屋」さんとは連絡をとってある。当日は西京極駅にて待ち合わせということになっていた。

今回は、昨年と同様にイワモトさんもお見えになるということで、西京極駅で待っていると、そのイワモトさんから「どこにいるんですか?」との電話が入る。「え?改札口出たとこにある阪急そばのあたりだけど」と答えると、「阪急そば?それって競技場とは逆の改札口じゃないですかあ?ちょっとその場で待っててくださいね」と言われてしまう。ほどなく、イワモトさんがあらわれ、「もー、ちゃんと地図とか見てくださいよね」とお叱りを受ける。なかなか厳しい人なのである。

「越後屋」さんとも合流して競技場へ。そのころには、西京極駅から続々と人が繰り出し、ぞろぞろと競技場の方へと向かっていく。京都は今が紅葉の盛りである。競技場周辺の楓も見事な色に染まっていた。「もし今日負けたら、明日休みを取って紅葉見物としゃれ込もうか」などと思ってしまう。

競技場に着いた。KG側のスタンドに入ろうとすると、「すみません、もうこちらのスタンドは満員です」とのことで、バックスタンド側の入口から入場できないことがわかった。仕方がないので、スコアボード側の入口から入ることにする。位置的には、スコアボードの真下、ちょうどゴールポストの真後ろになる場所である。

この場所だと、フォーメーションはよく見えていいのだが、左右の遠近感がないので、ボールがどれくらい進んだのかがよくわからない。でも、とにかく試合が見られれば文句はない。
フォーメーションがよく見える場所のせいか、スタンドのすぐ後ろには某大学のマネージャーと思しき女性が、ビデオカメラを操作しながら逐一「レシーバー、左から1、2、ファーストテン」などと大きな声で言っていた。おかげで?ボールの位置の確認に困ることはなかったのである。

さて、キックオフ。パンサーズのレシーブである。両チームとも、ディフェンスのがんばりでオフェンスが進まず、このまま前半終了かと思われた第2Q、パンサーズがランで先制する。

後半に入っても前半と同様なオフェンスの手詰まり感があったが、ようやくファイターズも反撃を開始して相手ゴール前に攻め込み、何とかフィールドゴールを決める。

ドラマは第4Qに用意されていた。

まずパンサーズがじりじりと陣地を詰め、ゴール前に迫ってフィールドゴールを決める。「ここらでキックオフリターンタッチダウンとか出ないとねえ」と勝手なことを言っていた直後、ファイターズにビッグプレーが飛び出す。ファイターズ#81が、あわやキックオフリターンタッチダウンと思えるような、パンサーズ陣25ヤードまで詰めるリターンを見せてくれたのである。

これで流れはファイターズに。そのままタッチダウンを奪って同点、と思いきや、何とファイターズはPATをキックではなく、2ポイントコンバージョンを選択した。まだ時間は9分近く残っている。隣で観戦していたファイターズOB「越後屋」さんも、「えー!キックじゃないの?」と驚いている。結局、2ポイントを狙ったパスは通らず、1点差が残ってしまう。

続くパンサーズのオフェンスで、またまたタッチダウンを奪われて8点差。残り時間は刻々と減ってゆく。それでも何とかオフェンスを進めたファイターズは、試合終了まで残り20秒でタッチダウンを決めて2点差。こうなれば同点引き分けねらいの2ポイントコンバージョンしかない。しかし、残り17秒からエンドゾーンに向かって飛び込んだファイターズQBが抱えたボールは、ゴール前1ヤードを残して止まってしまった。試合終了。ファイターズは、またしてもパンサーズに敗れてしまった。

ファイターズにも勝てるチャンスは十分にあったと思う。特に、残り9分を残しての2ポイントねらいは、いろいろと論議を醸すことであろう。しかし、勝敗の決した後での評はあくまで結果論でしかない。もしも成功したならば「すばらしいベンチワーク!執念の2ポイント!」などと評されていただろう。勝ち負けというのは、紙一重のところで天国と地獄とを分けてしまう。それを全て引き受けるのが監督である。監督の仕事というのは、そういうものなのである。

それにしても、昨年に引き続き、すばらしい試合であった。両校の選手たち、監督、コーチ一同を讃えたい。

終了後は、「越後屋」さんの知人でA新聞にお勤めのアダチさんもご一緒されて、京都駅ビル内の焼鳥屋さんにて「プチ反省会」。アダチさんは、12月1日に予定されている内田先生の「朝カル大阪」にもご出席されるとのことで、「わあー内田先生のお話、楽しみい!」と盛り上がる。

最近、たぶん「痛風」ではないかと推測される痛みを手足に感じている手前は、ビールは1,2杯で止め、焼酎に切り替えることにしている。今回も、ビールの後は焼酎を飲んだのだが、「何で割りますか?」とお尋ねになった店員さんに「お茶割りで」とお願いしたところ、「え?緑茶割りですか?」とお聞きになるので「そうですけど」と答えると、「申しわけありません、緑茶割りはないんですけど」と言われてしまった。「では、芋焼酎を水割りで」とお願いする。

そのことに、同席されていた「越後屋」さんたちはひどく驚かれたらしい。「緑茶で割るんですかあ?さすがはお茶どころ静岡!」などと、その話題でまたひとしきり盛り上がる。

帰りの新幹線の時間もあったので、7時前には「プチ反省会」もお開き。たぶん紅葉見物客だろうと思われる人、人、人でごった返す京都駅にて、「越後屋」さんたちにお別れをする。

わざわざ京都まで来てお付き合いくださったタニグチさん、イワモトさん、アダチさん、ありがとうございました。おかげで、楽しい「小旅行」ができました。来年も、ぜひご一緒しましょう。そして、(イワモトさんには悪いけど)来年こそファイターズの勝利で、美酒を痛飲しましょう!