潜在読者88万人

2月5日(土)

「この本を書いた人って、ひょっとして先生が神戸の大学院へ行かれていたときにお世話になった先生ですか?」

先々週のある日、本校の音楽の先生が1冊の新書を手前に見せた。

「おおお、『先生はえらい』だあ!もう発売されたんだあ!」と思わず声をあげてしまった。「ど、どこで買ったの?アマゾンとか?」「いえ、ウチの近くの書店に平積みしてありましたよ。タイトルにひかれてつい買っちゃいました。」

うーむ。不肖内田ゼミ聴講生の一人として、先生の新刊を先んじて周囲に紹介することはあっても、逆に紹介されるとは何たる不覚!

さっそく、帰りに近くの書店で購入した。件の新書は、まだ創刊されたばかりなので、けっこうどこの書店でも置いてあるということが判明したのである。

先生も御自身の日記に書かれているとおり、書店でこの新書のタイトルを目にした「教員」の方々は、まずまちがいなく購入することが予想される。

現に、手前の学校でも、「あ、その本、ワタシも買ったよ」と、既に購入していた先生が他にもいた。

世の「先生」と呼び習わされる人たちには、まずまちがいなく購入意欲を喚起させるであろうことは想像に難くない。

それにしても、「ちくまプリマー新書」って、なかなかいい企画だと思う(ちなみに、手前は今回発売された5冊のうち4冊を購入しました)。

何より、筆者のラインナップがいい。そして、想定される読者が中高生とあって、いきおい筆者の語り口がやさしくなっているのもいい。

装丁もいい。カバーのパステルカラーが、何とも上品な印象を醸し出している。

また、どの本もページ数は200ページ前後なのに、字間や行間がつまってないので、すぐに読めてしまうところがいい(本を1冊読了したときの「達成感」というようなものは、とても大切だと思う。特に、ふだんなかなか新書などは読まない中高生は、あまり困難を伴わずに1冊読了することで、「オレってけっこう本好きじゃん」という気になるのではないか)。

さらに、今回発売されたどの本も、内田先生のおっしゃる「最初の最初はどうだったのかを考える」内容になっているのもいい。きっとこれらの本を読んだ中高生には、「知的好奇心」に点火される人たちが少なからずいるであろうと思われるのである。

中高生向きに書かれた新書は、もちろん他にもある(たとえば、「I波ジュニア新書」など)。内容も、今回のプリマー新書に負けず劣らずというところかもしれない。

しかし、残念ながら従来の中高生向き新書は、「この新書、ぜったいにおもしろいから買って読んでみ」って積極的に推奨できるものではなかったような気がする(なぜかは理由がわからない)。

だけど、この新書なら(別に内田先生の本が云々ではなく)「今日、家に帰ったら本屋さんに行って、どれでもいいから“これおもしろそう”って思ったものを買ってきなさい」って紹介したくなるのである(現に、授業中にそうやって紹介しました)。

中高生だけでなく、題名にひかれ、中身をパラパラと読んでみて、「あ、これならワタシでも読めそう」と購入していく大人だっているはずだ。

というわけで、このプリマー新書は、何となく大ブレイクするような予感がするのである。

<追伸>

内田先生、全国の小・中・高校の教員っていったいどれほどの数なのかご存じですか?

(たぶん私立も含め)小学校教員が約39万人、中学校教員が約24万人、高校教員が約26万人で、計88万人です。

その半数が『先生はえらい』を購入したとしても44万部。

先生、ぜひ「『先生はえらい』50万部突破記念パーティー」開催の暁には、ぜひとも手前にもその末席を汚させていただくようよろしくお願いいたします。