すーさんのパチンコ哲学

12月28日(火)

なんだ、もうすぐお正月だってのに浮かない顔して。

「いや、このところパチンコ全然勝てなくってさあ。この2ヶ月でもう10万円くらい損してるよ。」

なんだ、そんなことか。まったく、スマトラ沖地震の津波じゃあ2万人も死者が出たってのに、のんきなこと言ってんなよ。

「だってなあ、ホントにぜーんぜん出ないんだよ。まるで詐欺みたいだ。」

大体なあ、パチンコ屋なんてハナっから儲からないようになってんだよ。前に「2チャンネル」のスレでどっかのパチンコ店の店長が、「お客さまからは徹底的にお金をいただきます。パチンコで儲けようなどとゆめ思わないでください。私たちはお客さまが遊戯する時間と場所を提供しているだけですから。」って書きコしてたぞ。

「だろうなあ。そうだろうとは思ってるんだけど、オレ昨日10万円勝ったぞ、なーんて話を聞くと、小遣い銭欲しさについ行きたくなっちゃうんだよなあ。」

あのなあ、そうやって言うヤツもなあ、勝った金額の倍以上は損してんだぜ。そんなことわかってんじゃんかよ。

「そうなんだけどな。オレら公務員ってアルバイト禁止だろ?仕事でストレスもたまるしさ、だからストレス解消と小遣いを稼ごうって時にはパチンコって手頃なんだよな。きっと公務員の隠れパチンコ愛好者ってけっこう多いと思うんだけど。」

バーカ、お金取られてイライラするんだからよけいにストレスたまってんじゃんかよ。いつも負けた後は、あ~あ1万円あればもっと別のモン買えたのになあ、って思ってんだろ?あのなあ、さっきの店長の話によるとなあ、パチンコ台ってのはすべて設定が最低の1で、どの台でも出玉を遠隔操作できるって。だから勝てるわけないんだよ。

「それってホントの話か?だけど店に行くと出てるヤツだっているぜ。全部の台がそうだってわけじゃないだろうが。」

そういう台はな、客を呼ぶためのサクラ台なんだよ。そういう台を見て、「よおし、オレも」って思わせて金を使わせるようにしてんだよ。

「だけど、前に交換所のところで景品交換してた兄ちゃんなんか18万円とか交換してたぜ。たぶんスロットだと思うけど。ああいうの見ちゃうと、オレだって、って思っちゃうよ。」

だからそれが店の狙い目なんだよ。オレの知ってる銀行員が、「サラ金に手を出してる若いヤツってほとんどがスロットで損してるヤツばかりだ」って言ってたよ。1ヶ月の給料分を1日で稼げるんだからそりゃあたまらんだろうなあ。そうしてギャンブルにのめり込んでいくんだよ。

「そもそもギャンブルって、どういう起源をもってんだ?人類発生と同じくらいに古いんだろうか。」

どうだろうな、原始共産制の社会ではきっとギャンブルなんかはなかっただろうから、貨幣の使用からしばらくして発生したんじゃないだろうか。そもそも人間の欲望には際限がないのだから、より多くの貨幣を手に入れたいと思うと同時にギャンブルも発生したんだろうなあ。

「って言うか、ギャンブルって、人間の心理をうまく利用しているよな。確かプリマーって心理学の先生が、“滅多にやらない行動のあとでよくやる行動を行うと、滅多にやらない行動を強化する”って言ってたよ。ギャンブルってまさにそれだよな。いくらお金をつぎ込んでも、もう次は大当たりが来るんじゃないかって思っちゃうもん。」

それだけわかってるんだったら、パチンコなんてしょーもないもんヤメたらええやんけ。

「って、いきなり関西弁になっても困るんだけど、まあ年も改まることだし、これを機会にパチンコは金輪際ヤメるようにしようかなあ。」

それが賢いって。大体、パチンコが「庶民の娯楽」なんて大ウソなんだよ。あれは一種の詐欺みたいなもん。金がいくらあったって足りんくなるわい。いかにパチンコ屋が儲かってるかって、毎日日替わりでパチンコ店の新台入替のちらしが新聞の折り込み広告に入ってくるのを見たってわかるだろ。そのうちの一部はオマエの金なんだぞ。かの養老孟司先生も「現代人は脳の中に住むという意味で、いわば御伽噺の世界に住んでいると言っていい」とおっしゃっておられる。パチンコで小遣いを稼ごうなんて、脳が作り出した御伽噺なんだよ。

というわけで、みなさま、くれぐれもパチンコ屋などには足を運ばず、楽しく健全な年末年始をお迎えくださいませ。