スーさん、音楽を語る

12月14日(火)

13日(月)は、不肖の娘が通学する高校各科・コースによるコンサートを聴きに、夕方から浜松駅前にある「アクト中ホール」(コンサートホール)へ。

娘は「音楽科」に在籍しているのだが、この高校には普通科の他に「電子音楽科」・「美術造形科」・「普通科書道コース」・「普通科吹奏楽コース」など、芸術関係の科やコースが多く設置されており、今回はその中から「音楽科」・「電子音楽科」・「吹奏楽コース」による演奏会が催されたのである。

まずは、「電子音楽科」の演奏。

最初の曲は、チャイコフスキーの「弦楽セレナード」より第1楽章。5台の電子オルガンによる演奏である。

以前から、電子オルガンのパフォーマンスには一目置いていたのだが、曲の出だしからいきなり「うーむ」と唸らされてしまった。

目を閉じて聞けば、まさに実際の弦楽合奏団による演奏(あんまり実際には聴く機会がないけど)なのである。

いわゆる「電子音楽」でイメージしがちな「金属的な音」など、まったく聞こえない。それどころか、コントラバスによるピチカートの音まで忠実に再現できるのである。

演奏する5人の息もぴったり合っており、思わず拍手喝采。

2曲目は、ジャズピアニストのミシェル・カミロによる「Just Kidding」。こういう曲になると、もう電子オルガンの独壇場である。

演奏者は1人。なのに、1台の電子オルガンから、トランペット・サックス・ピアノ・パーカッションの音が次々と奏でられるのである。お見事!の一言。

聞くところによれば、「電子オルガン」の奏者はいかに達者に演奏できようとも、なかなかそれを生活の糧にしていくということは難しいのだそうだ。

もともと音楽を生活の糧にしていくということ自体が、日本ではなかなかな困難を伴うという現状である。それだけ、日常的に「生の音楽」を楽しむという習慣がないということなのか、「生の音楽」を提供してくれる演奏者へのリスペクトがないということなのだろうか。

特に、「電子オルガン」という楽器は、その演奏技術に習熟すれば、それこそかなり広汎な場での活用が可能であると思われるのだが。

休憩を挿んで、次は「音楽科」の演奏。

最初は、ホルストの組曲「惑星」より「木星」のピアノ連弾。

これにも唸らされた。

あの「木星」のピアノ連弾?誰かが編曲したんだ、などと言うべからず。手前も知らなかったのだが、ちゃんとホルスト自身がオーケストレーションする前に2台のピアノによるバージョンを作ったのだそうだ。

途中、多少のミスもあったのだが、演奏レベルの高さに比べればなんと言うことはない瑕疵である。

2台のピアノによる演奏なのに、オーケストラで演奏している時のような音が聞こえる。

「いかにもピアノで演奏してます」という演奏になっていないというところが、この連弾がいかに優れた演奏であるかということの何よりの証左であるように思う。しかも、高校生による演奏なのである。

音楽科による演奏の最後は、全員による合唱(ちなみに、不肖の娘は合唱団の一員としてのみの参加でした、まだ1年生だしね)を4曲。みんな音楽専攻というだけあって、そこいらの合唱団顔負けの歌声であった。

最後は吹奏楽。まあ、これは「高校生だね」という演奏であった。

それにしても、こういう演奏を入場料なしで聴けるというのはすばらしいことである。

実は、この演奏会は昨年までは校内でのみ開催していたとのことである。しかし、「校内だけではもったいない」という声があり、ぜひ一般市民にも聴いていただこうということで、今回から公開することにしたそうだ。

身贔屓目を抜きにしても、文句なしに楽しめる演奏会であった。

こういう演奏会が増えてくることが、浜松市の目指している「音楽のまちづくり」につながっていくことと思う。