オペレーション越後屋

11月2日(火)

10月末日の日曜日、前日の土曜日に引き続き、部活動は新人大会の県大会出場をかけた地区大会が行われた。

結果は惨敗。

団体戦で県大会に出場できないのみならず、個人戦も1組が県大会に出場できるだけという結果に終わった。

もちろん、負けるからにはそれなりに理由があるからで、それについてはまた機会があれば書くことにして、日曜日にはもっと重要なことがあったのである。

我が母校(大学)のアメリカンフットボール部が、現在公式戦23連勝中のR大と対戦し、見事勝利を収めたのである。

この2年ほど、R大アメリカンフットボール部は、社会人チームも蹴散らして、名実ともに日本最強のアメリカンフットボールチームとして君臨してきた。

今秋のリーグ戦も、順調に勝ち星を伸ばし、手前の母校とはそれぞれ全勝での対決とは相成ったのである。

勝ったチームがリーグ制覇に近づくことは言うまでもない。それどころか、近年の西高東低の傾向が続く大学アメリカンフットボール界では、「関西を制するもの、全国を制す」との言葉どおり、12月に阪神甲子園球場にて行われる「アメリカンフットボール東西大学王座決定戦(通称甲子園ボウル)」でも、関東の大学を制して学生日本一になる可能性はきわめて高いのである。

さらに、毎年正月3日に行われる、社会人日本一チームとの優勝決定戦「ライスボウル」でも、この3年間は学生が優勝していることからして、名実ともに「日本一」への道が開かれているとも言えるのである(そう簡単なことではないのは重々承知ですが)。

そんな重要な一戦なので、何とか競技が行われる神戸ユニバーの競技場まで応援に駆けつけたいと思ってはいたものの、生徒たちの試合をすっぽかして神戸まで行くわけにもいかない。

何とか結果だけでも早く知りたいと思案していたところ、はた!と思い当たったのである。

内田先生からは、最近「越後屋」などと称されているTグチさんである。

何を隠そう(隠してないじゃない)、Tグチさんこそ、学生時代には我が母校のアメリカンフットボール部の守備選手として、広くその名を知られた御仁だったのである。

Tグチさんとは、昨年の内田ゼミで御一緒させていただいた。

手前とは、大学同窓生の間柄になるのであるが、ことアメリカンフットボールに関しては、手前など及びもつかない知見と経験とをお持ちなのである。

さっそく、前日の土曜日の夕方、Tグチさんのケータイに連絡をさせていただいた。

「R大戦、もし行かれるようでしたら、試合結果をお知らせくださいませんか?」とお願いしたところ、Tグチさんからは「おまかせください、逐一レポートを入れさせていただきます。」とのお返事。

これで、リアルタイムで結果を知ることができることになったのである。

その日曜日、部活動地区大会個人戦は、本校の大将ペアが県大会出場を決めた直後に敗退。午後からは、そのままコートに残って他校の試合を観戦していた。

キックオフの2時が近づいてきた。いよいよだなあ、と神戸ユニバー競技場に思いを馳せる。

地区大会は3時前には終わったので、そろそろ前半が終わって連絡が入る頃だと思い、そのまま車の中で待機。3時過ぎ、来た来た来ました、Tグチさんからの電話。

「どうですか?勝ってます?」「ハイ、スズキさん、勝ってますよー。前半終わって14対7です。いい試合してますよ。」とのこと。

やったー!勝ってる!しかし、このまま経過するはずはない。昨年も、試合終了間際までリードしていたが、残り1秒からフィールドゴールを決められての逆転負けを喫している。油断はできない。

次の連絡が入るのは、1時間後の4時過ぎだろうと思い、それまでに雑用を済ませることにする。

4時過ぎ、再びケータイとにらめっこで、Tグチさんからの連絡を待つ。

ハーフタイムを挿んでも、試合終了は4時半過ぎと踏んだ。

ところが、4時半を過ぎても連絡が入らない。

おーい、Tグチさん、どうしたよー。ひょっとして負けちゃったのかなー、いやいや勝ったので周りの人たちで騒いでいて電話できないんだよきっと、などと一人でいろいろと想見していた。その時間の長いこと。

待つこと数十分。そろそろ5時になるという4時47分、電話が来た。

「スズキさん、聞こえます?ほら、校歌が聞こえるでしょ?」「えっ?」「校歌ですよ、校歌、ポープラははーばたく、いざひびーけーわーれーら、って。勝ちましたよ!30対28。いい試合でした。もう、甲子園もまちがいないです。一緒に行きましょうね!」

言葉が出なかった。思わず、涙がこぼれそうになった。

Tグチさんから試合経過を聞いているうちに、じわじわと実感がわいてきた。

勝ったんだ、勝った勝った勝った!小躍りしたくなるような気分だった。

リーグ戦は、まだ2試合を残している。次の対戦相手も、もちろん気の抜ける相手ではない。

しかし、今季最大の山場は乗り越えたのである。きっと残り試合も勝ってくれることだろう(と期待したい)。

この試合の模様だが、毎日放送にてその日の深夜に放送するらしい。しかし、残念なことに全国ネットの放映ではないため、浜松のような地方都市では見ることがかなわない。

そこで、またまたTグチさんに、「もしよろしければ、録画したテープを送っていただけませんか?」とお願いしてみた。

快く引き受けてくださった。ほんとうにありがとうございます。甲子園ボウル、出場が決まったら、ぜひ応援に行きたいと思います。その折りの再会を楽しみにしております。

いつテープが送られてくるかと、楽しみに待ちながらの毎日である。