新潟の同職のみなさんへのエール

11月5日(金)

4日のテレビは、今回の新潟中越地震で中断されていた小中学校92校が授業を再開した様子の一部を報じていた。

中学校によっては、普通教室は避難住民が生活しているため使用できず、とりあえず全学年体育館で授業を実施するようにしたところもあるそうだ。

地域防災計画において避難所として指定されている学校や、災害の規模・程度と地域の実情などにより避難所となる学校では、学校の教職員も避難所の救援業務に当たらなければならないとされている。

そういう学校では、まず何より学校の施設が避難所としての機能を発揮するよう求められるだろうから、生徒の授業を優先させるというわけにはいかない。

先生方の中には、御自宅が被災された方もいらっしゃるだろうと想像されるが、きっとそういう先生も、勤務校へと出かけたり、生徒たちの様子を見て回ったりしていたのだろうと思われる。

そんな中での授業再開だったのだろう。

しかし、4日は学校が始業後まもなく震度5強の余震に見舞われたそうだ。

何とも無情という他はない。

校内の運動場は駐車場や炊き出し場として使用されているだろうから、外で体育の授業を行うというのも難しいのであろう。

理科室や調理室などの特別教室も使用できなければ、実験や実習を行うこともできない。

同職にある身として、先生方の苦衷はいかばかりかと言葉もない。

「まだ余震もおさまっていないのに、授業を再開するとは何事だ!」などと言うべからず。

年間授業時数(1年間に実施しなければならない標準授業時数)は、『学校教育法施行規則』という国法によって、きちんと定められているからである。

中学校の場合は、同法第54条関係の別表に、第1学年から3学年まで「年間980時間」を「標準とする」と明記されている。

どこの学校でも、まさか「地震による災害で学校を休校にせざるを得ないようになった場合」にも備えて教育課程を編成しているわけではないだろうから(学校週5日制の完全実施に伴い、ただでさえ授業時数の確保は喫緊の課題なのである)、今回のような地震があった場合には、とりあえずどうやって980時間を確保するかということをまず何より最優先で考えなければならないのである。

もちろん、全ての教科・特別活動等を含めて980時間なのであって、それぞれの教科・特別活動等についても、「別表」にはきちんと標準授業時数が定められている(たとえば、手前が担当している中学3年生の国語科では、年間105時間の授業を実施しなければならない)。

手前の見たニュース番組の中でも、その中学校の教務主任が授業時数確保の困難さについてコメントされていた。そうだろうと思う。

学校が再開されても、2週間あまり休校した分の時数は既に50時間を超えている。

平日に授業を上乗せして(たとえば6時間授業のあとに特設の7時間目を入れるなど)実施したとしても、なかなか消化できる時間数ではない。

もし休校分の時数を確保するのなら、いきおい長期休業中に回復を図るしかなくなってしまう。

新潟県のような豪雪地帯では、手前どもの学校とは違って、冬季休業を長く取るのではないかと思われる。だからきっと、冬休み中に補習授業を行うことになるのだろう。

だけど、その時までに学校の施設が平常の授業を行えるまでに整備されているのだろうか。

学校によっては、校舎そのものが倒壊の危険にさらされていて、校舎内に立ち入ることすらできないところもあると聞く。

また、中学3年生は冬休みが過ぎればすぐに高校受験が控えている。

避難所で、家庭学習もままならない状態で、受験を迎えなければならないというのもさぞや不安なことであろう。

でも悲観せず、困難に立ち向かってほしい(先生方も生徒さんたちも)。

日本で、あなた方を応援している人たちはいくらでもいます。

「どんなに長い夜もいつかは明ける」(@シェークスピア)って言います。

どうか、お体を大切にしてこれからの困難な時期を乗り越えていってください。