5月19日
家に帰って新聞に目をやると、一面の下の方に『日経Kids+(キッズプラス)』という雑誌の広告が出ていた。
特集は、「才能が開花する習い事」。
「将来必要な力が身に付く!」という副題もついている。いくつか上げられている習い事の例の中には、合気道もあげられている。合気道をすると、集中力を持続させる力がつくということらしい。
ちなみに他の習い事では、以下のようなものがあげられている。
『そろばん』 難問を絵画的に計算。右脳を開発
『競技かるた』 戦略立案能力が身に付く
『演劇』 対人関係力アップ、引っ込み思案をなくす
『ヨット』 判断力、責任感、整理整頓の習慣
『チアリーディング』 元気な笑顔とあいさつ
どれもすばらしい習い事ばかりのようだ。
「どうしてお子様にヨットを習わせようと思ったんですか?」
「はい。整理整頓の習慣を付けさせようと思って」
ほとんどコントみたいである。
さて。それはそれとして、話は合気道です。合気道を習って、集中力を持続させる力は本当にアップするのだろうか。
私が思うに、これは結構当たっているのじゃないかと思う。
「そんなの嘘です」なんて、油断して書くと、雑誌の中で内田先生が取材を受けていたりする可能性もあるので、そういうことは書けないということもある。でも、それを差し引いても、これは割とあたっていると思う。
私は、合気道を始めてまだ3年くらいだけど、自分で、単純作業に強くなったような気がしている。
研究室での作業と言うのは、飽き飽きするような単純作業がつき物である。実験が好きか嫌いか、あるいは、実験に向いているか向いていないかということの最初の分岐点は、この「単純作業にいかに耐えられるか」というところにあるのじゃないかと私は思っている。そして、案外、この「単純作業をいとわない」ということは、生きていくうえで非常に大切なことなんじゃないかと思う。
集中力がついたというのとは、少し違うかもしれないけれど、合気道を始めてから、あまりイライラしなくなった気がする(腹が立たなくなったというのとは、微妙に違うのが、まだまだ修行が足りないところである)。想像が付くと思うのだが、苛々しなくなると、単純作業があまり苦も無くできるようになるのだ。
ごくごく私的な経験を基にしての意見で申し訳ないのだが、そういうわけで、「子供に合気道」というのはとてもいいんじゃないかと思う。そしてもちろん、合気道を習うことの良さはそれだけじゃなくて、もっと沢山あるはずだ。最終的には、あまりメリットなんて考えずに、お子さんが楽しめそうだったら、どんどん合気道をさせてあげて欲しいです。
「戦略立案能力が高くて、元気な笑顔とあいさつをする子供」って、政治家みたいでこわいですね。
今日私が辞書で出会った言葉。
“Infusible(不溶性)” adj. Not able to be fused or melted. (WEBSTER’S II DICTIONARY NEW THIRD EDITIONより)
「気のおけない友達」というのもいいですが、僕はけっこう他人行儀なのが好きです。
5月18日
朝から出張へ。昼はドライカレーを食べる。午後からは研究室へ。
最近、医局に新しいコーヒーメーカーが入った。一度に十杯分くらい入れられる大型の機械で、ヒーターで長時間温めてもコーヒーが煮詰まらないように工夫されている優れものだ。
挽いたコーヒー豆と、フィルターなどの純正製品を購入すると、その機械は業者が無料で貸してくれるらしい。コーヒー一杯が48円換算だそうです。
さらばゴールドブレンド。さらば違いのわかる男たち。
今日出会った辞書の言葉
「カヌー」丸木舟。[競漕用にも使う]かぞえ方 一艘(新明解国語辞典第五版より)
高校生の頃、アウトドア関連のエッセイを読んだことがある。あの頃は、アウトドアが結構はやっていた。『ビーパル』という雑誌を本屋でよく見かけた。あの雑誌は今もあるのだろうか。
エッセイの内容は余り覚えていないが、あとがきだけが印象に残っている。
「わたしはよく人から『田舎好き』と勘違いされるのだが、実のところは田舎が大嫌いである。田舎には、性格がのんびりしていて、人情味溢れる人間たちが住んでいると思われているところがあるが、実際はそんなことは全くない。田舎には、保守的で疑り深く、こちらが本当に困っているときに助けを求めても全く取り合おうとしないというような、冷徹な人間が多いのである…」
こんな感じのあとがきだった。
穏やかなエッセイを読んで微温的な気持ちになっているところに、水を浴びせられたような気持ちになった。しかし、読み終えてあまり嫌な気がしなかったのは、どこかリアルな感じがしたからだと思う。ちょっとわざとらしいけど。
5月17日
今日、偶然辞書で出会ったことば
“Verisimilitude(真実らしさ、迫真性、本当らしく見えるもの)” n. 1. The quality or state of appearing to be true: likelihood. 2. Something appearing to be real or true(WEBSTER’S II DICTIONARY NEW THIRD EDITIONより).
謎という真実に立ち向かい、また一日加齢するわたし