10月7日
詩人はパンツをはかない
自由な思考が奪われるからだ
パンツのゴムは詩人の
滑空するインスピレーションを阻害する
詩人は知人の地鎮祭で
一人ジントニックを飲んでひんしゅくを買う
うらやましそうに日本酒をすする
他人の目などはどこ吹く風だ
「義理で来てないのは俺だけだぜ」
知人の肩に手をまわして詩人がつぶやいたとき
言葉の切れ端をのせた小さな木枯らしが
夕暮れのテントの中に吹き込むのだ
10月6日
花は枯れてしまった
そしてものがたりが始まった
新しいものがたりは新しくて古い物語だった
若者は生きて老人が死ぬ
男が歩き女は走る
子供はコーラを飲み
大人になったらビールを飲む
新しい物語は悲しいくらいだった
だれもが花が枯れてしまったことを
忘れていなかったからだった