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癌病棟にて

6月16日(木)

6月に入ってから病棟勤務の医者をしている。3年半ぶりである。3年半という時間が長いのか短いのかはわからないが、その間に病院の状況は確実に変化していた。
病棟の看護師さんの顔ぶれがほとんど代わってしまったし、投与経験のない新しい抗癌剤が標準的治療薬としてじゃぶじゃぶと使われるようになっていた。

戸惑うことも多いが、病棟で忙しく歩き回っていると、研究室で実験をしていた間に忘れていた入院患者さんを診る感覚が少しずつ蘇ってきて、ちょっとだけ懐かしい気持ちになる。

病棟は様々な病状のがん患者で埋め尽くされている。以前ここで働いていた時は、もっと重苦しい雰囲気が全体に漂っていたのだが、今度働き始めてみると、思ったよりも淡々と物事が進んでいるように感じた。それは単に僕自身のメンタリティーの変化によるものなのかもしれないが、看護師さんの年齢層が若くなっていることや、業務の効率化が進んでいることが確実に影響しているように思われる。この変化には良いところと悪いところがあるのだろうが、僕は良い面が多いような気がする。念のために申し添えておくが、看護師さんが若くなったのが良いと言っているわけではない。


話はかわるのだが、先日変なことに出くわした。あのことを思い出すだけで可笑しいような腹が立つような不思議な気持ちになる。

6月に入って一週間ほど経った頃だから、あれは今から10日前くらいのことだった。午後の外来出張が終わって、出張先の診療所から地下鉄の駅まで歩いていた。外来はあまり忙しくなかったので、空いた時間に論文を読んだり居眠りをしたりしていた。あまりにぐっすり眠っていたようで、宮沢賢治好きの看護師さんが「先生お疲れですね」といって、インスタントコーヒーを入れてくれた。念のため申し添えると、この看護師さんは50台前半の方である。

話がそれてしまったが、とにかく仕事を終えた僕は、駅までの道を歩いていた。地下鉄の駅の手前には比較的大きい交差点がある。信号が赤だったので、僕はそこで立ち止まった。すると、そこには一匹の亀がいて、僕より先に信号待ちをしていた。亀は体長30センチくらいで、ウミガメほど大きくはないが、ミドリガメほど小さくもなかった。うまく言えないが、亀は一般的な亀だった。


あ、仕事に行く時間なので、続きはまたこんど書きます。

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2005年6月18日 11:38に投稿されたエントリーのページです。

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