10月5日(火)
ジョアン・ジルベルトのコンサートでの沈黙について思うことがあったので、江編集
長にメールを書いた。
返事を頂いたので、早速紹介させてもらいます。
江 様
ジョアン良かったですね。
あの沈黙のことなんですけど、一元的には解釈したくない非常に興味深い謎ですよね。
どういう意図を持って、彼がああいうことを繰り返し行うのかというのは正確にはわ
からないわけですが、時間が経ってみると、あの沈黙が、あの沈黙自体、そしてその
他の演奏、はたまた公演全体に不思議な深みを与えていると思います。
その場では、こちらはただ不安につつまれながら拍手をし続けるしかないわけですよ
ね。そうすると、公演が終わった直後には、確かに「ああ、良かったなあ」とは思う
ものの、やはり不可解な部分が大きくて、心の中に消化不良のものが残っているわけ
です。
でも、少し時間が経つと、その現場ではまったく論理性が無いように見えた行動が、
とても意味深いものだったように思えてきます。正確に言うと、あの行動の意味はやっ
ぱり分からないけれど、少なくとも「あの沈黙はあってよかったんだ」と思ってしま
います。
時がたってから、時間の隙間をふわふわと泳いでいた彼の未着のメッセージが、こち
らに届いたような気持ちになりました。
彼はその場で伝えるメッセージと、後から遅れて届けるメッセージの2種類を同時に
発信しているのではないでしょうか。
後着のメッセージがこちらに届いて初めて彼の全ての公演が終了したように思います。
天才というのは、もの凄い時間のトリックを使うものですね。
そう言うことを日記でかきたかったのですが、書ききれませんでした。まだ、アップ
されておりませんので、送付させていただきます。
長くなりまして申し訳ございません。
それでは失礼いたします。
佐藤友亮
佐藤くん
ぼくが行ったのは、日曜の3日、3時からのヤツでした。
2日間の曲目を中原仁さんのhpで発見したので、貼り付けときます。
あの時間はイラチなぼくからすると「おい、みんな拍手やめろや、静かにして欲しが
ってるんや、あのおっちゃんは」と思ってましたが、うちの音楽担当は「3000人
の観客ひとりひとりに感謝の気持ちを言っている」そうで、「そうか」などと妙に納
得したのでした。
前から10番目くらいのばっちりの席で聴いていたのですが、PAがものすごく良かっ
たというか、ステージのど真ん中から声とギターの音が聞こえて、口が開いたり閉じ
たりするその感じが目をつぶっていても分かりました。
それにしてもジョアンはそれこそ何回聴いたか分からないほど聴いていて、コンサー
トの曲も3曲くらいを除いては知っているものばかりでしたが、凄いですね。
声に倍音が入っていて、伸ばすところでスイングさせられる。
彼は風呂に入って同じフレーズを何百回も唄って稽古していた、とか、とにかくマリ
ファナでダウナーでかつとぶ感じを追求していたとか、いろいろありますが、そんな
感じがよく解りました。
最後に演ったGarota de Ipanema(イパネマ)が始まって、若い子やそれぐらいしか
聞き込んでいないおっさんが喜んで、このじじい日本のリスナーをなめとるな、げー
、などと思いましたが、完全にぼくの思い違いで、曲が今のボサノバになっていて、
スキャットとかに痺れてしまって、これを録音したCDが出たら、真っ先に聴くと思
います。
ぼくは、ちょっと早いサンバ系の曲で踊りたくなりましたが、そんな感じのコンサー
トではなかったみたいで、 イフィカマイシュリンド・ポルカザドゥアモールとか、
知ってるフレーズを思わず口ずさんだら、横の同世代のおばさんの観客に、恐い顔し
て睨まれました。
ではまた。
江 弘毅
■ジョアン・ジルベルト 10月2日(土)大阪:フェスティヴァルホール
開演 17:45(過去最短の45分押しでスタート)
「ありがと、こんばんわ」の挨拶に続いて英語で「ヤマハからプレゼントされたギタ
ーを初めて弾きます。ままだ弦が新しいのでNO FIX YET、でもBEAUTIFUL」といった
内容のコメント
1. Doralice
--終わってgtを変える
2. Caminhos Cruzados
3. Brigas Nunca Mais
--終わって椅子を左に動かし位置を変える
4. Wave
--終わって早くも「例の空白時間」到来。15分ほど経過していったん立ち上がり深々
とお辞儀。しかしまた椅子に座り動かず。都合約40分後、再び立ち上がりお辞儀し、
座って自分の心臓部に手を置く。gtを再びヤマハに持ち替え。
5. Um Abraco no Bonfa
--終わってgtを変える
6. Voce Vai Ver
7. Disse Alguem (All of Me)
8. Pra Que Discutir com Madame
9. Curare
10. So em Teus Bracos
11. Samba de uma Nota So
12. Corcovado
13. Mulata Assanhada
14. Aos Pes da Cruz
15. Eu Sambo Mesmo
16. Pra Machucar Meu Coracao
17. Retrato em Branco e Preto
18. Desafinado
19. Isto Aqui o Que E
20. Chega de Saudade
---終わって立ち上がりお辞儀~拍手~袖に戻らず再び座る
21. Eclipse
22. A Felicidade
23. De Conversa em Conversa
24. Preconceito
25. Estate
26. Isaura
----end
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■10月3日(日)大阪:フェスティヴァルホール
開演 15:43(最短記録を更新)
1. Aguas de Marco(本邦初演!)
2. Meditacao
---終わってマイク位置を調整(次の曲の後も)
3. Eu Sambo Mesmo
4. Caminhos Cruzados
5. Disse Alguem
6. Pra Que Discutir com Madame
7. Voce Vai Ver
8. Retrato em Branco e Preto
9. Wave
10.Curare
11.Um Abraco no Bonfa
12.Samba de uma Nota So
13.Aos Pes da Cruz
---「例のお時間」約20分
14.A Felicidade
15.Estate
16.Corcovado
17.Chega de Saudade
18.Desafinado
---ステージ袖に去る。客電が上がり終演告知のアナウンスが入るが途中でストップ
。再び客電が下がり、再度登場。
19.Mulata Assanhada
20.Garota de Ipanema
---スタンディング・オヴェーションに送られ、去る。