4月7日(水)
だいぶ調子が良くなってきたので、午後から仕事に復帰しました。
ほとんどお粥とヨーグルトしか食べていなかったので何となく体に力が入りません。
消化に悪いかなーと思いつつ、体が塩分を欲していたので、レトルトのお粥に、
先日出席した結婚披露宴でもらった昆布の佃煮を入れて食べていました。Nせんせい、
昆布ありがとう(読んでないと思うけど)。
天保山にある診療所で診療をしてから研究室へ行き、本日中に出さなければならなかっ
た書類を郵送したあとで、培養中の細胞の処理をしました。
嬉しいことに、ここ数ヶ月間上手く遺伝子を導入することができなかった細胞に、2
クローンだけちゃんと遺伝子が入っていることが分かりました。調子があまりよくな
い中、研究室まで来たかいがあったというものです。
細胞に遺伝子を導入するという作業は、いってみれば「基礎工事」みたいなものでし
て、とても大切な実験であることは確かですが、それができないとお話にならないと
いうところがあります。
本当に行いたい実験というのは、ある特定の遺伝子を導入した細胞を用いて様々な細
胞現象を見ることなわけですから、そのスタートラインにさえ着けないとどうしよう
もありません。
今回は先輩の先生のアドバイスで、遺伝子導入の方法を変更することで何とか成功す
ることができました。だいぶ足踏みしてしまったのですが、これでやっと先の実験に
進むことができます。
同時に進めていた遺伝子発現解析の実験でも、ちょっと先まで踏み込めそうな良い結
果が出たので、最近ちょっとうきうきしながら仕事をしています。
研究していると、よい事というのは極くまれにしか訪れてくれないのですが、その分、
そういう時は本当に嬉しくなってしまいます。
それはまるで、普段酒ばっかり飲んでごろごろ寝てばかりいるダメ亭主が、めずらし
く働きに出て家に金を入れてくれたときのようです。
そう思いますと、いままで考えてみたこともなかったのですが、僕の中には「貧乏に
じっと堪えながら子育てに励む妻」のような、どこかMっぽい気質が存在しているの
かもしれません。
僅かばかりの金を渡されて、涙ぐみながら
「あんた、ありがとう」
なんてつぶやく妻を演じながら、研究生活を過ごしているような感じです。
ところで、僕がここで言っている「よい結果」とか「うれしい事」というのは、希望
通りの実験結果が出た、とかそういう予測の範囲内の出来事です。
おそらく、本当の意味での「よい結果」というのは、そういう自分の予測の範囲を超
えたところで起こってくるものなのだと思います。残念ながら僕はそういう体験をし
たことがまだありません。
そんなことに巡り合ったら、ああ、体がぶるぶる震えてしまいそうです。
でも、もしかしたら、もうすごい結果に巡り合っているのに気が付かずに、僕はそこ
を素通りしちゃっているかもしれません。マリちゃんのことばっかり考えながら実験
していたりするので。