蟻の穴考
5月5日
具合が悪いので、武蔵野市演武会に行こうと思っていたけれども一歩も外に出られない。
5月3日
今日は特別に杖と木剣のお稽古があるということだったので、碑文谷体育館へ行ってきた。
久しぶりに杖と木剣が思う存分に振ることができるのだから楽しいんだろうなあと思っていたけれども、いろいろとむかつくことがあったのでとっても不機嫌。
ああ、でもやっぱりこういうことで激しくブチ切れ寸前までなってしまうのはまだまだ修行が足りないんだろうなあとも思う。
中村天風先生が繰り返し説かれている「怒らない」「恐れない」「悲しまない」という境地を一応は目指しているつもりだけれども、なかなか辿り着かない。
多田先生にご馳走していただいたワッフルを噛みしめながらそんなことを考えていた。
5月1日
ゴールデンウィークだというのに、とりあえず溜まりにたまった洗濯物を洗濯し、エントロピーが極大値まで上昇したお部屋の片付けをする以外に、これといった用事も無い。
「新選組!」DVDの第弐集もアマゾンから届いちゃってはいるのだけれど、あんまり見る気になれない。
結局この2日間は、朝とはいえない時間に起きる→「脳の活性化」という名目でゲームセンターに「クイズマジックアカデミー2」をやりにいく→食料を摂取する→1日のうちに有意義な事を何もしないのは心苦しいので申し訳程度に洗濯と掃除をする→2度目の食料を摂取する→入浴して身体中にたまったセルライト落しをする→寝るという、非常に生産的でないローテーションで過ごしてしまった。
こんな駄目駄目な生活は横に置いておいて、4月25日の尼崎脱線事故の原因について詳細な情報がいろいろと出てくるようになったので、わたくしの脳内の整理もかねて一通り書き出してみることにする。
一応、わたくしが理解している範囲では以下の通りになっている(はず)。
1、事故の起こった福知山線というのは、もとは1時間に1本ディーゼル機関の列車が走るだけのローカル線だった。けれども、宝塚を中心とする北摂地区が住宅地として開発されるに従って、大阪方面へと向かう通勤列車として使われるようになったので、国鉄時代に複線化・電化の工事が行われれ、新快速も走るようになった。だが、現在に至るまで線路の幅は狭軌のままであり、ATSも強制的に電車を減速させることの出来ない旧式のものが使われていた。「護輪軌条」という、線路の内側に脱線防止用のために敷かれる線路も、何故か上りのカーブの入り口には敷かれていなかった。(下りのカーブの入り口には敷かれていた。)
2、国鉄が民営化されてJRへと移行する際に、JR西日本(とJR東海とJR東日本もだけど)は10年ほど採用を抑制したため、4,50代の人間が大量にいて、30代の人間がほとんどいなくて、20代の人間がそこそこいるという相当に歪な人口構成になっている。さらに、国労の対策のために組合員のベテラン運転士をJR駅構内の蕎麦屋の店員に左遷して、20代前半の若手を簡単な登用試験で車掌や運転士に大量に採用するということが行われていた。運転や安全確認についての技術は上の世代から下の世代へときちんと伝達されていたかどうかは、非常に怪しい。
3、JR西日本ではコンピューターを用いて効率的なダイヤグラムの組成を行っているとされているが、実際のところは非常に過密なダイヤを現場の人間の気合で何とかするというような前時代的なマネジメントが行われていた。10m以上のオーバーランあるいは1分以上の遅れを起こした運転手は、現場を離れ「日勤教育」を受けることになっていたが、その「日勤教育」の実態は上司による理不尽な苛めであり、過去に自殺者も出していた。また、「日勤教育」を受けていて電車の運転が出来ない期間はその分給与から差し引かれるということらしい。単純に計算すれば1週間の日勤教育を受けると月給の25%減ということになり、ボーナスの査定にも響くと聞いている。(違うかもしれないけれど。)
4、関西地区の路線図をじっと眺めてみると、やはりJRよりも阪急とか阪急とか阪急とか阪神とか近鉄とか南海のような私鉄のほうが勢力が強いように見える。このような状況下では、JRは私鉄と真っ向から対抗するよりも、JRにしか行うことが出来ない京都地区・大阪地区・阪神間地区間の輸送に力を入れたということもわかる。しかし私鉄との競争に気を取られて、「尼崎駅で電車が1分遅れてしまうと、兵庫県の西の端から滋賀県の端までダイヤが遅れる」というような無茶なダイヤグラムを組んでいることも原因の一端ではないだろうかとも思ってしまう。
今回の事故を起こした車両は、JR福知山線宝塚駅始発→JR東西線を経由→JR学研都市線同志社前駅着ということになっているけれども、路線図を見る限りけっこう果てしない距離を走ってるのではないかなあ。
5、普通に電車に乗っていれば気が付くことではあるけれども、20m以上(車両1つ分)のオーバーランというのはそうそう滅多にあるものではない。電車運行のシミュレーションゲームである「電車でGO!」でも、20m以上のオーバーランをするとギャラリーから失笑を買うレベル。しかし、だからといって今回の事故の原因が全て運転士の彼にあるということが言いたいわけではなく、運転士を登用する際の試験でそこら辺の適性は何とか見極めがつかなかったのかな、とも思ってしまう。
……こうして書き出してみると、何か一つのことが原因となって今回の事故が発生したのではなくて、複数の要因が組み合わさって隙ができたところに運転士のブレーキングのミスが発生して被害が極大化したように思える。月並みな言葉で表現すると「堤防にアリの穴やウサギの穴が複数空いていて、それを放置していたところに洪水がきて堤防が決壊した」ということになるんだろうか。
でも、堤防に空いているアリの穴やウサギの穴が放置推奨されてしまうというは腐敗している組織に特徴的に見られることだから、JR西日本の責任は厳しく問われることになるのだろうなあと。
追記:ゴールデンウィークに突入してから、「事故を起こした電車にJR西日本の運転士が2人乗り合わせていたが、乗客の救助をせずそのまま出勤して運転業務についていた」「事故が発生した4月25日当日に、天王寺車掌区に勤務する社員43人がボーリング大会をして、その後打ち上げをしていた」というニュースも入ってきた。
やっぱり組織の腐敗が相当に進行しているんだろうなあ。