5月14日
今日は朝日カルチャーセンターで内田先生と名越先生との対談がある日。
しかし、咳止めシロップの副作用で今週中ずっと非常に眠い。
なので朝起きたら既に11時を回っていてしまっていた。
朝食兼昼食を食べてだらだらしていると、あああっという間に出かけなくてはいけない時間になったので家を出る。
でも、駅のホームで肝心の受講票を忘れてきてしまったことに気が付いた。
急いで家に取りに帰り、新宿の住友ビルまで早足で移動する。
ものすごく急いだけれども、朝日カルチャーセンターに到着したのは対談の始まる15:30ギリギリの時間だった。
朝日カルチャーセンターの入口のところで、ちょうど男子トイレから出てきた名越先生に遭遇する。前に「精神科医は老けるのが早い」と聞いていたけれども名越先生は40歳をとうに過ぎているのに非常に若々しく見える。
何か、精神を疲弊させるものを上手にやり過ごしていく方法があるのだろうか。
わたくしが椅子に座るとまもなく対談が始まる。
いろいろと凄まじく面白い話があったけれども、3分の1くらいは「まあ、これはここだけのクローズドの話ということでお願いします。」ということだったのでここに書いてしまうといろいろと支障が出てくるだろう。
でも、わたくしの記憶に残っていてかつ書ける話を書くと以下のような感じになります。
(でも、きちんとメモを取りながら聞いていたわけではないので細部は微妙に違うかもしれません。)
・会議に参加している人には3種類の人間がいて、それは「会議を早く終わらせてしまうために発言する人」と「会議を長引かせるために発言する人」と「会議を早く終わらせるためにできるだけ発言しないようにしている人」の3種類である。「会議を長引かせるために発言する人」は自分が賢いことを回りの人間に無理やり認めさせようとして、他人の意見に批判的な言説や全く具体性の無い正論を延々と話し出す。このような意見には反論することも出来ず、かといって「素晴らしい意見ですね!!!」と賛美する訳にもいかないので「早く終わってくれ」と心で思いながら黙って無反応でいると、「会議を長引かせるために発言する人」は「もしかして、僕の高尚な意見が皆さんにはきちんと理解されていないのかな???」などと誤解してさらに幼児にむかって噛み含めるようにくどくどと話し出すので、本当に疲労が蓄積する。何とかしてほしい。
・上の話の続きで、「会議を長引かせるために発言する人」が喋りまくって会議の収拾がつかなくなったときにそれまでずっと黙って話を聞いていた「会議を早く終わらせるためにできるだけ発言しないようにしている人」が一言スパっと鋭い意見を言って会議をまとめる。そういう人がずっと我慢して言いたいことを喋らないでおいて、最後の落しどころをうまいこと持っていくというところが、なかなか僕には真似のできないところだ。人が腕を伸ばしてそばにあるコップをつかむといくような単純な動きでも腕はさまざまな動きの可能性をいろいろと模索して、最後にもっとも適した動きで動くのだという話を聞いたことがあるけれども、そういう人々は最後まで自分の意見を様々な可能性を検討しながら保留しておいて、最後にもっとも適していると思われる意見を発見してそれをスパっと発言するのだろう。
・精神科医としてカウンセリングを始めた時には自分の話に対して「はい、そうですね!」と即座に相槌を打ってくれる患者さんが自分の話を聞いていて、「うーん…。そういうこともあるんですか…。」と中途半端な反応をする人は自分の話をきちんと聞いてくれていないと思っていた。でも、ある程度経験を積んでくると「はい、そうですね!」と即座に相槌を打ってくれる患者さんは実は自分の言葉がちゃんと届いていなくて、自分の言葉をきちんと受け止めた人は中途半端な反応をするものだ、ということに気がついた。
・最近の親の何がいけないのかというと、きちんと親としての成熟を果たしていないせいか、子供の抱えている中途半端な反応やうまく言葉では説明しがたいものについて異様な拒否反応を示すという点だ。自分の身体や感覚に対して注意深い子供であるほど中途半端な反応やうまく言葉では説明しがたいものを抱えているが、そういう子供ほど親や教師に激しく叱責されたりいじめの対象になったりする。それはやはり何か間違っている。
・飲み会などで7~8人で話をしていると、特に内容の無い話だけれどもその場にいる人間が全員その人の話に聞き入ってしまう人と、話の輪がせいぜい隣の人くらいまでしか広がらない人がいる。その差というのは、話のコンテンツの内容そのものというよりはその人の話す声の「きめの細かさ」にあるのではないかと思われる。声のきめが細かい人というのは、その声自体が聞いていて気持ちの良いものである。人に自分の話を聞いてもらえるかどうかは、話のコンテンツの内容よりも声自体に魅力があるかどうかということが重要な要素なのかもしれない。
対談が終わった後は単行本に内田先生にサインを頂いて、そのあと少しだけ「クイズマジックアカデミー2」をやって帰ってきた。
5月8日
今日は土方歳三の命日。
日野市で山本耕史トークショーがあるので、今日はゴールデンウィークのうち、唯一大型連休らしく出かけることにする。
朝3:30に起きて、4:30の始発の電車に乗る。
最近日中は暑さを感じるくらいになっているけれども、この時間ではさすがにベンチに座ってじっとしていると底冷えがする。
まりりんたんにメールで教えてもらった通り、ものすごく面倒くさい経路で新宿まで出て、そこから京王線の先頭車両に乗って高幡不動へ。
電車の中で「燃えよ剣」を読む。
電車移動中に上巻の3分の2くらい読んだけれど、どうしても「新選組!」と比較しながら読んでしまっている自分がいる。
「新選組!」と比べて「燃えよ剣」がつまらないということが言いたいわけではない。
しかし、「新選組!」と比べると「燃えよ剣」は戦闘シーンがきちんと書き込まれているが、ストーリー上スポットライトが土方歳三にのみ当たっていて、近藤勇や山南さんや平助や伊東甲子太郎などはあまり魅力的な人物として描かれていない。
それを考えると、「新選組!」はいろいろとアラもあったけれどキャラクターの造型という面では出色の出来だったんだなあ、ということを改めて思い直す。
途中の駅でまりりんたんが乗ってきたので「おはようございます」と声をかける。
近況報告を一通りした後、電車が高幡不動に到着したので、降りて高幡不動に向かう。
しかし、高幡不動のホール前には徹夜で並んでいるはずの人が誰もいなかったので、まりりんたんが「やばい、会場はここじゃない!」と叫びだした。
わたくしは「えっ、そうなの???」と戸惑っていたけれども、そこら辺に貼ってあった「ひの新選組まつり」のポスターを探し出して読んでみると山本耕史トークショーの会場は高幡不動ではなく日野市民会館であることが判明。
急いで高幡不動駅に引き返して、ちょうどバス停に停まっていたバスに乗り込み日野市民会館に向かう。
そうして会場に着いてみたら、朝の6時40分くらいだというのに、トークショーの整理券を求めてもう300人程度並んでいる。
恐らく、この中の200人くらいは徹夜で並んでいるか夜に車でやってきているかのどちらかなんだろう。
わたくしたちも敷物と椅子をスタンバイして2時間半ほどひたすら待つ。
9時15分くらいになると既に行列が定員の1000人を超えてしまったらしく、予定を前倒しにして整理券を配り始めた。さらにもうしばらく待って、念願の整理券を手に入れる。
さてトークショーが始まる15:30まで何をして時間をつぶしましょうか、ということになったけれど、まりりんたんが「土方歳三資料館に行きたい」と行ったので、そこに行ってみることにする。
バスで高幡不動駅前まで戻って、少し喫茶店で時間潰しをしたあとモノレールで移動して土方歳三資料館に行く。土方歳三資料館は、彼の子孫の方のお宅の一部を休日や特別な日に資料館として開放しているもので、あまりに普通のおうちの一角なのでけっこうびっくりしてしまったけれど、わたくしたちと同じ事を考えていた女子たちが多いらしく、20mほどの行列が出来ている。
土方歳三資料館は狭いのでどうしても展示できる展示物に限りがある。でも、土方歳三直筆の発句集の掛け軸や愛刀の和泉守兼定の実物を見ることが出来たのはラッキーだった。土方歳三は想像していたよりも非常に端正で綺麗な字を書いていた。
高幡不動駅前でお昼ごはんを食べてから、再び日野市民会館に戻る。
日野市民会館に戻ってみると、ちょうど「ひの新選組まつり」のパレードに参加していた人々を山本耕史と「新選組!」で時代考証をしていた山村先生が出迎えていたところで、尋常ではない数の人々が集まっている。1000人以上は集まっているだろうか。
人を掻き分けて可能な限り前に行ってみたけれども、わたしの身長で背伸びをしてかろうじて2人の顔が見える程度だった。まりりんたんは背伸びをしても全く見えないので、後ろの人の邪魔にならないように携帯用の椅子の上に立って見ていた。
この凄まじい人の集まりをドラマや演劇のプロデューサーがきちんと見ていたら山本耕史ももう少し良い役でドラマに出ることができたり、お芝居も500~600人入る会場でできるのに。次のお芝居は東京では300人しか入らない劇場で公演を行うから、全然チケットが手に入らないのよ。とまりりんたんは語っていた。
パレードの最後尾まで到着すると、日野市民会館前の尋常ではない人だかりが徐々に市民会館の中に吸い込まれ、そこで15:30まで待っているとやっと山本耕史トークショーが始まる。
最初に高幡不動の和尚さんが、今年の節分の豆まきで山本耕史をゲストに呼んだら、長年成田山新勝寺が1位の座を守りつづけていた豆まきの動員人数で、成田山に圧倒的な差をつけて1位になったと言う話を満面の笑みを浮かべながら語っていた。
高幡不動の和尚さんはこれと全く同じ話を、3月にあった井上源三郎役を演じていた小林隆さんのトークショーでもしていたとまりりんたんから聞いていた。和尚さんはよっぽど嬉しかったのだろう。
その後に山本耕史と「新選組!」で時代考証をしていた山村先生が登場。
「『新選組!』の続編が単発の2時間ドラマで正式に企画が持ち上がった話」「香取くんの携帯番号を凄まじい苦労をして手に入れた話」「『新選組!』で共演した女優さんの印象」など興味深い話をいろいろとしていたのだけれども、早起きをしたせいかそれとも積年の疲労が蓄積していたせいか、不覚にも途中で意識を失ってしまった。せっかく朝の3時半に起きてここまで来たのに、聞き逃した話があるのは非常に悔しい。
トークショーが終わり、出待ちを試みた後はさすがに疲労が蓄積してしまったので、限定生産ブルーベリービールを購入した後そのまま帰った。非常に長い一日だった。