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だんじり学会

3月16日(木)

平成11年の若頭連絡協議会に一緒に出ていた、下野町の奥さんから「だんじり学会」というものを創ろうとしているのでぜひ研究成果を発表してほしい、というオッファーが年明けに入っていて、「だんじり学会」てすごいなあ、そしたら我が町のM人M雄のコンビは前梃子部会の講師やなあ、などと笑っていた。
奥さんは京都嵯峨芸術大学の非常勤講師をされている。
そうしているうちに、本当に案内状が届いて、「ところ:岸和田だんじり会館 報告者:江 弘毅 テーマ:だんじりとコミュニティー」というのがあった。
仮称ではあるが「だんじり学会準備委員会」の第2回目だそうだ。

時間の30分前に行くと、奥さんがいて、続々とメンバーがいらっしゃった。
羽衣国際大の山田学長と小川専任講師、同志社大の石田教授、奈良県立大の坂西助教授、神戸大大学院の竹内さん、龍谷大の高倉さん…といった学識者の方々、岸和田市産業部の原課長、熊取町政策推進部アドバイザーの井上さん、「だん吉友の会」代表の〆野久寿喜さん、「だんじり研究会」代表の永谷さん…がメンバーである。

あらかじめレジュメを用意するように言われていたので、寄り合いをベースとした「新しい地縁的だんじり共同体」と「家族」「会社」とは違う「第3の社会」の求心力およびその倫理観、加えてだんじり祭を支え、統御するエクリチュールつまり語法と言葉遣いについて、と少々根性の入った文面を作成している。
これは双方「本気」である。

それに沿って10数名の方々に、この長屋での考察をはじめ、あれやこれやと約40分話す。
神戸大の竹内さんは、明石から遠路はるばるいらっしゃているのだが、この内田先生のHPのファンで、「よく江さん、麻雀とかの話で登場しますね」とちょっと怖いコメント。
甲南麻雀連盟が本年度に入っての「江帝国の凋落」もご存じなのか。
熱心にこの長屋ブログを覗いていただいている人は、各界問わず多く、岸和田市立女性センターからも昨年の10月5日にアップした「だんじり現象学」を資料として使いたいとのお申し出などがあり、「日本一だんじりなエディター(@内田樹)」としては、うれしい限りである。
そして、わたしもこの長屋の大家さんの作法通り、ここで書いたものは全てコピーフリー、剽窃フリーそしてリンクフリーであることを再アナウンスしておく。
そのお手紙には 「紹介は出典を明記した上で」とありますが、そのようなことは「お気遣い無用」です。

わたしと奥さん以外の面々は、だんじり会館の見学である。
わたしも奥さんも実際に生まれてこのかた実際にだんじりをやっているので、体験コーナーで鳴物を体験しても、27面マルチスクリーンで映像を見学しても仕方がない。
だから2人で、エスカレーターに乗られて展示室に入られるみなさんをお送りし、見学されたみなさんのお帰りを待つ。

土砂降りの中、帰りの南海電車で奥さんと「京都検定」ならぬ「岸和田だんじり検定」というものができないか、というとんでもなくおもろい検定&出版企画の話になり、「それは、岸和田観光を大いに盛り上がること、まちがいなしですなあ。岸和田市の商業観光課あたりが、予算取れまへんかねえ」とか「試験問題で、筋海町の彫り物のうち、西本五葉師が彫刻したのは土呂幕に一面だけあるが、正面・右・左のうち、どこか答えよ。とか超マニアな問題、つくったらおもろいですやろ」などとガハガハ笑いながら、ついにはペーパーテストのみならず、「鳴物、綱元、前梃子とかの実技試験もあったら最高ですなあ。クルマの免許でも原付はペーパーだけでっしゃろ、上級免許は実技いりますやん」とかいった話で盛り上がる。
せやけど、実技は誰が検定の試験官しますんや、これは揉めまっせー。

19日のシンポジウムのことを思い出して、同じゲストの泉田祐志氏に電話を入れる。
テーマは「だんじり衣装と装飾」であり、大工や彫刻師についてのお題と違って、今まであまり触れたことのないテーマで資料も少ない。

岸和田だんじり祭は、だんじり本体の構造や彫刻や大工仕事について語られることや、その歴史をひもとく研究に終始されがちだったが、社会学、言語学、音楽や服飾などなど、違う分野、観点からのアプローチがようやく始められようとしている。

コメント (1)

バイタリティ溢れるご活躍。
ほんま、おもろいですね。
だんじりの色々は、ほんまの意味で人の色々やと思います。
「だんじり検定:いつでもどこでも遣り回し」の実技教官には是非ご指名ください。

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2006年03月16日 22:03に投稿されたエントリーのページです。

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