9月22日(金)
祭は、終わった。
今年はいろいろあったが、とにかく終わった。
そして16日の落策で来年度の引き継ぎを終え、ついに若頭最終の年を迎えた。
10日に毎日新聞の「ひと」欄に、岸和田通信部にいらっしゃった編集委員のM井さんの書かれた、さすがドンピシャのシビレる記事が出たりhttp://www.mainichi-msn.co.jp/eye/hito/news/20050910ddm003070129000c.html
14日の宵宮当日に読売新聞に紹介されたり(この記事は祭の最中なので読んでいない。誰か送って)で、自町他町のだんじり関係者あるいは顔を合わせた知人や中学校の時の先生問わず「新聞、載ってたで」などといわれて、とても恥ずかしかったが、いったん太鼓が「でーん」と鳴り、綱が張られ「そーりゃー」の声が聞こえると、いつも通りの祭に違いない。
また「だんじり本」を読まれた、朝日新聞東京本社のアエラ編集部のI川さんという記者の方が、この大家の内田先生のご紹介で、東京からはるばる岸和田入りされ、13日の試験曳きから本祭の3日間、熱心かつベタベタに取材されていた。
それは「40歳からの生きる哲学」という編集企画で、不惑40歳の男を励ますような「生きる知恵」を「岸和田だんじり祭」で探ってみようというなかなか大胆な企図である。
「会社では経済的な結果を出すことが至上命令となり、
家庭ではよき夫・父親としての理想像を求められる。
しかし、現実は甘くなく、意気消沈するばかりである。
そんな40代の男性は、どうやって生きるモチベーションを高めればいいのか。
生き甲斐があるとすれば、視点をどこに持っていくべきなのか。
そんなヒントが提示できればと考えております」
という非常に難解で、ひょっとすると答えがどこにもない問いである。
はじめに書いた、毎日新聞M井さんはその文末で 、
「『やり回しを決め、ええ祭やったと泣く』。喜怒哀楽のだんじり祭は14日、15日が本番だ。」
と、岸和田だんじり祭のその本質を40文字でものの見事に表現されていたが、それは単純に「これこれこういう結果を出したから」と高校野球で優勝して、丸坊主頭のガキが泣くような類のことでは決してない。
なぜなら同じ「カンカン場」や「貝源」の角にしてもそうだが、「遣り回し」というのはその年その時のその瞬間だけしかない反復不可能な「出来事」であるからだ。
つまりそれは、あくまでも「ゲームに勝つ」とか「何点」とかでは測り得ない、一種の仮想的可能性のみの事象であり(もちろん幻想である)、「確かにそういう遣り回しがあった」という存在論では語れないからだ。
なので15日の夜の曳行を終え、だんじりを納庫して、万歳三唱したその瞬間やその後に、毎年違うあっという間の2日間の喜怒哀楽やそれまでの寄り合いや段取りをこなしてきた意味が分かる。
だから、ええ祭「やった」と泣くわけだ。
その年の祭は、その年の祭固有の「物語」である。
その物語を造り上げるさまざまな出来事の喜怒哀楽としての断片は、だんじりが納庫してから、つまり祭がすべて終わってからしか、それがどういうことであるかの本当の意味がわからない。
物語は最後の頁まで読み終えた時にはじめて冒頭のエピソードの隠された意味が分かるように構造化されている(@『他者と死者』P163/内田樹)。
「棺を蓋いて事定まる」は「だんじり小屋の扉を閉めて事定まる」である。
さて、祭が終わってすでに4日目の19日、I川記者は若頭筆頭を終えたばかりのM人の家族を補取材しに再び岸和田に来られ、テーラータカクラを訪ねたそうだ。
ことだんじりに関しては極端にマスコミ(とくにテレビ)を嫌うM人が、このようにして取材を受けたのは、手垢の付いた言い方ではあるが、I川さんの記者魂にうたれたからだと信じている。
岸和田のだんじりが走ると、泉州地方は秋になる。
本当にそうだと、子どもの頃から思っている。
コメント (3)
平成17年度祭礼お疲れ様でした。
拙いblogへのシビレるコメントありがとうございました。
僕も【も山】も本気です。
投稿者: 山手の後梃子 | 2005年09月25日 03:14
日時: 2005年09月25日 03:14
平成17年度祭礼お疲れ様でした。
拙いblogへのシビレるコメントありがとうございました。
僕も【も山】も本気です。
投稿者: 山手の後梃子 | 2005年09月25日 03:15
日時: 2005年09月25日 03:15
はじめまして、若頭日記及びblogいつも楽しく読ませていただいております。
私は今年若連として、はじめて期間中ずーっと自町を出ての祭参加でした。
警備している横を自町のだんじりが通りすぎる時、友達、仲間が「さっきのカンカン場最高やった」とか、又若連仲間が「お前んとこ今年の貝源一番や」とかを聞くと嬉しく、誇らしく思いましたが一方でそこに自分が参加できなかったことに少し寂しく、ちょっとくやしい複雑な気持ちでした。
確か江さんも若連出られてたんですよね?
自町にいるだけでは分からないことをいろいろ勉強させてもらってます。
それでは、これからもがんばってください。
乱文失礼しました。
投稿者: 若連 | 2005年09月25日 12:57
日時: 2005年09月25日 12:57