2月19日(土)
今期最後のNHKラジオ第1放送『かんさい土曜ほっとタイム』の生放送。
昨夜は、JR西日本とタイアップしている季刊誌『西の旅』の20ページ以上のやり
直しがあったので、三宮に着いたのが午前1時過ぎ、そこからさっと三宮東門の「源
平寿司」でめしを食べ、バー・ゴスペルに行き、JBLのサウンドシステムでグロリア・
エステファンを聞きながら、店主の街場の哲学者・大倉カイリくんとレヴィナスの
『時間と他者』の「実存者なき〈実存すること〉」と「この孤独がいかなる点で乗り
越えられるか」についてしこたま話した後、帰ったのが午前3時過ぎ。
生放送は午後1時5分スタートで、オレのコーナーは15分からだが、あいにくJR
が遅れていて新快速の乗り継ぎがうまくいかなくて、12時半には着けませんすいま
せんと電話をかける。NHK大阪放送局に着いたのが1時ジャストくらいだった。
オレは大汗を流してスタジオに飛び込んだのだが、佐藤誠アナウンサーは「まだ15
分ありますから」と余裕の笑みで、あいかわらず美しい東京弁の周山さんは「内田先
生は4月の第一回目です、楽しみです」とにっこり。ほんとうにいい放送局である。
しかし寝不足と二日酔いがひどい。というよりはっきり言ってまだ酔っぱらっている
状態だ。
時間になって、スタジオにはいると沢松奈生子さんが「ラコステのセーターですね、
ありがとうございます」と言ってくれた。彼女はラコステと契約してるらしく、テレ
ビに出るときはいつもラコステを着ているらしい。
放送では大塚愛の「大好きだよ」がかかっている。
なんだか あなたのコト 思い出すのもったいないよ
あたしだけのものにしておきたいから
なんだか あなたのコト 思い出すのヤだよ
だって 1人でにやけて はずかしいよ
徹夜で帰ってきて疲れてるのに だっこしてくれて
夢の中にいてもわかったよ
と唄っている。曲が終わり、オレのコーナーだ。
今日の話題は神戸・長田のお好み焼き。
佐藤さんと沢松さんが話題にがんがんと乗ってきてくれて、ほとんどオレは答えるだ
けだ。関西人はみんなほんとうにお好み焼きが好きだ。
楽な放送だった。
佐藤さん沢松さん1年間お世話になりました、とても楽しかったです。
4月からは東大で「上野千鶴子に喧嘩の仕方を習ってきた」遙洋子さんがお相手だ。
オレも喧嘩はしょっちゅうしてきたが、それはおおむね岸和田のだんじりで習ってき
たものだ。
谷町4丁目の中華屋さんで餃子と麻婆丼を食べて(ビールも1本飲みましたすんませ
ん)編集部に行く。
昨日の『西の旅』のやり直しでスタッフには大変な仕事をさせている。申し訳ない。
3時45分からは「編集会議」の編集・ライター講座の講義。
「情報誌ではない雑誌の企画」について課題を出していてその講評。消費にアクセス
するための情報以外の情報には果たして値札が付くのか、という根元的な問いがひっ
かかる。
帰りに「ちょっと飲みに行きましょう」と受講生のリーダーから誘われるが、お断り
して岸和田へ。
若頭の寄り合いがあるからだ。寄り合いは午後8時からだが、議論風発で午前0時を
回り、今年の若頭筆頭のM人と平成16年度筆頭のM雄ほか幹部数人で「柴」に行く。
オレはカレー黄そば(きいそばというのは太めの中華麺である)とラガービールを飲
む。
オレM人M雄の3人で飲もうということになるが、もうどこの店も開いていない。
仕方なくM人の実家に行くが、酒がない。
オレは実家まで走って取りに帰り、日本酒一升瓶と缶ビール数本をぶら下げて行く。
祭と人生を共にしてきた46歳の同級生が三人。
M人の実家である「テーラー・タカクラ」の店で泥酔して知らん間に寝て、オレは起
きると午前11時でM雄はもういない。
奥さんが10時くらいに迎えに着て先に帰ったそうだ。
M人に礼を言ってそのまま実家にも寄らず、昼前の南海電車なんば行きの急行に乗る。
何だか泣けてくる。何がどうだとかではないのだし哀しくないのだが泣けてくる。
「私には戸口も窓もないのだが、それはまさしく〈実存すること〉によってなのであっ
て、私の内にある伝達し得ない何らかの内容によるのではない。〈実存すること〉が
伝達し得ないのは、〈実存すること〉が私の内にあってもっとも私的な(個人的な)
ものである私の存在の中に根を張っているからである」(『時間と他者』〈実存する
こと〉の孤独)