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めっちゃ「濃い味体質」

1月28日(金)

2月1日売りの「オフィス街の冒険」が刷り上がった。
用紙を替えた1発目の号だから、みんなでワイワイと見る。
上出来である。

次の3月1日売りの特集は「純喫茶」で、いよいよ始まる「内田×平川 東京ファイティングキッズ・リターン 悪い兄たちが帰ってきた」も5p特別バージョンで無事入稿した。

その次、4月1日売り号の特集の企画会議(といってもいつも通りの雑談だけど)が盛り上がっている。

特集タイトルは「ほんとは濃い味、好きなんです」である。

関西は「薄味文化」だといわれているが、果たしてそうか。
料理研究書などによく書かれているのだが、うどんのだしの塩分は実は関東よりも関西の方が濃いとのことだが、東京のうどんは「鬼ほどからい」と感じるのはどうしてか。
遅い昼ご飯に大阪・江戸堀の「喜作」に行くと、腕利きの親父さんが客席に出ていたのでその話になるが、やはり「魚の煮付けもそうやし、間違いないっ」とのことだ。

豚骨ラーメンのそれでは決してない、まったりした味。仏伊料理のように濃厚ではなく、エスニック料理のようにとんがっていない。けれども、だしが、ベースが、風味が、素材そのものが「しっかり濃い」味。

これは街場の関西人しか分からないし、関西人だからこそ分かるといえば、またカレーうどん評論家でもある平川克美さんに「何いってやんでい」と江戸っ子弁で叱られそうだが、そのところにオレたちの日常の「あー、食べた」という何ものでもない満足感がある。

それが実際の関西人の「濃い味体質」というものだ。

やっぱりトンカツは、トンカツ屋のおてしょう(手皿)でソースをつけるんと違ごて、洋食屋の初めから上からデミグラスがかかっていてさらにウスターソースをかける、というのやないとあかん。
あのイタリアンのパスタじゃない、ケチャップ味の「イタ・スパ」。せやけどイタリアン・スパゲッティって言い方、日本風味噌汁みたいな言い方やなあ、とかで盛り上がってる。

けれどもやっぱりお好み焼きだとオレは思う。

街場のお好み焼きを「下町B級グルメ」だとかで分類し、「和製ファーストフード」とかの言い方でそれを指すようになってから、なんだかそれまでのお好み焼屋との距離が遠くなってしまった。とても迷惑なことだ。

オレら街場の人間にとってお好み焼きを食べるということは、グルメもへったくれもないし、おいしいお好み焼きベスト100をインターネットで検索して、あの町この街と片っぱしから食べ歩くなんていうのとはちょっと違う。

ラーメンはその意味で、時代が、メディアが、小さなエンタテインメント系のテーマパークにしてしまった。
だからテレビでタレントのリポーターが「うわあ、おいしい」とびっくりして見せ、情報誌が特集し、それを見た人が列を作り、また新しいご当地ラーメンやラーメン名人が「作られる」。

同様にマクドナルドやピザの宅配、コンビニ弁当といった、おいしいのかまずいのか分からない(というよりそれは問わない)世界は、ますますケータイeメール的な情報伝達系食べ物になってくるだろう。

そんな中で、お好み焼きという世界は、どんな文脈でとらえられようとも、いつまでもそれを食べる人にとって「絶対」おいしい、というのでなければ、街場のお好み焼屋さんの存在価値はなくなってくる。

けれども実際それが、シンプル極まりないけど「濃い味」の豚玉や全部入り卵のせモダンや大貝・かすの焼きそばのおいしさで、客の目の前でジューと焼き、ぱんと裏返し、ちゃちゃちゃっとソースを塗り、青のりカツオを振りかけるお好み焼屋さんのリアリティである限り、その濃い味はわれわれの街的な実生活そのものだし、生のコミュニケーションで語られるはずだ。

そこが「どこにもあってよそにはない」京阪神の街とお好み焼きの切っても切れないところである。

それと、たこ焼きにはちょっと悪いけど、街には街の、店には店のお好み焼きがあり、それに加えて飲み屋系の店や市場の店、休日の昼メシ型…その他性格、客層、バリエーションや具や焼き方が「粉モノ」なんて一つのカテゴリーにひっくるめられるのを、街場のお好み焼きはそのプロセスそのものの濃い味においてきっぱりと拒絶している。

起・承・転・転・・爆発!みたいな、むちゃくちゃな文章になってしまって、いつものように内田先生に「話は整理して話すように」と怒られそうだが、味が濃くても薄くても、味覚を語るというものは難儀なことだ。

だから根性のない非力な奴はいつもグルメレベルでそれを語る。

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» ハゲハゲしいのは、ダメよ。 送信元 神戸〜大阪、二都逍遙。
今とりかかっている「濃い味」特集(て、書くとなんてバカらしいのか…。うぷぷ)に先駆けて、だんじり親分が日記でこんな話http://nagaya.tatsuru.... [詳しくはこちら]

コメント (2)

江さん、江さん。
飛ばしてるねぇ。
前の、看護婦物語もちょっと
興奮しちゃったけど、
濃い味オマージュもいかしてる。

だってさ、関西人が
薄味なはずはないじゃねぇかと、ずっと思っていましたよ。

ミヤタケ:

「京都は薄味」ってよく言われるけど、あれウソやんね。
あのアナーキーなラーメン文化、節操のない創作パン屋にも明らかなように、濃いもん、変なもん、大好きです。

そして、左京区K大学のお好み焼き屋は「将月」です。
将月への偏愛を語りたいっ! 
・・・でも、閉鎖的になっちゃダメですよね。

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2005年01月28日 17:37に投稿されたエントリーのページです。

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