1月27日(木)
忙しい時に病院に行くのはおっくう極まりない。
けれども今朝は行かなくてはならない。1か月分の胃薬をもらいに行く日だからだ。
普段から食生活が不規則極まりないから食後に胸焼けがしていて、いつもキャベジン
のお世話になっていたのだが、昨年末に岸和田の忘年会でてっさとてっちりを食いま
くり、ヒレ酒のヒレになったみたいに酒を飲み、その後スナックでの唄&刺激の取り
すぎで、夜中にあまりの胃痛で起きてトイレで吐いて大出血した。
それは大ではなく中ないし小出血だったも知れないが、血を見たオレはどんどん小心
者になる。
「これは胃潰瘍か、最悪胃ガンかなあ。ああオレも入院や」と一晩中のたうち回り、
その翌朝一に関電病院に駆け込んだ。
即胃カメラの結果、逆流性食道炎であった。
胃カメラを突っ込まれてベッドで横臥姿勢のままうえーっと涙を流しながら吐いて、
それがまた出血するという具合だったが、医者は大したことない荒れているだけだ、
とオレに伝え、薬を処方するから毎日飲むように、1カ月分しか渡せないからなくな
る頃また取りに来なさい、それで2カ月後にまた診察しましょう、とクールな診断が
下った。
その時に処方された薬がむちゃくちゃ効いている。
それ以来、朝から何も食わずに午後6時に天ぷら定食を食っても、空きっ腹にドライ
マティーニーを飲んでも胃が痛くならない。
歯痛がなくなる時みたいに、まったく痛かったことが別世界のことのようだ。
中之島にあるこの関電病院は最高だと思う。
何より看護婦さんがべっぴんである。はたちそこそこ〜40代の人まで、全員もれな
くそうだ。
べっぴんさんというのは、顔が美しいとか脚がきれいとか胸がデカイとかそういうこ
とのことをいってるのではない。
やっぱりそれももちろんあるけれど(最低やなあ)、それ以上のものである。
今日は10時半にがんばって行く。3台ある自動カード受付から並んでいる。
内科に行くと、まるで満員電車だ。待合いコーナーに座りきれずに立ってる人もいる
。
そうか、風邪が大流行しているのだ。
ここの病院では患者は看護婦さんの知り合いばかりなのか、と思うぐらい至る所で話
をする。
はじめはオレも分からなかったが、この1年で10回くらい行って分かるようになっ
た。
患者がなんだか「街場の店での馴染み客のように、すぐなれる」のである。
ベンチの端っこで座っていて、忙しそうに小走りで通りかかった看護婦さんと目が合
う。
涼しい切れ長の目で「お待たせしてます、江さん」とにっこり。
あれえこの人、誰だったかなあと思うより前に、そう言われてすぐに「どれくらいか
かります」と訊く。
すっぴん顔に少しだけブルー系のアイシャドウを引いているのが気になったからだ。
「カルテ今、回ったとこですから、30分くらいですか」と約10秒だけの会話。
ちぇっ、それならタバコでも吸うか、と喫煙所に行く時に、地域医療連絡室というコ
ーナーの前を通ると事務の人と一人の看護婦さんがいる。
彼女は携帯電話をかけている。 かけながらちらっとこちらを見る。
その辺の事情に詳しいドクター佐藤によると、
「イケてないおばはん系看護婦は、帽子を立てて頭に着ける。普通のナースたちは、
帽子をちょっとだけ寝かせている。しかし、なかには帽子を完全に水平に付けてる系
もいる。それは正面の平たい部分が頭頂部の接線上にあり、すっかり天を仰いでいる
。前から見ると、ほとんど帽子を着けているのが分からないくらいだ。ちょっと、暴
走族の車のウイングのよう。まさにギリギリのバランス。AV女優のナース姿が本職の
看護婦と違ってどこかしっくりこないのは、けっして制服の色がいやらしいピンク色
をしているからではない。帽子がミッキーの耳のように突っ立っていて野暮ったいの
だ」
とのことで、この人は完全に帽子が水平で、ドクター佐藤の例通りのイケてる系のひ
とである。
おまけにもの凄く美人である。年の頃は30歳くらいだろうか、はっきりいってオレ
好みである。
プレートに目をやって地域医療連絡室というのは何だろう、みたいな顔をして、ちら
っとそれでもしっかり美人の看護婦を見る。
これは仕事の話なのか、誰に何の話をしているのか、みたいな感じでもっとしっかり
見る。
ほんの3秒、耳ダンボ、目が顕微鏡状態である。
彼女は半袖の白衣から締まった細い腕が伸びてケータイをしているのだが、なんと手
首にはブルガリの時計をしている。それもブルガリブルガリという高級バージョンで
、おまけにベゼルが金張りだ。
この時計は北新地のクラブのママさんに、今NYのテレビキャスターとかに人気絶大
な時計で、シンプルに見えるけど100万円ぐらいする、ドレスの時はショパールと
かピアジェだけど、わたしはスーツの時はよくしている、着物にもよく合うのよほほ
ほほ、と直接聞いたことがある。
看護婦が白衣でブルガリしててエエんか、一体どないなってるねん!
と一瞬思ったが、おお、ええやんイケてるやんけ、と思い直した。
ポジティブシンキング・だんじりエディターの本領発揮である。
建物の外にある寒い喫煙所でタバコを2本立て続けに吸って、また地域医療連絡室の
前を通る。
その看護婦さんがこちらを見る。目が合う。
すると天使の微笑みに加えて、「こんにちは」。
オレたちはもう知り合いなのである。
約1.25秒の出来事である。
この病院の看護婦さんは、ロイヤルホテルのレセプション(フロントとちゃうぞ)や
シンガポール航空のフライトアテンダント(スチュワーデスちゃいます)、神戸大丸
のコンシェルジュ(案内係ちゃう)とかではない、ちょっと別のその上手を行くサー
ビスだ。
うまくは言えないが、 多分、 地域医療連絡室にいた彼女だったら、北新地水商売大
リーグにドラフト1位で指名される、そんな感じだ。
さっそくドクター佐藤に報告しよう。
コメント (1)
街の専門家であり、北新地に生きる人たちに敬意を持っている江さんらしい病院のほめ方ですね。
投稿者: SATO | 2005年01月29日 09:50
日時: 2005年01月29日 09:50