「選抜」の条件はただひとつ

8月16日(月)

例年、8月のお盆の時期には、不肖手前が総務委員長を務める「浜松オープン中学校選抜ソフトテニス新人研修大会」を開催している。

この大会は、東海・近畿ブロックを中心に、中学校のソフトテニスを熱心に指導している指導者のチーム(1,2年生チーム)を浜松に招いて、地元チームも含めてできるだけたくさんのゲームをこなしながら、互いのレベルアップを図ろうという意図のもとに開催されるようになった大会である。

今年で13回目を迎えるのだが、最初のうちは夏休みの練習の総仕上げということも考えて、8月末に団体戦のみを開催していた。

しかし、平成7年、浜松市郊外に20面の「花川運動公園テニスコート」が完成してからは、3日間コート全面を借り切り、出場校も増やして、個人戦も併せて行うようになった。

「選抜」の条件はただ一つ、「(選手・監督が)マナーのよいチーム」である。

「強い」チームは全国にいくらでもあるのだが、(監督も含めて)「マナーのいいチーム」というのはそうたくさんあるわけではない。

まあ、基本的には「監督」の人柄でチームのカラーは決まってしまうのである。だから、正確には「選抜の条件は監督の人柄」ということになるのかもしれない。

かつて、この大会に参加していただいたが、残念ながらその後は参加を見合わせていただいたチームもあった。それは、会場や懇親会での監督のふるまいが「うーん、ちょっとどうかなあ」ということがあったためである。

強いチームとなると、どこでどう風評を伝聞したのか、様々なところからいろいろな大会への参加依頼が舞い込むようになる。しかし、基本的にそれは「強い」ということが大前提であって、年度が替わってあまり強くなくなってしまったとたんに、どこからもお誘いがなくなってしまうというのが世の常である。

しかし、中には「公立中学校の教員には転勤がつきものなのだから、学校が替わったからといって、その監督の先生のチームを大会に招かないというのはおかしい」と考えて、大会を主催している(変わった?)人たちもいる。

滋賀県のニシカワ、デグチ先生である。

手前、最初にソフトテニス部の顧問になった学校で、5年目に何とか団体・個人ともに全国大会へと出場することができたが、その翌年転勤となった。

転勤先の学校は、テニスコートに行くと、練習中にもかかわらず、部員たちがコートに絵を描いて遊んでいたり、ラケットのグリップをマイク代わりにして歌を歌ったりしているようなチーム状態であった。

何からどうやって部員たちの意識を変えていこうかしらんと思っていた時に、ニシカワ先生から「5月の連休には滋賀県に来られませんの?」という電話をいただいた。

転勤したばかりで、ろくろくボールも打てないようなチームだったから、まさか大会参加のお誘いがあるなどとは夢にも思っていなかったのだ。

だから、「いやまだとても試合ができるような段階では・・・」と言うと、「そんなこと関係ない、ウチの大会は強い弱いで参加校を決めてない。弱かっても先生の学校に来てほしいんですわ。」と言われた。

うれしかった。

爾来、「いつか浜松でもそんな大会を開きたい」と思い続けてきた。

何とか第1回の大会が開催できたのは、それから3年後の平成4年のことである。

そして今年13回目を迎えたというわけなのである。

コート面数には限りがあるので、そうたくさんのチームに来ていただくわけにはいかない。

せいぜい男女合わせて20チームあまりが限度である。

そうなると、出場校の顔ぶれも年を経るごとに固定してくる。

「そんな固定した監督のチーム同士で試合をやったって、レベルアップなんてしないんじゃないの?」と思われるかもしれないが、さにあらず。過去この大会の参加選手の中からは、翌年の中体連夏季全国大会に出場する選手が輩出しているのである。

どうしてそうなるのかはわからない。しかし、こうやって毎年浜松に参集して、監督同士が互いの久闊を叙し、情報交換もしつつ、試合で干戈を交えることをとおして、また次なる1年の目標が定まっていくことだけは確かなのである。

これだけの規模の大会となると、もちろん手前一人だけでは運営不可能である。

市中体連ソフトテニス部の役員の先生方が中心になって、宿泊・ドロー作成・会計・懇親会・競技進行と、それぞれ担当を決めて運営していただいているのである。

幸い、県外から参加された先生方からは、「いつもこの大会の運営には感心させられています」とのお褒めの言葉をいただいている。

それだけ、スタッフの先生方がそれぞれの持ち場で力を発揮されているということなのである(毎年お疲れさまです)。

昨年は、何と3日間雨に祟られた。しかし、スタッフの先生方の懸命の努力で、浜松市中の公民館付設体育館を借りながら、何とか大会をこなすことができた(よくできたなあと今更ながら感心しています)。

今年も、大変な3日間ではあったが、何とか大会を終えることができた(スタッフのみなさん、ほんとうにお疲れさまでした)。

いつまでこの大会を開催できるかはわからないが、地元スタッフ先生方が、大会運営や夜の懇親会をとおして何かしら感じたことをご自身の指導に反映しながら、いつかは全国大会へと出場していくようになれば、これに勝る欣幸はない。

みなさん、がんばってくださいね。手前も、(それなりに)がんばります。