« IT秘書走る | メイン | さらば『ミーツ・リージョナル』 »

昇魂式

10月23日(日)


中北町の昇魂式。
後で聞いたのだが、観客約2万人。
そのだんじりが、五軒屋町を通る際、纏を出し、花束を贈呈するので午前5時50分にだんじり小屋に集合だ。
祭衣装を着込み、きっかりに出ようと地下足袋のコハゼを止めているとM雄からケータイ。
「おい、もう上がってくるど。何やってんな、早よ商店街入口に直接来い」とのことで、走って行く。
もともと9月のための祭衣装。寒い。雨天である。

昨夜はその昇魂式の曳行に支障のないように、コースに含まれる町内の駅前商店街と昭和大通りに、駐車禁止のために安全委員がカラーコーンを設置した。

中北町の纏が見え、そーりゃ、そーりゃと綱が入ってくる。
祭本番より曳き手が多く、綱が長いのではないか。
夜明けすぐの雨空の下、墨一色、白抜き町名のこれ以上ないシンプルな中北の法被の曳き手とだんじりが水墨画のように見える。
太鼓が並足になり、纏の手前で一旦停止するためにスピードを落とす。
綱元付近に同じ年、平成15年度に若頭筆頭をしたH野のAっつんがいて、通りがかりに手を挙げると、すれ違いざまにパシッとその手にタッチしてくれた。
曳行責任者をしている「ミスター中北」Aっつんの兄のY夫さんがだんじり正面の前板で、ブレーキを軽く踏み「おい」と左右の前梃子係りに促す。
梃子が入り、一旦停止。
平成17年度五軒屋町曳行責任者のK岡さんが花束を渡す。
万雷の拍手。

即座に太鼓が曳き出しに替わり、旧26号線を渡り、駅前商店街へ入るやいなやもの凄いスピードで走る、走る。
後ろを追いかけて走る中北町内の女性や子どもたち、熱狂的なギャラリーの多いこと。
何回も書いたが、ほんとうにフェラーリである。
そんなことを考える間もなく、あっという間に、小さくなり見えなくなる。

昇魂式というのは、だんじりを新調した時にだんじり大工の工務店から町内へに曳いて帰り、宮入をし新しいだんじりに魂を入れる「入魂式」の逆で、今まで曳いていただんじりに別れを告げ「魂を昇らせる」最後の曳行だ。
わが五軒屋町も平成10年に新調をしているから、今日と同じようにその前年の祭後に昇魂式の曳行をし、新調年度に入魂式を経験している。

それにしても、この季節にしては少し早い木枯らしな天候の下、このごった返している観客の数は何だ。
今度はだんじりがカンカン場から貝源を左折するそうなので、人混みを押しのけ「前梃子責任者」と襷をかけた来年の若頭筆頭のT造と貝源へ移動する。
貝源祭礼本部前では今年の筆頭のM人と北町のT田くん、筋海町のI田くんの同筆頭が「若頭責任者」と襷をかけて、若連に混じり警備をしている。
ご苦労様である。

中北のだんじりがカンカン場を曲がってきた。
「すまんけど、もう3メートル下がっちゃって!」
と溢れる観客を彼らは下げようとするが、なかなか下がってくれない。
法被者のオレたち若頭幹部も彼らに交じり、声を出し人払いを手伝う。
貝源交差点に纏が入り、後梃子のキャッチマンが待ち構える。
ようやく円を描いて猛スピードで遣り回す後梃子の長いドンスが張れるだけのスペースが確保できる。

一旦停止線もなんのその。太鼓が替わり、綱元が入り、後梃子が取る。
それにしても何という速さ、何という正確さだろう。
観客の歓声拍手のなか、鳥肌たちまくりで「これぞ中北の貝源の遣り回し」を見せつけられる。
北町のTくんは「エンジンとハンドル付いちゃある。まちがいない」と冗談を言ってはわれわれを笑わせる。

雨と人混みの中、T造の傘に入れてもらいながら「来年の入魂式、ごっついやろのお」と早朝の昭和大通りを歩いて帰る。
平成18年中北町新調に続き、20年に北町と宮本町、22年下野町、24年大工町、大北町と岸和田旧市のだんじりの新調が予定されている。
調べてみると、大正4~14年の10年間に、岸和田だんじりの約半数、12台のだんじりが新調されていて(うちの先代は大正12年である)、同様に平成に入って新調が多いというのもそれらの代かわりの時代に入ったということである。
われわれの世代は、若頭の時代に新調を経験出来たという、だんじりラッキー・ゼネレーションである。

トラックバック

この一覧は、次のエントリーを参照しています: 昇魂式:

» 中北昇魂式 送信元 ふぐ日記2
ほんまに新潟で震災特番に熱中してる間に… 祭りが終わり…そして、中北の地車が昇魂式を終えたそうな。 meets江編集長のブログに詳しく載ってました。 中北の... [詳しくはこちら]

コメント (3)

改めて、ブログへのコメントありがとうございました。

しかし、2万人でしたか。。。。
内輪でも「一体来年(入魂式)どないなるねん!?」と、
楽しみにしつつも少々心配もしております。

新調ラッシュと聞くと景気のいい話に聞こえますが、
少子化やいわゆる“時代の変化”で、
「今の世代じゃないときっともう今後新調はできへんからなぁ」と
世話人の父親が言ってるのを聞くとちょっと複雑ですねぇ。。。

確かに「口は出すけど金も出す」タイプの人って、最近めっきり減った気がします。

若連:

寒かったです。人多かったです。2万人・・・誰が数えたのか知りませんが(笑)
中北 速かったですねぇ?しかも、ほとんど休憩無しで曵きっぱなし・・・
さすがに熱中症にはならんでしょうが
悔しいけど脱帽です。
来年の入魂式の警備が思いやられます。(笑)

イーピンカンタ:

確かに速かったです。ギャラリーの少ない、沼のイズミヤ下がりや蛸地蔵駅下がりでも物凄い勢いのあるやりまわしでした。直線の速さも、自町とは比べものにはなりません。休憩ないというのも流石ですね。若連さん雨の中ほんまに警備お疲れさまでした。中北に脱帽ですわ!

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

About

2005年10月25日 20:01に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「IT秘書走る」です。

次の投稿は「さらば『ミーツ・リージョナル』」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Powered by
Movable Type 3.35