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世界基準外的

6月25日(日)

2週間もこの長屋を空けていたことについて、編集同業関係また岸和田方面から「更
新の催促」および「何やってるんや」という声があった。
うれしい限りです。
別に留置所にぶち込まれていたわけではないですので安心してください。

とにかく忙しくて、なかなか書けなかったのである。
と今しがた言うと、「書くのが商売みたいなもんやのに、それは理屈と合わんやろと
いう岸和田方面の方にも指摘されましたがお許しを。

17日(金)は「南海沿線リレーフォーラム はじまりは堺から」というフォーラム
のパネリストに呼ばれた。
これは、今年120周年を迎える南海電鉄と読売新聞大阪本社、堺市の主催で「古代
から現代まで、日本史の重要な舞台だったこのエリアの魅力を再確認するのが目的で
す。第1回の舞台は堺市。沿線に広がる歴史・文化的財産を掘り起こし見つめ直すフ
ォーラム」ということだった。

どうしてわたしごときが、と思うのであったが、南海沿線の岸和田の出で、ことある
たびに「だんじり、だんじり」とこの長屋ほかでわめいてるから、というのも少しあっ
たようだが、4年前「まるごと南海沿線」というムックの編集をし、北摂や阪神間に
比べて、あまりスポットが当たらなかった堺を徹底的に取り上げたからだったらしい
(もちろん岸和田だんじりもそれ以上に取り上げたが)。

堺市民会館の大ホール。
基調講演は上田正昭先生の「文明史から見た堺」というテーマで、その後のパネルディ
スカッションに出さしていただくわけであるが、メンバーは武者小路千家家元の千宗
守さん、 シンクロナイズドスイミングコーチ井村雅代さん、 映画監督で堺市出身の
阪本順治さんというそうそうたる顔ぶれ。
オレは縮み上がってしまいそうだったが、同世代の阪本さんとは一度電話で話したこ
ともあり、またいつも仲良くしている空間設計者の間宮吉彦くんから前夜にケータイ
があり「彼とは堺の殿馬場中学の同級生で、あした行かれへんけど、よろしくいうと
いてくれ」とのことだったので、ちょっとは気が楽になっていた。

正午に昼食をかねて打ち合わせということで、11時半に控え室に着くと、すでに上
田先生がいらっしゃっていて、読売新聞の副社長さんとか南海電鉄の役員さんとかと
お話をされている。
常々、先生の中国〜朝鮮半島〜日本というダイナミックな視野からの古代史の著作の
ファンであるオレは、タイミングを見計らって用意していた『日本文化の基層研究』
にサインを頂き、「2〜3年前でしたか、藤原書店の『環』の座談会は凄かったです
ね」というと先生は「あのときの姜尚中さんは冴えてましたね。ちょうど単行本になっ
たところなのでよろしく」と、言ってくれて、そのあともお茶を飲みながら親しげに
話相手になってくれた。

もう80歳になられる上田正昭先生の話は、古墳の話に河内王朝説、行基から信長時
代のこと、与謝野晶子の話まで幅広くて、さらにそれがユーモアにあふれた語り口で
ほんとうに面白い。

そのあといよいよオレたちのディスカッションが始まるのだが、全館禁煙のため、阪
本監督と一緒に外へこっそりとたばこを吸いに行く。
「なんか?校の時の部室みたいですな」と言いながら、同じ泉州でも堺弁と岸和田
弁はどう違うかなど、わいわいとしゃべる。やはり同じラテン大阪の人種である。

パネルディスカッションが始まると、やっぱ井村さんの話が弩級だ。
浜寺水練学校の昔話からまだ室内プールがない時代、シンクロが「身黒」と表現され
たはなし、選手に対して「あんたブスやから、ブスッとせんと、もっとかわいらしい
顔しなさい」とかの例の調子で、お客さんは大爆笑。

そうなるとオレは例によって「世界基準というのが今日のテーマのひとつなってます
けど、岸和田のだんじりは遣り回しひとつをとっても、4トンの木のかたまりを何で
走って曲がげなあかんのか、それは完全に世界基準外なんです、だから堺のだんじり
と違ごて世界基準なんです」とぶちかまして、岸和田の隣の隣の街の聴衆の方々を沸
かせた。

すると阪本さんは「普通、東京ではこんなパネルディスカッション見たことないです。
絶対笑いを取らなあかん会なんですか、これは」といって笑いを取った。さすがであ
る。

18日(土)も超忙しい。
昼前一旦、編集部に行き『神戸本』の初稿を見て、1時から月に一回のNHKラジオ第
一放送の生放送。
佐藤誠エクゼクティブアナウンサーと遙洋子さんにお相手してもらって、沖縄的なも
ののブームと大阪・尼崎・神戸の沖縄タウンについて話す。
また編集部に戻り、3時間ほど校正やリード文書きをして、その後岸和田へ。午後8
時から若頭の寄り合いがあるからだ。

もう祭まで3カ月を切った。
献灯台設置の話、鉢巻きのデザイン決定、安全祈願祭日程と今年の筆頭M人と去年の
筆頭M雄が、コンビでぐいぐい議題を進めてくれるので、オレは焼酎をウーロン割り
で飲んでるだけである。
すまん、M人M雄。
その後、オレM雄M人の平成15年16年17年度筆頭3人で「喜平」へ。
しばらくして中之濱町15年16年と2年筆頭をしたK一行が数名でやって来る。
オレは「もうすぐ、だんじりの本出るし、お前もいっぱい登場するからよろしくな」
とKに言うと、「そうやS、お前小学校の時、お城の堀端でむちゃくちゃ江ドツいて、
おれが止めちゃったんや。その話も出てくるらしいぞ」と同行のSに言うと、彼は
「もう忘れてくれな。仲ようしてや」と照れたような優しい顔してオレにそういった。

明くる日曜日は岸和田の「マドカホール」にて『地車祭鳴物 岸和田の笛』のパネル
ディスカッション。
だんじり囃子の伝承について、各町の特徴がなくなってきている、とかの話で盛り上
がる。
5時から打ち上げで酒が入り、さらに盛り上がる。
この日の主役「民の謡代表・篠笛奏者」森田玲さんの篠笛を借りて、居酒屋2階が貸
し切りだったので、昔取った杵柄で吹いてみる。
やっぱりいい笛だ。すごくいい音が出る。1階のお客さんはびっくりしていたかもし
れない。

そんなこんなの時に、ついにこの長屋住民初の単行本となる『岸和田だんじり祭 だ
んじり若頭日記』の初稿300ページが、どかんと晶文社の安藤さんから届く。

同時にカラー台の「岸和田だんじりマップ」、「各町一口紹介」に添付する二十一町
の法被の図柄を揃えたり構成していて、最後に前口上とあとがきを書いているところ
だ(といってこんなブログを書いている)。

だから先週は「ない日」だったのでお許しのほどをこの場をお借りして御免蒙る次第
である。

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2005年06月27日 01:00に投稿されたエントリーのページです。

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