4月25日(金) トランプおじさんが高圧的な理由

 ハーバード大学の予算を削除、などのトランプによる弾圧がニュースで流れてきており、その様子はアメリカの自滅行為そのものと言える。アメリカの知的威信と尊敬を集めてきたハーバード大学を圧束したところで、長期的に見てアメリカにとっていいことは何もないと思うのだが、アメリカの人たちはそんなこともわからなくなってしまったらしい。

 「自分さえ良ければそれでいい」とか、「自分の"友達"さえ良ければそれでいい」とか、「差別のせいでひどい目に遭う人のことはどうでもいい」とか、そういった方針で生きている方々はもしかしたらトランプに共感したりするのかもしれない。よくわからないが。しかし、そのような方針の方々は、ちょっとでも意見の合わない者たちが自分の考えを言ったり自分で判断したりすることを認める余裕すら持たない。

 「自分さえ良ければそれでいい」と思っている人たちは、どういうわけか集団的に排他的になる傾向がある。なぜか。

 『スター・トレック ザ・ネクスト・ジェネレーション』というテレビシリーズのシーズン5の2話、「謎のタマリアン星人」にそのヒントがあると思った。このテレビドラマでは、U.S.S.エンタープライズ号という宇宙船に乗った調査隊が異星人のタマリアン星人と出会い、コミュニケーションをとる。地球人の言葉では全く理解できない言葉を話すタマリアン星人に遭遇したピカード艦長は、クルーとコミュニケーションとは何かについて語る。

 "In my experience communication is a matter of patience, imagination."

 「私の経験によると、コミュニケーションとは辛抱強さと想像力の問題だ。」

 実際に、ドラマの中でピカード艦長とカウンセラーのディアナは英語とはまったく違うタマリアン星人の言語を辛抱強く繰り返し聞き、推論を立てて、異星人とのコミュニケーションを図る。

 トランプには辛抱も想像力もない。それの何がいけないのか?自分とは違う都合で行動する人が全く理解できず、永遠にタマリアン星人と心を通い合わせることができないからトランプはダメなのだ。コミュニケーションの代わりにトランプができることといえば、マウンティングを取るくらいだ。

 タマリアン星人のように変なやつらと心を通い合わせなくても俺は困らない・・・と、いうようにして想像力が欠如した人のことを橋本治は「美しい」がわからない人、と呼んだのだと思う。それはつまりトランプみたいな人のことだ。

 大阪万博もトランプの政治と同じだ。大阪万博のポリシーのどこにpatienceやimaginationがあるのだろう。そんな状態で異文化とコミュニケーションなどできるのだろうか。普通に考えれば、できない。大体、ELTEでの勉強を邪魔し、人々の尊厳を奪っているのはトランプのような権威主義者なのだ。許すまじ。

 日本ではものごとの本質や意味を考えない人が表面だけを追って無駄に威張っている状況があり、それはナルシズムなのだが、そのせいでpatienceとimaginationを単に無駄で苦しいだけのことのように考えてしまう人がいるかもしれないけれど、そんなことはない。Patienceとimaginationは無駄どころか、他者と会話するために最も重要な能力のひとつだ。トランプには政治の舞台からさっさと退場していただきたい。